2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

All Japan MX in SUGO 4

<10/29の続き> 山の起伏をそのままにした豪快な広がりを前にすると、いつも走っているMX408が“ミニコース”のように思えてくる。ステップアップを左に曲がりながら上りきった先、いつからなのか「ヤマケンジャンプ」と呼ばれるようになった、ヨーロピアンセ…

平日、コソ練 3

<10/28の続き> うっすらと錆びたような路面は、確かに具合が良い。だけど、“超”をつけるには、ホームストレートからフープスにつながる日向は、乾き過ぎている気もする。第1コーナーのラインは、赤い土がはだけて、雨さえ拒むように固く黄土色した地肌が露…

All Japan MX in SUGO 3

<10/27の続き> 夜中の3時には、もう着いていたらしい。その声につられたのか、斜向かいに停まっていたハイエースからtohdohさんが近づいてきた。まだ太陽の光が届かない駐車場の一角、まるでMX408に居るような気分だ。吐く息が白くふくらんでは消えていく…

平日、コソ練 2

<10/26の続き> もっと閑散としたパドックを想像していたら、ちょっと少なめな週末ぐらいにトランポが並んでいる。学校が休みなわけではないから、さすがに小学校も高学年の子は見えないけど・・・小さな65マシンの周りで、ちょうどいい大きさの子どもたち…

All Japan MX in SUGO 2

<10/22の続き> 6時10分。スマートフォンのナビゲーションも、最近はかなり精度が上がっている。液晶画面の右下に、小さな文字で表示されていた“到着時刻”ぴったりに、コース裏手に広がる駐車場へとたどり着いた。日の出すぐの冷えたアスファルトの上、厚手…

平日、コソ練

朝露に濡れた緑が、朝日に向かってまぶしく光っている。クルマの影は、一様に右へと長く延びて、反対側を走るクルマが、事もなげに踏みつけていく。国道16号線と並行するように走る県道を、いつものように左に曲がると、途端に影は後ろに短くなり、サンバイ…

ライムグリーン、発進。 8(完)

午後になっての一本目が、85/150クラス。出番だ。さぁーっと雨が流れては消えていって、コースに散水は無し。程よい湿り気で、泥も埃も、マシンには付かない・・・路面は上々だ。だいぶ開けられるようになった午後、まずは「跳ぶ」ことにした。ニセmanabuもi…

ライムグリーン、発進。 7

<10/21の続き> 極端に下げたギヤ比で、アッという間に吹け上がりそうになるから・・・左足が忙しい。まだ慣らしは始まったばかり、ちょうど力の出る手前で、シフトアップを繰り返す。サイレンサーの口からは、黒いタールが垂れて、プラグも真っ黒なんだろ…

雨に・・・

血で染め抜いたように艶やかな赤。左腕に、その真っ赤な革の持ち手をくぐらせて、ひざ上丈のブーツは、黒のバックスキン。節の目立つ線みたいな指が、カラダの細さを強調するように、つり革に絡んでいる。黒と白の間に金色が走った、三色の縞が縦に流れるシ…

All Japan MX in SUGO

真夜中の4号バイパスは、一般道に居ることを忘れてしまう。ずっと数えていられるくらいのまばらな照明の中、1kmを1分ぐらいの計算で、北へと距離を稼いでいく。たまに現れる赤信号にあわてたり、いきなり迫る昼白色のヘッドライトに驚いたり・・・ほとんど高…

ライムグリーン、発進。 6

9時15分。「あと5分で、2スト85、4スト150の走行が始まります・・・」saitoさんの声が、古びたスピーカーを唸らせる。いよいよ、発進だ!チョークノブを真横に引っ張り出してから、シートにまたがる。少しもへたっていないスポンジとサスペンションに、“短い…

ライムグリーン、発進。 5

oneの“spring edition”は、この日のため・・・。新しい相棒の初日だ、一番の“お気に入り”を持ってきた。フルメッシュじゃないのも、今日の曇天にはちょうど良い。両ひじにプロテクターをはめて、薄いジャージの襟元から頭を出した、その時だ。メッキホイール…

ライムグリーン、発進。 4

<10/16の続き> #274のゼッケンすら着けていない、素のままのKX85Ⅱの横に立つ・・・黄色じゃ無いマシンとの組み合わせは、かなり奇異に映るらしい。“・・・らしくない”を通り越して、「似合わないのか?」。でも、あとでmachi-sanに聞いたら、「案外イイ線…

ひと月ぶりの・・・ 7(完)

okano師匠もiguchi師匠も居ない、ゆるめのMX408も、ニセmanabuが絡んでくれたおかげで、面白く走れた気がする。フルサイズマシンで関東選手権を渡り歩いているだけあって、コイツがなかなか手強い。さっさと見切りをつけて「こっちに戻ってくればいいのに」…

ひと月ぶりの・・・ 6

<10/13の続き> 土が乾ききることもなく、昼を過ぎてもコースは緩いままだ。でも、その上で、リヤタイヤがうまい具合に空回りしてくれるから・・・大きく右手を絞り、遠慮なく全開にできる。4ストの反応にもだいぶ馴染んで、交わされるマシンも少なくなって…

