また、あの日に戻れるかな 2

<1/22の続き>

パイロットを絞ったのはアタリだった。

フロントを下げながら向きを変えていき、すぐに斜面を立ち上がる第1コーナー。3速からひとつギヤを落として進入、底で折り返す少し前から、閉じていた右手を開き始める。先週はついてこなかった2ストロークエンジンが、今日は素直に回転を上げ、斜面の端で車体ごとワタシを宙に放り出す。続く平らな第2コーナー。アウトいっぱいで左に回り続けるRMの真横、ずっと後ろに着けていた青い車影がインを刺し、ワタシのラインに割り込んできた。ゼッケンプレートに#84を確認しすると、戻した右手をもう一度捻りあげ、そのリヤタイヤすれすれにラインを交差させて立ち上がる。短いテーブルトップを跳び上がりざま、リヤタイヤを左に流すYZ250F。ちょっとチカラが入って見える後姿は、この10年で、横に少し大きくなっていた。

<つづく>