2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

踏みしめる足下に音が立つ

雨の痕跡は全くない。濃い茶褐色に見えるのは、朝の散水で濡れているせいだ。固まった土が丁寧に掘り返されていて、ハンドルを握る両手にザクザクした感触が伝わる。まかれた水を吸い込んで、リヤタイヤに絡む路面。できればもうひと雨ほしかったところだけ…

ジョルディ、起つ

空がそのまま田んぼに落ちている。遠くに見える煙突から、ぼやっとした煙が真っ直ぐに立ち上り、煙突と同じくらいの高さまで上がったと思えば、すっと消えていく。田んぼの水は、まったく動かない。今ではMX408に通う時にしか使わなくなった“車線のない”アス…

明日から・・・

人づてに聞いた。可愛がっていた元部下が出世したと。向こうは昼休みに、まだもう少しという時間だ。でも、しばらく声を聞いていなかったし、胸ポケットから携帯を取り出して“電話帳”で“ゆ”の行をちょっと検索・・・画面の真ん中辺りに見つけた名前の“受話器…

練習という名の週末~日曜日6

このままじゃつまらない・・・スターティンググリッドの前で、今走ってきたリズムセクションを振り返る。さっき置き去りにしてきたCRFに遅れること数十秒・・・何ごともなかったようにテーブルトップから姿を現したokano師匠のCRF150RⅡ。その勢いの鼻先にRM…

練習という名の週末~日曜日5

<4/24の続き> 午後3時。スターティンググリッドの前で8の字を描きながら、okano師匠が来るのを待つ。saitoさんのグリーンフラッグに反応して、次々とマシンが最終コーナーを回っていく。#51を着けたCRF150RⅡがやってきたときには、ちょうど最後の一台が坂…

メントールに包まれた土曜日~3/3

<ずいぶん開いてしまったけど・・・4/11の続き・・・最終話> 短く刈りそろえた襟足を、手のひらで逆さまに撫で上げる。馬毛のブラシを悪戯しているような感触が、手のひらをさわさわと刺激する。訳も無く、何度も繰り返してしまうのが不思議だ。右手で髪を…

練習という名の週末~日曜日4

背筋を伸ばして、二本目のコースへと向かう。そのままの姿勢で肩から力を抜けば、RMがフロントタイヤを上げて加速する。路面とリヤタイヤが“摩擦”を起こしているのもシートから伝わってくる。いい感じだ・・・けど、これは真っ直ぐ走っている時の話。ひとた…

練習という名の週末~日曜日3

どこにも余計な力が入っていなくて、跳び上がってからも柔らか・・・それなのに、しっかり飛距離が出ている。半周回って、ストレートの端に立つRMの隣にKTMが寄ってきた。「大きく外から回って、しっかりと加速していけば大丈夫でしょ?」とharada師匠。それ…

練習という名の週末~日曜日2

harada師匠にとっては初めてのセクション、2連のステップアップはどうすれば跳べるのか・・・真っ直ぐに訊いてみた。「どうかなぁ?ちょっと走ってみる」と言って、コースに出る準備を始める師匠。まだ着替えていないワタシもあわててBongoの中へ・・・今日…

練習という名の週末~日曜日

打って変って、朝から晴天の日曜日。予報では、暑かった昨日から10℃以上も下がるという。それも納得できるほど、吹く風が冷たい。田植えも間近、ところどころ水の入った田んぼに、陽射しが細かく砕けて、きらきらと光っていた。 30分以上も朝寝坊したおかげ…

練習という名の週末~初心を忘れてしまったフープス

ゆったりと楽しく過ごせた昼休み、1時を少し回ったところで午後の走行が始まった。フルサイズを2クラス見送ってからの本日最後の一本は、思いがけず暑さと向き合う破目になってしまった。午前中までの「失敗しても跳ぶ」元気は、夏を思わせる強い陽射しにす…

練習という名の週末~チャリティオークション

スクールが終わって、昼休み。ざり家の軒先にお邪魔して、ささやかな昼の宴の始まり。といっても、お決まりのカップ麺。今日はラーメンだ。お湯を注いで待つこと3分。その間も、強めに吹く南風と照りつける太陽で、練習後の身体は火照ったまま。「どうして焼…

練習という名の週末~スタート練習

各クラス二本ずつのフリー走行が終わると、ちょうど11時。いつもなら気合いの入る時間帯が、今日はイベントに充てられている。ただ、せっかくの“復興支援イベント”に参加しない理由はない。ryoと連れ立って、案内されたようにスターティンググリッド前へと走…

練習という名の週末~フリー走行午前の部

フルサイズが、しかも2クラス続けて走った後だ。散水も程よく乾いていて、走りやすい。勝負所の左コーナーでも、RMはしっかり前に進んでいく。身体がコースになじむのを待って、奥のフープスから気持ちを入れて・・・いざ勝負! ガシャン。ガシャン。ガシャ…

練習という名の週末

厚い雲が太陽を隠したまま。昨夜遅くなってから降ると言っていた雨が、これから落ちてきそうな、重たい雲だ。雨模様の空を見上げながら、東へ・・・少し寝不足なのが気になるけど、二週間振りのMX408へとBongoを走らせる。 今日のMX408では、「復興支援 チャ…

