2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

明日は晴れるのかな?

腰から下をコタツに突っ込み、ゴロリと横になったまま、横に長い液晶画面を眺める。切れ目なく続く年末の特別番組は、どれも2時間を越えるものばかり。首や肩が固まっては、CMが流れるたびに半身を起して、大きく伸びをする。雨が止んだガラス越しには、まだ…

11hrs ~前編2/2

7時に三郷。そのためには、5時を過ぎたら、ここから出ていかなければいけない。乾杯も早々に、さっそくマグロの握りに箸をつける。昼にイタリアンのバイキングだったから、腹が空いていたわけじゃないのに・・・“別腹”とは、うまいことを言うものだ。イラク…

11hrs ~前編1/2

歳を積んだせいなのか・・・季節が一回りするのが、どんどん速くなる。今の業界で、今と同じ仕事を22年、移り気で気の短いワタシが、よくもまあ我慢できたものだ。昔からの知り合いは、いまだにワタシの仕事に否定的だ・・・とてもガラじゃないと。その仕事…

Merry Christmas! 4

キャタピラの痕が、坂の途中から二連ジャンプの手前まで延びている。そして坂の頂上には、不規則なワダチが数本、ブルドーザーに踏みつけられることなく、しっかりと残されていた。昨日走った連中の“名残”だろう。そこからコースを逆走するように、陰になっ…

Merry Christmas! 3

スマホから、カーステレオのLINE入力に挿し込んでいた黒いコードを引き抜き、イグニッションを手前に回してエンジンを止める。窓越しのパドックが静かだ。助手席に放ってある古いスキー用のジャケットは、紫の色が薄くなっていて、かなり草臥れている。その…

Merry Christmas! 2

――冷えきった寝室、人の気配がしない居間。厚手のベンチコートに首をすくめたままでたどる、シロとネロとの散歩道。連日この冬の最低気温を更新していく朝に、すべての動きが緩慢になって――前夜の意気込みは、あっさりと砕かれてしまった。予定より20分以上…

Merry Christmas!

大晦日を一週間後に控えた三連休は、初日が昼過ぎから本降りの雨、二日目の日曜日は一日中重たい曇り空。そして、振替休日の今日だけが、朝からすっきりと晴れ渡っていた。生まれたばかりの光は、とても低くて、サンバイザーでは完全に遮ることができない眩…

うたパス 5(完)

「何とかしたいなぁ」と思っていたところに・・・この“うたパス”だ。今ではアルバム収録曲でさえ用意されて、カラオケで歌う曲に困ることはない。あとは、持ち歌の曲数だけ。それが尽きたワタシに、こうして聴き流しているだけで、「イケそう!」と感じる曲…

うたパス 4

流行りの歌を披露してはみても・・・どれもがドラマの主題歌とかCMソングとか、露出の多い曲ばかり。歌トモのように“知る人ぞ知る名曲”はガラじゃないからいいけど、その彼が言う「メジャーな歌」は、クルマの中で“音出し”した曲も無いから、いわゆる“ぶっつ…

うたパス 3

いつも準急電車、いつもと反対側の列に腰を下ろす。「・・・サビ以外は無理だな」。耳に流れる曲は『女々しくて』から、知らない旋律と聴いたことのない声に変わっていた。金曜日は歌トモ得意の“CROSSO”じゃなくて、“LIVE DAM”。狭くて音響のひどい部屋に通…

うたパス 2

借りている駐車場は、アパートの住人との共有空間。通りから少し入ったところにあって、周りが砂利を打っただけの粗末なものばかりなのに、ここは簡易アスファルトで整地されている。白線がいつまでも明るい色を失わず、駅には少し歩くけど、バイクも安心し…

うたパス 1

うっすらと水滴の浮いたアルミ扉を開いて、さっき戻ってきたばかりの砂利をたどり、bongoに乗り込む。ビニールシートのひんやりとした感触がチノパンを通り越して、素肌に触る・・・いつもより3分遅れの朝。挿したキーを回しながら、あわてて2速にシフトして…

390+(たす)ABS<(より)200? ~2/2

夜が明けるのも遅くて、隣に話しかければ、声がほのかに白くただよい・・・さすがに「乗りたくて」ウズウズする肌の記憶も、薄く遠くなってしまっている。それでも、こうして暖かな書店の片隅、誌面に落とし込まれた世界だけを眺めていると、きらめく緑の中…

390+(たす)ABS<(より)200? ~1/2

本屋で何気なく手にしたバイク雑誌の中、イタリア・ミラノで開かれたモータサイクル・ショーが、きらびやかな色と光で包まれている。ページをめくっていくと、ひさしぶりに眼を惹くマシンが、ひな壇の上でスポットライトに照らされていた。KTM 390 DUKE。2年…

宴のあとで ~後編

<12/15の続き> 外の駅舎から、若い男の声が流れてきた。閉めきられた車内からでもはっきりと聞こえる、よく通る声質だ。ただ、何かに慌てているのか、うわずった調子で何度も言い間違いをしている。それは、事態が普通じゃないことを伝えていた。せんげん…

