2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

キミは走ったことがあるか? 完

「楽しいけど、コワイ」。 走ったことのある人が口を揃える。でも、ホントに怖くてどうしようもないってワケじゃないらしい。だって、その顔は、同じように笑ってるから。 「どこがコワイって?ほら、アソコ」。 出来立てで、“リップ”が反ったジャンプに放り…

キミは走ったことがあるか? 3

<9/24の続き> 初めて目にしたMX408、そのとき驚かされたスネークヒルが、少し低くなったように見える。坂の頂点にあった“バンク”が、ちょうどそこだけ削り取られていて、路面が空に抜けていた。「やっと来たぁ」と、申込用紙をはさんだボードを片手に、sai…

キミは走ったことがあるか? 2

天気予報はいい方に外れて、東に進むたび、空の雲が晴れていく。昨日dukeで走った農道が、今日は陽射しに照らされ揺らめいている。そこから国道6号線に出ると、ちょうど半分くらい。隣に座っているはずのryoは、今日に限って就活。ただ、おかげで独り走るbon…

キミは走ったことがあるか? 1

夕飯のおかずに出てきたミートボールが、うまくつかめない。指を動かす腱がしびれたように、手に力が入らなくて、つかみ上げて口まで持ってこられないでいる。しかたなくボールの中心に箸を突き刺して、口の中に放り込み、冷めた茶碗の飯をかきこむ。走った…

片道100kmの贅沢 4

背の高い木々に囲まれて、かやぶき屋根の下に土間が覗いている。懐かしい感じの佇まいは、くすんだ茶色をしていて、子どもの頃に遊んでいた水海道の田舎を思い出す。区画も何もない砂利を敷いただけの広い庭に、クルマがきれいに並べられている。その列を避…

片道100kmの贅沢 3

<9/16の続き> 先を仰いでも左を向いても、似たような雲に覆われていて、見分けがつかない。スモークシールドを右手でこじり開けて、空に目を凝らすと・・・西のほうが少しだけ、色が明るかった。日光ではなく、赤城のふもとで反転――即決した行き先は、あい…

見よ 月が後を追う

駅を背に、駐車場までの一本道は、南に開けている。夜につつまれた街の屋根が、仄明るく光って、アスファルトにうっすらと影を描く。そのずっと先に、白く丸く、月が浮かんでいる。南の空が、月を真ん中にして、ふくらんで見えた。 ここから家に向かうバス通…

あと二日

台風が去っていった夕空を見ていれば、天気予報なんて全く必要ない。まだ青の残る空を雲が三すじ、南から北へ走っていき、細長い腹は杏色に染まっていた。北風を受けて眺めているうちに、見る見る杏が溶け出して・・・西の空が一面、橙色に光り始めた。これ…

片道100kmの贅沢 2

<9/14の続き> それだけじゃない。脇から“ズン”と鼻先を出してくるクルマにも驚かないように、右に左に点在するカーブミラーをいつも見てなきゃいけない。もちろん、目の前には信号だってある。“一方通行”のモトクロスコースになじんだカラダは、自分の右側…

雨の日曜日

廊下の扉が音を立て、誰かの気配で目が覚めた。「あれ、またやっちまったか」・・・てっきりアラームをかけ忘れたと思いこみ、近づいてきたryoが触れる前に目を開いた。 「んん・・・どうしたあ」 「すんげー、雨。だから、今日は無理だわ」 どうやら外は雨…

片道100kmの贅沢 1

台風がじわじわ近づいてくる三連休。予報は、初日の土曜日だけが、何とか行楽日和。それでも「お守りに折りたたみ傘を持って出掛けてほしい」と言うくらいだから、落ち着かない一日になりそうだ。せっかくの晴れ間、新しくなったMX408に行ってみたかったのに…

13日の金曜日

6時ちょうどに仕事を切りあげて、駅に続く上り階段の手前、歩道と歩道の間を、小さな横断歩道が渡っている。左から近づいたパールホワイトのハイエースと、そこで目が合った。白線を前にして、先に止まったのは・・・白くて大きな車体のほう。左に少し体をよ…

今スグ走りたいゾ!

みなさんお待たせしました! NEWレイアウトのMX408です動画です。 改修前のレイアウト知っている方なら、この変貌ぶりにびっくりするはずです! では、こちらからご覧下さい。 MX408 NEWレイアウト saitoさんの言うことだから、話半分くらいにしておかないと…

2020

「それじゃあ、東京オリンピックの年ですね」 “年かさ”のいった人に生まれ年を伝えると、きまってこう返された・・・。今から49年前の1964年、下町に暮らしていたはずのワタシは、その風を受けて大きくなった。もう江東区大島の借家がどこにあったのか、それ…

7月最後の日曜日は 4(完)

コースとの間に遮るものがなくなり、その音は狂気だ。あまりの高周波音に「2ストじゃないよね?」とryoがつぶやく。もちろん、そんなことはない。ウォームアップ走行が終わるのを、シケインのスタンドで待ってから、ホームストレートの第1コーナー寄り、グラ…

7月最後の日曜日は 3

伊勢鉄道、鈴鹿サーキット稲生駅。 四日市でJR線から乗り換えた一両編成のディーゼル車が停車した駅は、国際レーシングコースの最寄り駅にしては、あまりにも簡単だ。駅舎のないコンクリートのプラットホームは、淡黄色の石膏ボードに囲まれているだけで、何…

7月最後の日曜日は 2

<7/29の続き> 5時15分。夜行バスはきっちりと定刻どおりに到着して、薄く雲の張られた空の下、ねぼけた名古屋の駅前にあっさり放り出される。しかたなく細く開いた瞳に映るファミレスの黄色い看板に向かって、線路と平行に延びた大通りを渡っていく。ワタ…

Little Caesar

でたらめな気圧が、空にでっかく夏を描いている。吹けば烈風、降れば豪雨。太陽は、まだまだ元気に街を照らし続けて、歩いていれば肌が少し汗ばんでくる。 昨夜、SOL22用のmicroSDカードが届いて、その中にkissのCDをごっそり放り込んだ。32GB、一生もののデ…