2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

頑張れ、高校生!

四則計算と一次方程式と。 分数のわり算で分子と分母をひっくり返すくらいの、そんなわずかばかりの記憶しか残っていない。まだ鍛えようのあった脳みそで必死に覚えた公式の数々も、いざ問題が配られると、どれになにを使えばいいのかわからずだったことが、…

六月まよえる金曜日

水の月に入って一週間、再び金曜日がやってきた。 梅雨入りしてすぐ、陸から南の海へと離れていった前線が、連日、夏の陽射しを届けてくれている。わずか一日降っただけの雨はすっかり土に消えて、アスファルトには照り返しの陽炎が舞い上がる。その光に惑わ…

六月はなやぐ木曜日

雨は夜のうちに止んで、アスファルトの水たまりも小さくなっている。かすれた空の雲間を朝の光がうっすらと照らして、肌にしっとりした空気が触る。いつもの地下鉄に乗り込む人の波は、誰も雨傘を手にしていない。 10人がけの座席の、ちょうど真ん中あたり…

六月ものうい火曜日

空が無くなった。 昨日までの、あのカラリとした風は凪いで、濃く湿った空気に、街並みも静かなままで居る。雪崩を打つかのように沿線の緑もべったりと軌道に垂れ下がったまま、揺れもしないで居る。 発車を告げるアナウンスは、どこか重たげにくぐもって、…

六月はじめの月曜日

澄みきった空の青に、いくつもの層雲が白く、荒い曲線を描いている。どれも筆に迷いがあるようで、一気に書き上げた風でもなく、ところどころで曲率が変わり、どこかいびつなまま、その純白だけが冴えている。 足下の緑は勢いを増してまっすぐ立ち上がり、縫…