2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧
都心に向かう通勤電車。長津田行きの準急に深く腰を下ろして、背もたれに上半身を押しつける。ちょっとした脱力感に包まれた朝、窓の外であふれる春の光にも、チカラが湧いてこない。週の始まり、月曜日が追い打ちをかけるから、読みかけの文庫本を開いても…
きっと日付が変わる頃から降り続いたのだろう。夜が明ける少し前、窓の下から水たまりを踏みつけて走るクルマの音が聞こえてきた。天気予報は、あっさりと当たってしまったらしい。それでも6時過ぎにはryoも居間に下りてきて、いつもの晴れた日曜日のように…
<3/7の続き> ryoが何度踏み下ろしても、4ストのキックペダルは戻ってくるばかり――まあ、素直にクランクが回っているようだから、組み上げた“腰上”に何も心配はないのだろうけど――ただ、あまりに機嫌が悪い。しかたなくCRFのシートの上からryoを追いやり、…
白くとぼけたように広がる青空に、雲雀が一羽、うるさく羽ばたいている。ワイヤーに引かれ、ほぼ45°の角度で離陸したグライダーが、そのはるか上へと風切り音だけを残して飛んでいく。空気がまだ冷たくカラダをつつんでいても、昨日のように風は強くなく、T…
「一睡の夢」というには、ちょっぴり長い四十九年が過ぎて、昨日から五十年目を刻み始めた。ただ、記念すべきその初日は、土曜日の練習中に痛めた左膝のおかげで、どこまでもたどたどしく、不格好に右脚だけに頼る、昨年の同じ日に似た北風の強い一日だった…
サンドコーナーの出口、スネークヒルに上る直線には、右に回りながらゆるいコブが二つ続く。コブの間に残った雨水が、土をゆるくして、数本のワダチを刻みつけていた。もっとも速く立ち上がれるラインは、ワダチも少しずつ深くなり、アウト側の左端に小さな…
tasaki家のハイエースは、コースから一番離れた列に静かに停められていた。その右隣、クルマ1台分を空けて、Bongoを並べる。「雨除けに」と積んできたテントを張るかどうか迷ってしまうほど、北風は思いの外強く冷たく、パドックに吹きつけていた。ぽつりぽ…
<3/2の続き> この季節、いつもなら白く乾いて見えるコースは、雨をたっぷり吸いこみ、赤茶けた土色に沈んでいた。北風の舞うパドックにも降る光はなくて、すっかり平らに均されたミニコースの端まで、濃い色が続いている。「tasakiさん、待ちくたびれてま…
週末に聴く雨音は、ショパンなんてもんじゃなく、たいてい気持ちをダメにするけど・・・夜明け前から小さく窓を叩いていた旋律は、ギシギシときしむ背中を丸めてアタマからフトンをかぶる耳の後ろに、心地良く響いていた。背中だけじゃなくて腰や太ももまで…