2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「きっと遠くに行ってしまったんだ」と思っていた青い空が、アタマの上に小さく開いている。そこから太陽がのぞいて、少し乾いた風が通りを走る。ずっと暗がりを歩いているように、ずっと終わらないと思っていた9月が、ようやく終わる。日ごと日の入りが早…
<9/26の続き> 午前中どころか1時間も持たずに降り出した雨が、CRFの黒いシートを隙間なく濡らしていく。そして、強弱をつけながら風に乗ると、まるで決められていた分を撒ききったように、今度は空へと飲まれていった。日のあいたホームコースと、ひと月…
雨の隙間を縫うように走った日曜日。季節はずれのバラとともに畦のアスファルトには、ヒガンバナが紅色を点していた。群れから離れてときに一輪だけ、それでも花茎をまっすぐ伸ばして、しずかに六弁花を開いている。秋に近づく空の下、GROMのあでやかな原色…
ようやく厚い雲が晴れて、西の空に太陽が浮かんでいる。少し愁いを帯びた陽射しにキンモクセイが強く香りをのせ、家路を急ぐハイヒールが、耳障りなほど高い音を響かせる。秋晴れと呼ぶには、昼までの湿り気が肌にまとわりついていて、ちょっと気後れする夕…
<9/18の続き> 6月のレースから3ヶ月以上、その間は何も整備をしなかったし、エンジンに火を入れることもしなかった。それなのにすぐに目を覚ます4ストロークは、さすがホンダが作っただけのことはある。空の彼方の持ち主も、厚い雲に阻まれていては、こ…
待ちくたびれた太陽は、まだ控えめにアスファルトを照らす。「晴天」と言い切るには雲が散らばりすぎていて、空の青も白くかすんで見える。それでもGROMは、黄色いタンクシュラウドを眩しく光らせて、ウエットパッチが残るアスファルトを静かに駆けていく。1…
白く灼けた砂浜に、影が黒く落ちる。波に陽射しが砕けて溶けて、ヒカリの欠片が揺らめき泳いでいる。ヒカリと影、忘れかけてた激しい陰影が、TVスクリーンに映し出される。外は雨、太陽は今日もぶ厚い雲の上にある。そして乾かないアスファルトを、タイヤ…
小さなアールに迫り、ステップに立ち上がったワタシの薄いブルーレンズに、黄色のクチバシが映り込む。極限まで遊びを嫌った85SXと比べてしまったら、多少目をつむらなくてはいけないところがあるけれど・・・このかけがえのない視界を演出してくれるのは、…
<9/19の続き> 受付にtodaさんの姿もなく、パドックに見知った顔もない。まばゆい木漏れ日の中、ひさしぶりに味わう「アウェイ」は、かえって都合がいい。バックドアを跳ね上げ、真新しいハンドルバーにかかったタイダウンをゆるめて、指先でブレーキレバー…
ずいぶんお誂え向きのグッズが用意されているらしい。時間を作って、いっちょ下見でもしてきますか。これで三途の川渡りも楽しめるかな?
2006年11月、ちょうどナノハナがモトクロスを始めた頃の、ポールのソロステージを収めたDVDだ。彼の手による曲ばかり、しかも新旧ソロアルバムからのチョイスに、自然と肩がリズムを刻み出す。オープニングはLive to Win。ステージタイトルにもなっ…
<9/16の続き> 学園都市にまで行き過ぎて、大きく遠回りをして、ようやくたどり着いた森の中。雨の予報を嫌ってなのか、10時を過ぎているのに停まっているトランポは数台、たたずむマシンの半分は子供たちのミニバイクだ。相棒には申し分のないパドックを…
見覚えのある大宮ナンバーのハイエースは、バックウインドウの右隅に「MCFAJ」のステッカーが貼り付けてある。natsunagaさんのトランポだ。受付の横にしばらく停まってドライバーズシートの上、走行用紙にペンを走らせている。時間は、9時20分。後ろに着…
「ん?ありゃあ、嘘にきまってんだろ」と言ってのけ、いつもと変わらない月曜が繰り返す。いい感じに透かした話が、ふとそんな気にさせる。 壮大なドラマを期待していたのがまったく恥ずかしくなるくらい、いつものノリ。そして、全員集合したみんなが「あり…
<9/11の続き> 実家のある松戸に寄り、法事に呼ばれた母をBONGOに乗せてから走り出す。そして、今では名前の消えてしまった生まれ故郷の水海道まで連れていってから、ようやく谷田部へとハンドルを切り直す。大ざっぱに言ってしまえば隣町、ここからなら3…
