電動車

実家はケーブルテレビを引いている。週一に繰り返される、その実家詣で。今日も昼の外食に付き合い、食料品を買い出して、部屋の隅から隅まで掃除機をかける。一通りをやり終えて、そのTVプログラムに目をやると、「フォーミュラ選手権」が始まろうとしていた。

四輪とは言え、モータースポーツを観るのは嫌いじゃない。グリッドに並ぶ、見慣れたボディ。ニューヨークGPと、およそサーキットを思わせないフィールドとのギャップに困惑しながら、シグナルがグリーンに変わって・・・・・・もはやそこは、異次元の空間となった。

隔世の感とは、まさにこのこと。スクリーンに映し出されるのは、官能的なエグゾーストノートをたなびかせるマシン群ではなく、息子が小さい頃に興じていた「ミニ四駆」そのもの。ドローンのノイズを太らせたような、羽音のようなサウンドを響かせて、マシンは駆けていく。

もはやレースは・・・・・・排気の音も匂いとも縁を切るようになったらしい。