2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

なんかさ、

ryoが北海道へと巣立つ、その姿に会えていたら・・・何と言っただろうか。 小学校に入って間もない頃は、両手に載せられてしまうほどだったカノジョ。すぐにryoの背丈の半分ほどに育ち、秋田の血を引いているだけあってか、それからまもなく、立ち上がるとry…

春不遠

陽の落ちた跡が、瞬く間に蒼く褪めていく。宵闇に色を失いながら空は、雲を黒くたなびかせている。西に浮かぶ三日月だけが、残り日に、ふくよかなその輪郭をうっすらと映している。 ヘッドライトがアスファルトを眩く照らし出す。道端から伸びた桜のつぼみが…

また、あの日に戻れるかな 5(完)

iguchi師匠にokano師匠が居る。uchinoさんやkusabaさんにもしばらく会っていないし、machi-sanにはずっと会っていない。そして夕の木漏れ日を背に、Mr. Gとtohdohさんが声を上げて笑う。賑やかだったあの頃が今、少しずつだけどかすみがうらに戻ってきていた…

また、あの日に戻れるかな 4

<1/26の続き> いつからか・・・そこに集まる仲間に会いたくて、週末ばかりが気になるようになった。 「前の408で一緒になってからだから、もう10年かぁ」とsada-chanが、空を見上げるようにしてつぶやいた。 「利根川の河川敷で出会った頃に始めたんだよね…

南の風に吹かれながら

エレベーターホールに降りて、少し重たい硝子戸を右手で押し開ける。左に折れて通りに出るまでのわずかな路は、すっかりビルの陰に隠れてしまっていて、どれだけ待っても陽が射すことはない。朝、ここを歩いたときはまだ、足元のタイルが固く冷たかったはず…

また、あの日に戻れるかな 3

<1/24の続き> 774Compoundのだだっ広いスロープが見渡せるてっぺんから、明るい右回りの第3コーナーへ。不揃いの2台が、連なり跳び下りる。アウトいっぱいにはらむYZ。そして、フロントブレーキを引きずりながら、小さくインを回るRM。揃って立ち上がって…

Osaka Castle Hall in Osaka, Japan

武道館と並んでもうひとつ、西の街にも彼らの行きつけがある。 鉄とコンクリートで造られた5層8階の天守は、隆盛を誇りし御世の、さらに年月の流れたレプリカ。皇居の傍にたたずむ武道館からは望むことのできない古の日本が、浪花の空に浮かぶ。コンサートホ…

また、あの日に戻れるかな 2

<1/22の続き> パイロットを絞ったのはアタリだった。 フロントを下げながら向きを変えていき、すぐに斜面を立ち上がる第1コーナー。3速からひとつギヤを落として進入、底で折り返す少し前から、閉じていた右手を開き始める。先週はついてこなかった2ストロ…

1、2、3の日

わかりやすいから、その気にもなる。 冬空が日暮れて、風が立ち木を大きく揺さぶる宵闇の歩道。街灯から離れて暗がりの中、「いち、にのさん!」と小声でつぶやき、右足で跳ねてみる。思ったほどには伸びずに、左足からアスファルトに落ちる。すっかり重くな…

また、あの日に戻れるかな

南天から少し西に傾げた太陽。そこから射すヒカリが、バックストレートエンドをまぶしく照らしている。昼をはさんで、湿気た褐色は程よく乾き、踏み込むブレーキペダルが確実に路面を捉える。ブレーキレバーを引く人差し指にもチカラが入り、RMは前後バラン…

それぞれの記念日に

天使か悪魔か。初めて尽くしの男が大統領に就任するその日、愛すべきロックスターも、自らの記念日を祝う。一作目のソロアルバムのジャケットよろしく、紫色の照明に浮かび上がり、右手にはシグネチャーモデルとなったアイバニーズ。その愛器を高々と掲げる…

童心不帰

薄墨を刷いたような雲に藍が乗り、朝がゆっくり沈んでいく。遠く、第3セクターの駅を囲むように林立する高層マンションも、輪郭がその色に溶け出している。いびつに歪んだ空は、やがて静かに、冷たく大地を濡らし始めるのだろう。積もるほどには降らないけれ…

蛍岩

京都に貴船と呼ばれる地がある。そこにたたずむ貴船神社は、蛍舞う縁結びの社。そこに女性らしい歌が残されている。 物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞみる 菅原道真から「浮かれ女」と囁かれ、かの紫式部に「恋文や和歌は素晴らしけど、…

The Isle of Man 2

<2016/11/26の続き> 羊の群れが丘の上、のんびり草を食んでいる。アスファルトに跳び出さないよう、短く先を尖らせた石の柵がびっしり路肩にめぐらされ、その端で革のツナギを着たライダーがポリスマンと微笑み話している。ポリスマンの手にはスピードガン…

今月今夜の月

貫一の、そしてワタシの涙に曇ることなく、 東の空にきらりと横になって浮かんでいる。 見上げれば、オリオンが雄々しく輝き、 漆黒に散らばる星々が明日を約束する。 さても来年の今月今夜は、 如何な空模様になろうか。