ライムグリーン、発進。 3

ニセmanabuが、コースとは反対側の列にハイエースを並べた。その左隣、少しすき間を空けてBongoを停める。跳ね上げたバックドアから荷室にもぐり込んで、リヤフェンダーとハンドルバーにかかった2本のタイダウンベルトを、1本ずつゆっくりと外してやる・・・…

ライムグリーン、発進。 2

受付に並ぶトランポ。その一番後ろが、コースの敷地にギリギリ入ったところで切れている。すぐ前は、ニセmanabuのハイエース。スモークが貼られたバックウインドウに映る車影は、間違いなくKX85Ⅱ。まったく、いつになったらフルサイズに戻るのか・・・それで…

ライムグリーン、発進。

「150回ローンかぁ・・・払い終わるのが先か、くたばるのが先かってことだな」Harley-Davidson “Forty-Eight” Sportsterの真っ黒な車体を前に、銀色をした脚の長いイスに腰掛けて、okano師匠とみんなではしゃぐ。12年と半年・・・気の遠くなるような話だ。鉄…

ひと月ぶりの・・・ 5

11時。午前中の最初で最後が、今日の一本目。machi-sanもニセmanabuも、さっさとコースへ行ってしまった。残されたCRFは、さっき暖めたはずなのに、なかなかキックに反応してくれない。2ストエンジンじゃないから、最後までしっかり踏み抜かないと・・・モト…

ひと月ぶりの・・・ 4

何台かのトランポが水たまりを避け、乾いたスターティンググリッドの後ろに逃げていっただけ・・・よく見れば、第一パドックはすき間だらけだ。奥の方、ぬかるみの上には、ゆったりした空間が広がっている。ひさしぶりにdora-zeroとdora-ichiの凸凹コンビの…

ひと月ぶりの・・・ 3

Daiwa Houseの工場を左に回り、その先で今度は右に折れて、細い下り坂に入る。まだ緑の残る雑木林は、明るくて、外の冷たさを感じさせない。心臓の音だけが、やけに大きく拍を打ち始め、ハンドルを握る手のひらが汗ばんでくる。坂を下りきって右手を見やると…

ひと月ぶりの・・・ 2

<10/8の続き> せっかくの三連休は、モトクロスも何もかも・・・とにかく遊ぶのは諦めていたのに・・・。仕事がうまく運んだおかげで、何とか最後の三日目には、間に合った。しかも天気は上々、これなら少しは走れるだろう。慣れない4ストマシンも、鈍った…

おめでとうっ!

おとといの日曜日、ちょうど大宮で仕事をしている午後に、三重県の鈴鹿でうれしくなる瞬間があった・・・。F1世界選手権シリーズ第15戦・日本GPで、小林可夢偉が3位表彰台!仕事じゃなかったら、そして、フジテレビが地上波で放映してくれていたら・・…

ひと月ぶりの・・・

アルミサッシの窓を一枚引いただけで、膝から足下に向かって冷気が流れる。雨戸で隔てられた朝には、昨日の湿り気が冷たく漂っていて・・・日ごと遅くなる日の出が過ぎても、地面からは冷えた感触がはい上がってくる。雨戸を3枚、すべて戸袋にしまいこんでか…

地獄の獣神 ~3/3

MONSTER ~地獄の獣神~ 1 Hell Or Hallelujah 2 Wall Of Sound 3 Freak 4 Back To The Stone Age 5 Shout Mercy 6 Long Way Down 7 Eat Your Heart Out 8 The Devil Is Me 9 Outta This World 10 All For The Love Of Rock & Roll 11 Take Me Down Below 12…

地獄の獣神 ~2/3

ふっと右に向けた視界の真ん中に、音楽雑誌『BURRN!』の最新号があった。見紛うはずのない“star child”、ポール・スタンレーが、ギターを抱え、人懐っこい瞳でこちらを見つめている。白い頬に真っ赤な唇が、ひどく艶やかだ。そして、すぐにピン!ときた。NEW …

地獄の獣神 ~1/3

仕事では絶対に聞きたくない「一週間の“前倒し”」で、例の新作がやってくるらしい・・・。この邦題をつけたコピーライターに、拍手を送りたい。 朝の冷たさに陽射しが広がって、秋らしい一日が始まる。金曜日のバス通りは、いつもよりクルマが少なめ。“長居”…

シャフトかチェーンか・・・決断の日。

わかってはいたけど、やっぱりBMXに普段使いは合わない。正確には、無理だと思う。シングルギヤで小径タイヤなのはともかく、ギヤ比が低すぎる。一番軽いギヤで速度を上げなきゃならないのは・・・トライアルマシンで一般道を走るようなもの。とても長くは続…

水曜日

雨だ。雨が降っている。朝、出かける前にテレビで聞いた話と、ちょっと違う。台風が呼んだのかもしれない、薄い雲の帯は、結局晴れないまま、とうとう雨を落とし始めた。割にしっかりと歩道を濡らし、革底の靴が、時々脚の勢いを横にすべらせる。力の抜けて…

さすがに・・・そろそろ焦る。

湿った夜に、甘ったるい金木犀の匂いが、淡く漂う。どれだけ昼が騒がしく照らされても、季節は移り、夜はしんみりと静かだ。十六夜の月は、黒く張られた雲の上にあって、その姿を見つけることができない。駅を背に、東に向かって走るcarry。助手席と運転席の…