昨日は日が暮れても、雨は上がったままだった。宵闇に渡る風もいくぶん軽くなったようで、開け放した窓から忍び込んでは、さらりと肌を触れて落ちる。そして、乾いたばかりの羽をこするコオロギの声が、その風に乗ってきて、スクリーンから流れるツクツクホ…
まったく冴えない空。濃淡のない灰色をぶちまけただけで、ビルとビルの境目もよくわからない。雨は止んで、間延びした景色に漂うのは、昨夜の残り香のような湿り気。涼しいはずの風が、少し足早に歩いただけで、カラダをやわらかく包み込み、首筋に汗が浮か…
ツーリングで思い出されるのは、たいてい辛いシチュエーション。たとえばレインウェアを通り越してパンツまでびしょ濡れになって、なお走り続ける峠道なんてのは、その最たるもの。そして、そんなひどい雨に当たる日にかぎって、雨の讃美歌が口をつく。 きら…
週の初めから、時間の経つのが早い一日だった。 そして、もうすぐ明日。この歌を聴きながら、しばし時空を越えて・・・淡い恋バナに想いを馳せる。まったくココロはいつまで経っても、ヘナチョコのままだ。
<9/4の続き> 昨日の青が幻のように、日曜の朝が空から雨を落としている。路地はあっさり濡れて光り、じわり心をくじいていく。風向きが変わり、雨粒が消えて見えなくなった一瞬を掴まえて、それでもBONGOの荷室にまだ何処も走ったことのない真新しいマシン…
Facebookが過去を振り返らせるときがある。一年前の投稿を引っ張り出しては「こんなことしてましたよ」と世話を焼く。ならばここでもと、過去を漁ってみたりする。ちょうど半年前、そこにはずいぶん忙しくしている自分が見つかった。 きっともがいて前を向こ…
中川を挟んだ隣町、柴又に亀有。其処に暮らす二人は、紛れもなくヒーローで、気づけば姿も何もかもが重なり合って、ひとつに映る。千住のおばけ煙突が消えた年に生まれたワタシは、二人の背中に東京の夕陽を映しては、草だんごやあんこ玉の甘い匂いに焦がれ…
姐さんに晩飯をご馳走するはずが、すっかりすっぽかされて・・・雨上がりの駅の改札に黙って背を向ける。山手線の南の端、ターミナル駅は職場を背にした人であふれかえり、行き場を失った空気はよどみ、喧騒がコンコースを暑くしていく。ヘッドホンに届いて…
朝、出掛けの一雨だけで、空はすっかり晴れ渡ってしまった。湿気た風が塗れたビルの壁をすり抜けて、スーツパンツが肌に張り付いてくる。踏み出す一歩が重たくなって、深く息をするのもためらわれた一日。まったく不快な一日は、宵闇になっても変わらない。 …
この夏の思い出が、遠い想い出と重なる。あの日のように明るいヒカリの下で、木綿地の暖簾の白は眩しかった。この佇まいだけは、きっと忘れまい。
40年の間、それも1回も休むことがなかったとなれば、新聞の紙面も飾るだろうし、ニュースにもなる。「KISSと同じぐらいかぁ」、スマホの向こう側で思わずryoがつぶやいた。遠い昔、中学生の頃からずっと、KISSとともに傍に居てくれた。長男に生まれたおか…
雑木林の中をくぐり抜けるこのコースは、やっぱり気分がすぐれない。もちろんそれは、未熟な腕がそう思わせるのだけれど、固くいびつなギャップと中途半端に跳ばされ落とさせるジャンプに痛む関節と筋肉は、とても心地よいとは言い難い。それでも今日は、少…
ワタシには、この色でしかない。 ずっと昔、まだkeiと出会うずっと昔に、ずいぶんいろんなことがあった。そうした蒼い時を、ともに過ごした黒い車体。何もかも、今ワタシの中にある造詣のほとんどすべては、みんなこの2ストロークに教えてもらった。感傷に…
空に太陽が上り、朝のヒカリが眩しく街を照らし出す。風が軽やかに路地をすり抜け、雑草の葉の上に光る朝露を、静かに払っていく。アスファルトの端に溜まった砂は白く、クルマのタイヤ痕がわずかな陰影を描いている。ただ、それも今日でおしまいだ。三日続…
ELTの曲が流れる。 持田香織の幼げな声が、アップテンポの旋律にあわせるようにそよいでいく。ryoの好きなグループだ。フロントガラスから射し込むヒカリは、どこまでも透明な感じで、アスファルトの先に望む空が白くかすんでいる。通りを走るクルマが列をな…