小春日和

ずいぶん朝寝坊をしたせいで、太陽はすっかり高く上がり、窓の外が眩しく光っている。遅めの朝、休日らしくたっぷりめに珈琲を落として、くすぐる熱い香りと一緒に苦い茶色をすすりあげる。昨日洗い残したバスタオルを洗濯機に放り込んで、ゆっくり時間を掛…

宴のあとで ~前編

しかし、夕べは参った。遠く、平和島での仕事を早々に切り上げて、歌トモと2時間ほど歌ってから、越谷駅を出るまではよかった。忘年会が花盛りの金曜日に、田町から山手線にも座れて・・・上野駅で乗り換えると、成田行きの常磐線も空席のある車両に出くわし…

ラストファイト! ~9(完)

スタート直後のごたごたから抜け出して、フープスに入る前には、2番手まで頑張った。それでもsudaさんのマシンは、真ん中辺りを軽快に弾んでいる。この差は何だ・・・。 極端に歯数を増やしたリヤスプロケットが、ただでさえ短い“花の命”をさらに短くする。…

ラストファイト! ~8

ポールのリードヴォーカルに、ジーン、エリックそしてトミーのバックコーラスが、何度も繰り返される。日本の片田舎、それもモトクロスコースにあふれるKISSサウンド・・・ニューヨークが聞いたら、きっと驚くだろうな。そんなイバMOTOの粋な計らいに満足し…

ラストファイト! ~7

・・・選んだグリッドは、中央から少し左に寄った、足下の荒れていないところ。両隣は、どちらも青いYZ。右がnagashimaパパ、左がmatsunagaさん。その間にKXを押し込んでから、二人に笑みを向けると、ホームストレートの先にまんじりと視線を落としたまま、…

ラストファイト! ~6

<12/7の続き> 午後の本番は50ccクラスの次、2レース目だった。土を入れたばかりで、まったく張りの無い最終コーナーやホームストレートは、昼休みにブルドーザーで踏み締められたばかり。平らに補正された、その路面をフルサイズマシンが深く傷つける前に…

大人が子どもの大きいがか?子どもが大人の小さいがか?~後編

父親と息子で、似てないはずもない。ただ、ワタシがryoにそっくりなのではない。ryoがワタシに似てきたはずなのに・・・その息子にそっくりと言われても・・・ピンとこない。ざりぱぱに向かって口をとがらせていると・・・話の輪の中に居たokano師匠が、合の…

大人が子どもの大きいがか?子どもが大人の小さいがか?~前編

富山弁だ。 高校卒業の文集とか寄せ書きとか・・・たぶんそういうものに同級生が記した詞は、今もワタシの心の中にある。とても好きな詞だ。さりぱぱの一言で、ひさしぶりに思い出した。 前後のタイヤを変えたiguchi師匠のCRF150RⅡは、ひと月の空白がわから…

そろそろ?

都内へ通うようになってから手に入れたスマートフォン。IS03.まだ発売間もないAndroid端末の、大きな液晶画面を人さし指でなぞっていく・・・iPhoneを真似た、その指の動きを試してみたくて・・・いや、そうじゃない。どちらかと言えば、レディー・ガガのCM…

ラストファイト! ~5

たとえ最後尾になっても、決して“ゆるむ”ことのないフルサイズオープンクラスの走り。見ているこちらが、つられて走り出したくなるような周回が重ねられ、その中にニセmanabuの影もくっきりとあった。でも、それ以上に見物だったのは、イバMOTO名物KLX110ワ…

ラストファイト! ~4

「コータローさんに言われちゃった・・・何か、伸び悩んでるねって」。 泥と汗をさっぱり洗い流してから、先に湯船に浸かっているはずのむさ苦しい男を探してみても・・・裸眼のワタシに、やはり人の判別は無理だ。肌色の塊りが輪郭も無く、ただぼんやりと湯…

ラストファイト! ~3

だんだん濃くなる宵闇を背に、ガタッガタッガタッとキャタピラの音が前後している。何度も繰り返しホームストレートを均すsaitoさんに、ハンドルの右にあるレバーを素早く二回引いて、パッシング。それから運転席の窓を全開にして右腕を大きく振りかざすと、…

ラストファイト! ~2

「4位だったよ」と、ひどく残念そうに顔をゆがめたmatsunagaさん。いつもイバMOTOには顔を見せるのに、前回、残暑の第三戦に#53をつけたYZ85は無かった・・長かった夏の間、どうやらサーフィンに忙しかったらしい。ワタシより“一回り”も上なのに・・・okano…

ラストファイト!

背の高いワンボックス車ばかりのここでは、車高の低さがひときわ目立つHonda insight。その助手席の窓を下ろして、satakeさんが半身をねじらせる。クルマの中からは、耳になじんだ旋律がこぼれてきた。「オレは、これが気に入ってるんだよねー」と、ジーン・…

初レース! 14(完)

<11/30の続き> 四周目。車体が刻む拍子とカラダとが、フープスの上で離れ始める。何度かKXのシートに尻を突き上げられて、そのたびに上半身が前のめりにこぼれそうになる。それでも何とか両腕でハンドルバーを支えて、出口に向かってインに寄せてくるCRFの…