Last years in high school

鈍色の昼と、真っ白な夜。 高校生最後の冬に思い出されるのは、窓に映る外の気配。傍らに置いた石油ストーブがガラスに露を張って、その色はいつも滲んで見えていた。濁りのないジーンのハイトーンに瞳を閉じて、今静かにあの頃を思う。高三の彼はそれからを…

Repetition

とんで とんで とんで とんで とんで とんで とんで とんで とんで まわって まわって まわって まわる サビはこんな風な歌だった。 北風が静かになった夕暮れに、 思わず口をついて出た。 ポンコツな左ヒザを抱えた鈍らは、 MOTO-X981とRM85Lに覚醒するのか…

睦月の寒い土曜日に

美妻の橋で鬼怒川を渡り、万博を機にすっかり垢ぬけてしまったつくばの街を抜けて、ひたすら東にかすみがうらを目指す。「今季最強の寒波が襲来」「関東平野も雪に警戒」と、とことん脅かされていた割には、陽射しに温もりの宿る穏やかな冬日。初めはずいぶ…

県道33号ライダー ~下~

権田の三叉路から国道を少し走り、その県道は再び北に向かう。勾配をつけて上る先、最後にいくつもの180°ターンを越えれば、裾野に湖を抱く榛名富士が見えてくる。左に曲がれば裏榛名。しかし、草津へと下るのではなく、しばらく湖畔をたどる県道33号。やが…

県道33号ライダー ~中~

職場が別れて、そろそろ20年。ワタシが公道から離れてもう、10年が過ぎた。それでも、こんなメールを読んでしまえば・・・やっぱり地図を広げてしまう。 表紙の端々がめくれあがり、すっかりヤレてしまったツーリングマップルを取り出して、「榛名山」を頼り…

県道33号ライダー ~上~

群馬県安中市。横川の宿を抜けるとすぐに、国道18号線の旧道が碓氷峠へと吸い込まれていく。そのずっと手前、道が信越本線と並行に走る街中で望む、小高い丘にへばりついた亜鉛の精錬所が、いつも強く思い出される。そんな街に昔の同僚で、今もバイクに乗る…

Viva Kasumigaura ! 7(完)

テーブルトップの平らにリヤタイヤが落ち、短く褐色の土煙が上がる。わずかに届かなかった飛距離。一周回って戻ってきたマシンは再び、長い斜面を駆け上がる。一瞬見えなくなった車体が現れ、青い空を背にゆるく放物線を描く。そして・・・先に跳びきったワ…

Viva Kasumigaura ! 6

ちょっぴり長く宙を舞い、斜めに下った路面へ落ちる。 周回を重ね、着地では衝撃を感じず、頂点ではリアブレーキを踏めるようになってようやく、揚々とパドックへ引き返していく。そのRMのレーシングと入れ替わるようにryoが、Kawasakiのグラフィックをまと…

Viva Kasumigaura ! 5

3速が伸びきらないうちにもうひとつ、シフトペダルを掻き上げる。4速を抱いた2ストロークエンジンがじわり車体を加速させ、陽に陰った斜面をフロントタイヤが捉える。背中に慣性と重力を感じる一瞬、その後ろから、クセのあるKenyさんの笑い声が聞こえた気が…

Viva Kasumigaura ! 4

右、左、そしてまた右に。 途中、小さなテーブルトップを二つ半端に越えて、大きく曲がる第3コーナーを右に立ち上がる。その先には黄金色にきらめくフープス。ひとつ目のコブの手前、まだ車体が斜めの状態から強引にシフトアップ、あとはクラッチレバーをう…

Viva Kasumigaura ! 3

<1/3の続き> 陰り無く照らす太陽と、宮城からやってきた元気な子どもたち。おかげでコーナーの湿り気はすっかりトンで、コロコロとした粘土がタイヤに絡む上質な褐色ができあがった。右の人差し指の腹に、路面のうねりが伝わり、2速まで蹴り落とされたギヤ…

バイ✋

張り巡らされたガラス窓に、白波立つ東京湾の碧が広がる。通された木製の丸テーブルに差し向かいで座り、外から聞こえるジェットエンジンに話が盛り上がる。ほどなくやってきたランチセットは、香辛料の利いた中華。屋号に恥じない味付けに箸を伸ばしては、…

Viva Kasumigaura ! 2 ~番外編~

いい音してるね、My Yellow Magic! ナノハナのランデブーは、もちろん映せなかったけど・・・酉年らしい放物線が青空に映える。 Special thanks to Ryo, my son. 2017.1.3 MOTO-X 981

Viva Kasumigaura !

ほとんど止まりかけたRM85Lを外寄りのワダチに押し込み、クラッチレバーにかかった指をグリップに戻す。saitoさんの「視線を先に!」の声を頼りに、1速へ落とした2ストローク85ccエンジンをゆっくり吹け上がらせて、ステップアップのてっぺんへと跳び出す。…

夜の微風

少し膨らんだ三日月のすぐ上に、金星が白く瞬く。まだ宵の口、西の空はほんのり明かりを残したまま、通りを過ぎる音が途切れ途切れに消えていく。明けて二日、街から遠く離れた田園は、静かに時が流れる。年を追うごとに幼い頃の気分は薄らぎ、街はいつもと…