ワタシはタクシーじゃないし、都合のいいオンナでもない

ひと頃は“歯抜け”していて寂しかった電車の中の広告も、いつの間にか賑わいを取り戻している。ラッピング車両もいいけど、やっぱり車内が華やいでいるのは気分も上向くようで、時に苦痛となる朝のひとときを楽しくさせてくれる。ちょっと毒づいた週刊誌の中…

戦闘服の似合わない二人

まさか毎日着ることになるとは思わなかった。“戦闘服”と、半分は真面目に、半分は小馬鹿にした言い方をして、歓迎すべからざる“装い”と片付けていたスーツ姿。それを毎日、しかも半年も続けるとは・・・我ながら恐れ入る。当然、今日も同じ。初夏すら感じる…

4月12日PM

#04:昼下がり 陽射しは力強さを増して、吹き渡る風が冷たかったことさえ忘れさせる。コートを着ていると、日陰だけを歩きたくなるほどの陽射し。光るアスファルトが白くて眩しい。一仕事終えてのティータイムは“VELOCE”。通りに面した席に腰掛けて、ガラス…

4月12日AM

#01:朝 雨上がり、晴天。強風。花粉症にとっては我慢の朝だ。広くて青い空の下、右の鼻は詰まり、目がかゆい。50枚入りのアイソレーションマスクは、気休めに過ぎない。駐車場から駅へと続く道路は、南北に細い一本道。風は正面から、強い向かい風だ。なか…

メントールに包まれた土曜日~2/3

<4/9の続き・・・最終話にはならず> 前回のくじ引きでもらった「2000円OFF券」を使って、二度目のヘッドスパ。相手をしてくれるのは、これも二度目になるむっちゃん、実は店長の同期だそうだ。一人だけマスクを着けているから、てっきり“花トモ”かと思った…

サクラ

夜半の雨も、道端に小さな水たまりを留めているだけ。これで光が宿っていれば、明るい日曜日の始まりだけど・・・空の主役は今日もお休み。首筋を触る風だけが温い春の日、地上の主役の方は、今が“旬”のようだ。 テキ屋の姿もブルーシートも、提灯ものぼりも…

メントールに包まれた土曜日~1/3

あれだけ偉そうなことを言っていた割に、薄暗いリビングで10時を迎える・・・。 湿ったアスファルトと、時折強く窓を揺らす西風。ざりまま予報では茨城も似たような天気、“MX408コース情報”も更新されないままだし・・・起き抜けで寝ぼけたryoと頷きあって、…

跳び出さないのは・・・今日まで~難攻不落のステップアップ編2/2

ryoだけじゃなく、iguchi師匠も跳び始めて・・・あとはokano師匠とワタシを残すのみ。ここでの“躊躇”を取り戻すのは、フープスはおろか、コーナーやストレートエンドなど、あらゆるところで頑張らないといけないし・・・これはこれで危険な香りがする。「最…

跳び出さないのは・・・今日まで~難攻不落のステップアップ編1/2

machi-sanがいなくなったパドック。ローズ色のゴーグルレンズで気にならなかったけど、陽射しが射し込むことがないままに、空は相変わらずの曇り空だ。昼近くになって、少し灰色が薄くなっただけ。汗だくになることもなくて、走っているにはちょうどいい気温…

跳び出さないのは・・・今日まで~バトル&リタイヤ編

「目に物見せておかないと」・・・このフープスから最終コーナーまでは、iguchi師匠が得意とするところ。どこまで通用するかわからないけど、まずは加速したまま一つ目のコブへ突っ込んでいく。後で聞けば「あんな勢いで突っ込んで」と・・・“勢い”だけで走…

跳び出さないのは・・・今日まで~いつものバトル序編

後半には湿り具合が程よい加減になって、路面も楽しい走りに協力的だ。こうして丁寧に整備されているMX408が・・・ワタシは好きだ。saitoさんにとっては、もはや“盆栽”なのかもしれない。先週転倒を喫した上り勾配でも、アウトの縁までRMを寄せていけるよう…

跳び出さないのは・・・今日まで~赤い彗星?!編

いつもと感じが違うのは、50や65マシンがパドックに溢れているからか・・・小さなマシンがトランポの後ろに並んでいる姿は、それはそれでほのぼのとしている。背の低い原色たちを避けながら、ゆっくりとパドックを縫っていくと・・・machi-sanのvanette。久…

跳び出さないのは・・・今日まで

春陽の昨日からは思いもしなかった、冷え込んだ朝。太陽がしばらく期待できそうにないほど、どんよりしている。黒ずんだ雲に覆われた空は、気温に違わず寒々しい装いだ。 そんな勢いのなさに、どうしても出かける準備が遅くなる。夜積みしていたはずなのに、…

ナノハナの季節

春らしい花曇り。太陽が一回りもふた回りも大きくぼやけている。ヒバリがせわしなく羽ばたくのも、いかにも春っぽい。真上にしか飛び上がれないのは、神様から罰を与えられてしまったから・・・と、小学生の時に教えてもらった気がする。騒がしい鳴き声が、…

4月1日

あと少しで6時。陽が延びたおかげで、高層ビルの間は柔らかな水色のままだ。ガラスに映り込んだ光にも明るさがたっぷりと残っている。階段をひとつひとつ足で刻んでから、第一京浜を跨ぐペデストリアンデッキの上、流れる風には冷たさが消えていた。4月らし…