2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

平和島~前編

2月18日公開の映画「ウタヒメ」の話で盛り上がっては、席を立つのがすっかり遅れて・・・予定を20分ほど過ぎてから、ようやく田町のビルを出てきた。駅までは自然と急ぎ足になる。ビルの間にも陽射しが届いているからか、昨日よりずいぶん暖かい。駅に着くと…

あみプレミアムアウトレット 9(完)

選んだのは、蝶の飾りが付いた指輪。幼い感じのする細い金色は、いつものkeiの好みとは違って見えた。横に並んでいたプラチナのそれとは、比べるのが可哀想なぐらいのお値段・・・それなのに、彼女は、まるでプラチナの高価な指輪と勘違いしてしまうような手…

あみプレミアムアウトレット 8

<2011/12/29の続き> あみプレミアムアウトレット。150の店舗が集まって“セール中”の場内、通りに面して店舗が配置されているのは、同系列の佐野プレミアムアウトレットと同じつくりだった。ただ、全体的に小振りなのか、だだっ広い佐野に比べると、少し通…

傍惚れ~後編

<2011/12/26の続き> 走りに行かなかった土曜日。点けっ放しにしていたテレビから、どこかで聞いたことのある台詞が耳に届いた。夕方の再放送枠で流れていたのが『妖怪人間ベム』だった。亀梨くんが演じるベムの隣、斜に構えた杏ちゃんが悪態をついていると…

Rock Me Amadeus

電車に乗る時は、マスクをしている。「風邪をもらってこないように」keiに言われるまま、着けてはみたけど・・・花粉の季節には早いし、何せ眼鏡は曇るし・・・おまけに、どこかマスクしている顔が好きになれないワタシは、大きく揺られている間中ずっと、何…

三田の夕映え

太陽は手の届くところしか暖めない。浅い光とコンクリートの影は、陽の差さない空間を作り、雪を半透明に残したままだ。その上にも、風が渡っている。高層ビルに囲まれていて、初めにやってきた風がどこから吹いてきたのかもわからない。やがて風は、空の青…

1991 Hockenheim~4(終)

あれから、一週間・・・。ケビン・シュワンツ奇跡の走りが、今、手の中にある。『1991 ドイツ決選 完全ノーカット版DVD』がそれだ。取り出した虹色のディスクを、フロントローディングのトレイに載せて、リモコンの再生ボタンを押す。当時のテレビ放映そのま…

1991 Hockenheim~3

初期型フロント16インチのRG250γで筑波サーキットを走っていたmachi-san。それを聞いて「ヘアピン手前は、やっぱり平乗り?」saitoさんも、よく知っている。第一コーナーを過ぎてヘアピンにつながるS字・・・当時流行っていたのが、S字最後の左ヘアピンに合…

1991 Hockenheim~2

コースを走るマシンの音が、遠くに聞こえる。走っている時はちょうどいいのに、一度動きを止めてしまうと、体は縮こまるばかり。ベンチコートにくるまれたまま、さらに体を丸くするmachi-sanとワタシ。その前に、saitoさんが立っている。 「RMはまだなの?」…

1991 Hockenheim~1

湿った日曜日が、冷たい空気に包まれている。昨日よりもマシなのは・・・気温がいくらか高いのか、それとも体が慣れてきたのか・・・それでも風は北から流れてきて、その度に手がかじかんでしまう。ちょうど一週間前、15日の日曜日も寒い朝だった。東の空が…

大きなお姉さんへ

そうだ、来週だ! 8階にある書店を離れて、エスカレーターで降り始めた時に、勢いよく思い出した。気分が楽な時と、そうでない時・・・そのどちらかに片寄った時に、よくぶらついて帰る北千住のルミネ。水曜日は「そうでない時」の方・・・少し気持ちがもつ…

まだ蒼いビルが、横長の液晶に映し出される。夜明け前の汐留。テレビカメラ用の照明が、黒く濡れたデッキを照らしていた。画面を斜めに流れているのは、みぞれまじりの雨。明け方に観測したという“初雪”は、そのままみぞれから雨に・・・厚手のカーテンを少…

荒川に架かる鉄橋。斜めに組まれた鉄骨の間、水面が冬のやわらかな陽射しを浴びて、淡く光っている。その真ん中、左右に流れる緩やかな弧の頂点には、背の低い引き舟が据えられている。ただ、陽を正面にしているせいで、黒い影にしか見えない。船尾から小さ…

ワンダー ワンダー・ブギウギ♪

光に当てれば透けるだけあって、「薄くても暖かい」と謳われた化繊は、よく風を通す。北千住から45分。駅に着いて、駅舎から暗い街に出ると、暖房に馴染んだ両脚の肌が夜気にさらされて、たちまち凍えていく。田舎の夜は、相変わらず濃くて深い。家が建ち並…

“本気”で初走り 10(完)

ryoもワタシも、さすがにCRFを手なずけるまでは届かない。どちらも乗り慣れていないワタシにしてみれば「このままKXでもいい」くらいだから、この4ストマシンを乗りこなすのは、かなりしんどそうだ。ryoが言うには、得意のバックストレートも「お話にならな…

