2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

初成田!?

新庄剛志がまたがると、フルサイズのマシンも小さく見える。グリップの外側から包み込むようにした右の掌が、ずいぶん乗り込んでいる雰囲気だ。「モトクロスバイクで、クルマ5台を跳び越える大ジャンプ」、テレビ映えするタイトルに惹かれて、チャンネルを6…

ただいま! 6(完)

てっぺんから望む斜面は、のこぎりの歯を立てたよう。どこをどう走っても、ワダチに入って下りるしかない。それでも、どうにかして平らなところを走ろうとして、斜面の下をほぼ直角に折れる。赤茶けた壁すれすれ、右端から大きく回り込んで、砂の少なくなっ…

ただいま! 5

右手を開こうとしても、レバーにうまいこと指がかからない。リヤブレーキを使うのもヘタクソだから、ギリギリまで突っ込んでいけるはずもないのに・・・バンクの縁のはるか彼方に、ざりままとsaitoさんの姿がわかると、ついつい無理をしたくなる。向こうはコ…

ただいま! 4

<11/20の続き> 立ち上がり、緑の車体を急いで垂直に起こす。ラインの上、固く小さな凹みができているのがわかる。これに弾かれると、ひとつ目のコブで大きく振られて、少し慌てることになる。両ひじを張って踏みつけたり、わずかにラインをずらして避けて…

No place for hiding. No place to run.

陽が射して、見る間に霧が晴れた。青い空の下、寝ぼけたように霞んでいた通りの横断歩道が、いつしか白く光り輝いている。その眩しさに、carryのディマースイッチを手前に回して、前照灯を落とす。雨上がり、微風。この時期にしては、暖かい朝だ。「ホント、…

この次は・・・ 前編

最後の10分、大人はみんな“上がって”しまった。ryoもiguchi&okano師匠も、MCの強者もみんな・・・。コースに残ったのは、小さくって元気のいい子どもたちばかり。張り合いのない10分になりそうだけど、さっきのクールで#129のCRF150RⅡに逃げきられて、この…

Welcome to the show!

「自動車なんて創ってないで、早いとこ150出してくれよ」 そんな青くて小さな声が、どこからか聞こえてきそうだ。昨日から、まずは関係者だけに公開が始まった「東京モーターショー」。往年の輝きを取り戻そうと、各メーカーがこぞって“スポーツカー”をお披…

ただいま! 3

ブレーキが間に合わず、背の低いアウトバンクまでフラフラとはらんでいって、そこから強引に、KXのフロントタイヤを180°左に向ける。コースでいちばんせせこましいS字を抜けて、跳べないテーブルトップの裏側にフープスが待っている。ココも、ひとつひとつの…

ただいま! 2

ココの跳び出しも、きれいな角度に固まって、ずいぶん落ち着いてきた。しっかり減速さえしていれば、浮かせた腰にシートがぶつかってくることもない。その先は、いつまでもダブルジャンプにできない大小のシングルジャンプ。それをひとつずつ乗り越え、バン…

ただいま!

心おきなく跳びあがり、気持ちよく放物線を描く。フィニッシュラインの先、斜面におりたKX85Ⅱのシートに腰を落とし、左に大きな弧を引いて、コースの幅いっぱいに立ち上がる。昔を思い出す“アウトインアウト”は、ワタシにとって理想的なライン。そのあいだ、…

塩梅

雨上がりの、暖かい青い空。初冬の太陽が、空の高くへ、精いっぱい上っている。さえぎるもののない東南の方角には、薄黄色の光が散らばって、見上げるだけでクラクラする。ちょっとした坂道を降りて、畑の角を左に折れれば、今度は陽射しが肩にぶつかる。正…

『サムシングブルー』という題の本を読んでいるせいか、晩秋の高気圧のせいか、とにかく青がよく目につく。夜には雲に覆われるはずの空は、今朝も青く澄みきっている。枠いっぱいに広がる青、都会を抜ける沿線では、こうはいかない。すでに足下から温風が吹…

Happy Wednesday!

快晴、微風。気温8℃。北よりの風が朝を薄く包んだまま、街並みもひんやりと静かだ。見上げる空は、淡く白を刷いたようでどこにも陰はなく、うっすらとした水色がいっぱいに広がっている。東の空が辺りの建物の線を、まぶしくくっきりと空に描いている。夏の…

ジングルベル♪

時計の針の進みは、思いのほか早くて・・・予定の4時を1時間も過ぎて、ようやく小さな会議室から解放された。カン高い電子音とともにやってきたエレベータに乗り、14階から一気に下りていく。外側をつつむガラス窓には、藍色の宵闇が映りこみ、正面にそびえ…

冬の入口

漆黒の闇に、冴え冴えとした月が白く上がっている。下の半分がくっきりと浮かび上がり、辺りの星は、目を凝らしてやっと見つけられるほど。眩い月夜だ。街灯よりも、もっと白くはっきりと、往く小道を照らしている。そのまま見上げていると、暗がりに風が唸…

You want the BEST. 7(完)

<11/2の続き> エンジンに火が入って、パドックから先にいなくなったのはYZ。その青い車体が、スターティンググリッドの端っこに佇んでいる。視線をコースに移すと、あちこちに子どもたちのマシンが散らばって、小さな土埃を上げていた。青いリヤフェンダー…

鮫川で過ごす日曜日。

「いやぁ、走った走った。いつ来ても、笑って帰れるのがココのいいところ」 握力の抜けた右腕をストレッチしながら、西日に向かってハンドルを切るryoに笑いかける。途中の細い道を思い、緊張した横顔のまま、「いつもだけど・・・2000円分は走ったよね!」…

You want the BEST. 6

ヘルメットをBongoの荷室にころがして、狭い日陰に据えたビニールイスの背もたれにドカっとカラダを押し当てる。白を基調にしたJTのモトクロスパンツ、その右膝からアルパインのブーツにかけて、ざらりと土がこびりついていた。バックストレートの終わり、張…

You want the BEST. 5

“名物”と同じ、反り返った斜面の奥で、saitoさんのチェッカーがゆれている。えぐれたワダチをよけながら、その斜面の描く弧をゆっくりとなぞり、フィニッシュジャンプの後半を静かに下りて、パドックに戻る。青いYZ85は、もうセンタースタンドの上にあって、…