1、2、3の日

わかりやすいから、その気にもなる。

冬空が日暮れて、風が立ち木を大きく揺さぶる宵闇の歩道。街灯から離れて暗がりの中、「いち、にのさん!」と小声でつぶやき、右足で跳ねてみる。思ったほどには伸びずに、左足からアスファルトに落ちる。すっかり重くなったカラダと、衰えた筋力。それでももう一度、今度は少し声を大きく飛び跳ねてみる。風に声が流れて、さっきよりも少し遠くに着地できた。この調子で、残りの人生も跳ねていこうじゃないか!北からの風に乗って、似たような囃子が聞こえた気がした。