“本気”で初走り 9

傍にいるワタシに気づいて、ゆっくり体を右に捻ると・・・冷たい陰の中、弱く光が射した。こちらに向き直った両肩の線は、地面と並行になっている。はずれかかっていた肩の関節が、うまいこと元の位置に戻ったらしい。ひとまず救急車を呼ぶことはなくなった…

“本気”で初走り 8

イバMOTOの最終戦からだから・・・ひと月以上開いている。しかも、まだ二本目のryo。控えめに走るつもりが、CRFをかわして気分も乗ってきたのか、少し速度が上がり始めた。コーナーごとに背中が小さくなっていくryo。フープスを走る頃には、入口と出口の差が…

“本気”で初走り 7

ryoと入れ替わるように戻ったパドック・・・ちょうど斜向かいに、灰色のcaravanが停まっている。harada師匠だ。今年の相棒は、新車と見紛うばかりのKTM125SX・・・同じ土俵で走れないのが少し寂しいけど、「赤いのに乗ってたみたいだけど?」と変わらず気に…

“本気”で初走り 6

コースに撒かれていたはずの水は、渇ききった大地に吸い込まれてしまったようだ。まだ午前中なのに、フルサイズマシンが走り抜けると、ところどころで土煙が上がっていた。エンジンを止めてしまうと厄介なことになる・・・右手を小さく刻みながら、マシンが…

“本気”で初走り 5

RMよりも高い位置に、キックペダルが伸びている。思い切り膝を曲げて持ち上げた右足が、不規則に痙攣する。動かすつもりのない親指が自然と上に反りかえってきて・・・足がつりそうだ。それでも地面に向かって、何度かペダルを踏み下ろしていると、ボボボボ…

“本気”で初走り 4

住所と名前、電話番号を書き入れた走行申込書と一緒に、出来上がったばかりの“魔法の券”を手渡す。おまけの“プレミアムカード”を、二、三度ひっくり返しては、しげしげと眺めるsaitoさん。ようやく受付を終えると、そのままパドックを進んで、朝と同じ場所に…

“本気”で初走り 3

さっき走ってきた坂道を、太陽に向かい下りていく。下りきったT字路。黄色から赤に変わる感応式の信号の下を、ろくに減速もしないで右に勢いよく曲がると、空になった荷室で、アルミのハシゴが左側のスライドドアに音を立ててぶつかった。走る前に、どうして…

“本気”で初走り 2

たっぷりと撒かれた水を吸って、褐色の斜面の上、陰った竹林のてっぺんだけが風にきらめいている。受付の木製テーブルに座り、こちらに背中を見せていたsaitoさんが、迫るBongoに気づくと、半身を捻って立ち上がった。下ろした窓ガラスの向こう、コースから4…

“本気”で初走り 1

「9時からじゃないんじゃないの・・・」。 道路に面した入口は、薄く赤味のある黄色いシャッターが、下までぴったりと降りている。陰って黒ずんだ駐車場の奥には、バイクを積むためのトラックが、斜めに停まっているだけだ。通りから駐車場を1/4ほど入ったと…

風模様・・・

東の空に浮かぶ月と、星が二つだけ。遠く工業団地から届くナトリウム灯に、北の空がぼんやり橙色に染まっている。吹きすさぶ風は、空に向かって烈しい音を立てて、宵闇を深い蒼にしていく。安物のスニーカーは、かかとのところだけがすり減っていて、アスフ…

小寒。午後。橙色。

小寒。ここから大寒を頂点にした立春までのひと月が、二十四節気で最も寒い時季に入るらしい。許されることなら、“巣籠り”して春を待ちたい・・・結露した窓の外、ゆがむ灰色の景色に、本気でそう思う。春を通り越して、いっそ夏が来れば・・・冷たい鉄板の…

今日から始まり。

いつものバス通りは、行き交うクルマも少なめ。駐車場から駅へと延びる道にも、歩く姿がほとんど見えない。薄い化繊のパンツには固く冷たい空気がまとわりついて、ヒーターで温まった体が、起き抜けのように縮こまる。いつもは敬遠するはずの急行「浅草行き…

今日でおしまい。

正月休みも、今日でおしまい。Bongoに積み込んでいたCRFとKXをガレージに返すと、半身にしなければ動きが取れないほど手狭になる。PURETECHへ持っていくリヤサスペンションと、SEKISOに溶接を頼むサイレンサーステーだけは、すぐ手が届くところに置いて、廊…

848 EVO CORSE

やっぱり“行きつ戻りつ”・・・足りない部品が増えるだけで、車体もエンジンもばらばらのRM。あまりにも“練習車”に乗らなかったから、空の上から悪戯されているのかもしれない。雨こそ降らないものの、この三が日は雲に覆われるばかり・・・いかにも雨男がや…

希望!

大晦日、物の10分もあれば取れてしまうはずだったステアリングのアッパーレースに苦労させられて・・・結局、最後まで取れずじまい。その前の日には、クラッチのハブをネジ切ってしまって、余計な作業と出費・・・割とツイテいなかった年も改まって、今年初…