2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~完

―――――――――――――――― 午後のけだるさに、ゆらぎのあるピアノの旋律が混ざりあって・・・メガネをかけた方のレントゲン技師に「終わりましたよ」と声を掛けられるまで、現を無くして夢を見ていた。「MRI」を経験済みのryoが言ったとおり――まばゆい光にあふれた過…

梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~7

<6/26の続き> シングル、ダブル、ロング。3つのジャンプを跳び越えているうちに、赤いテールカウルと、くぐもった破裂音が至近距離になる。ゆっくり下りながら大きく左に回ると、フィニッシュのキャメルジャンプに向かってグイッと角度をつける。ここも外…

梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~6

<6/23の続き> それでも・・・。 カラダに“しみついている”コースと同じようには、いくはずもない。出遅れた焦りについ、着地する側が切り立つテーブルトップを忘れ・・・何度も平らな地面にまで跳び降りていっては、そのたびKX85-Ⅱが小さく屈んで“ギュッ”…

梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~5

コースサイドに立つ人影がひとつふたつ、土煙の中に揺れている・・・ようやく周りに気が向くようになったのは、“すり鉢”に落ちる大ジャンプをひかえめに跳び上がった時だ。ほとんど最後尾からのレースになったのに、「目の前に居るマシンよりも、ここはうま…

梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~4

第1コーナーの先は、粗く長い直線。深く刻まれた、いくつものワダチを見せられては・・・もう一度右手が前に返る――もはや無条件な反射。ようやく平らなラインを探して加速を始めても、すぐに右の第2コーナーに着いてしまう。あわてて引きよせたブレーキレバ…

梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~3

<6/19の続き> ―――――――――――――――― 今日の“スターター”は、“5秒前”のボードから数えて、きっちり5秒後にスターティングマシンのバーを倒す。錆ひとつ浮いていない、まっさらな銀色がすうっと落ちてくるのを見て、右手と左手が同時に違う動きをみせる――タイヤ…

梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~2

<6/17の続き> もうすぐ夏至を迎える午後の街並みは、まったく暮れ時を忘れてしまったように光にあふれかえっている。紹介状が入ったうす水色の封筒を手に、教えられたとおりビルの5階まで上がり、白いアルファベットがきれいに並んだクリニックのドアを開…

梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~

「うーん・・・。ヒザの内側、少し石灰化してますね。ここです」 微笑みも憂いも含まない澄んだ瞳で、女医さんのすらりとした人差し指が、白いガスのような小さな影を指している。 「はあ」 素人の目には、ただのぼやけたレントゲン写真にしか映らない。我な…

初夏の軽井沢 13(完)

痛みで感覚がなくなった左脚では、ステップに立ち、カラダを支えることができない。第1コーナーからの上り勾配で真後ろに着かれると、第2コーナーと第3コーナーで1台ずつ――あっという間に5番手に転落だ。「ここまできて・・・」、ヒザの痛みよりも、ココロが…

初夏の軽井沢 12

途中、出遅れたらしい黄色いゼッケンの連中に交わされたものの、MX408最後のレースのときとは違って、何とか流れに乗れている。序盤で一人、置いてきぼりを喰わされることなく、緊張のうちにも嬉々として、土埃にむせびながら周回を続ける。左ヒザをかまうの…

初夏の軽井沢 11

たいていのジャンプは、臆病風に吹かれているだけで、案外気持ちで持っていけるもの。1周目から、てっぺんの高いところにうまく跳び乗れたし、ヒザからヘンな音が聞こえることもない。何とか勝負になりそうだ。弾むようにして反対の斜面を下ると、続くのは鋭…

初夏の軽井沢 10

浅いけど、固くしっかりしたウォッシュボードを駆け抜けると、大きなくぼみをなぞるように、左に大回りしながら下り、くぼみの底から上っていく。そして、上りきった先にある小さなテーブルトップを境にして、コースはまた下り、ささくれた右のヘアピンが待…

初夏の軽井沢 9

<6/5の続き> 少し右に傾げた斜面は、きれいに反り返り、付け根が深く鋭くえぐられている。ストレートの勢いをそのままぶつけると、外の林の中に跳び落ちてしまいそうなくらい。ヒジを折り腕を引いて、リヤタイヤを左に流しながら“抜いて”・・・しなやかに…

ストラト日和

家から出るのもおっくうな日曜日。手にしたバイク雑誌は、表紙の端がくるりとめくれ上がり、フローリングの床が素足にぺたりと張りついてくる。あれほど乾ききっていた窓越しの景色も、濡れてしなやかに揺れている。雨は軽やかに弾けて、いつ止むとも知れず…

バイク乗りじゃなかったら、

この空の色も、光って見えるだろうか・・・。 どこまでも平たく、つかみどころのない灰色は、気まぐれに吹きつける風に乗せて、大きな雨粒をバラバラとまき散らしている。雨の季節。白く煙るオンロードは、タイヤが滑りやしないかと気になるばかりだし、ぐち…

初夏の軽井沢 8

<6/1の続き> なだらかに続く直線の向こうに、さっき駆けてきたばかり、“一度きり”のホームストレートが土埃に煙っていた。2周目からはその手前、フィニッシュのテーブルトップジャンプが配された直線が、第1コーナーの立ち上がりにつながっている。スター…

KISS Live @ Budokan 2013 Full Show

パソコンとインターネットに囲まれて仕事をして、胸ポケットにはXperia。なのに、twitterのアカウントもなければ、lineもやっていない。せいぜいこうしてブログを書いて、ネット通販のお店から届くメルマガを、暇な時間に読み飛ばすだけ。ただ、そのメルマガ…

初夏の軽井沢 7

<5/29の続き> スタートしてしばらく、ワタシのKXなら3速で吹け切るころまで直線が続いて、右へ直角に曲がる。そこからは上り勾配。固くて細かいギャップを踏みつけながら、ゆるく左へ山肌を巻くようにして上っていく。小さな加速が途切れないように、右手…