2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

Ready to Race!? 5

<10/16の続き> あふれる音と光、そして師匠の瞳に押し上げられて、グリッドに向かう気分が整った。泥で重たくなったKXの車体を引き起こして、フレームにぶら下がる三角スタンドを外す。ヘルメット越し、鈍い銀色のトライアングルが砂利の上に倒れ、カラン…

ベスコンなのに・・・

“相性”というのが本当なら、北軽井沢にある山間のコースは、ナノハナには良くないらしい。 これで4度目になる昨日は、「今まで走った中じゃ、一番良かったんじゃないの」とryoが振り返るほど、喰い付きのいい路面。ただ二人とも、それすら味方につけることが…

Ready to Race!? 4

<9/25の続き> まぶしさの中、談笑している相手はざりまま。左の手首に絡んだリードの先で、大きな黒が飛び跳ねている。その輪郭は、遠くからでもよくわかる。iguchi師匠と、愛犬のクッキーだ。大きなカラダの後ろで、連れ立ってきた嫁さんの姿が出たり入っ…

H2R 前編

聞けば、真っ先にKawasakiが思い浮かぶ。そして、2ストロークマシン750SSの山吹色したガソリンタンクと、3本マフラーの吐き出す排気音が記憶の中で像を結ぶ。もう何年もモトクロスを続けているのに、モトクロッサーを引っくるめたバイクというものに、ほとん…

十五夜

浅草六区に建つドンキホーテ。歌トモの待つその6Fに向かい、すみだリバーサイドホールの足下を小走りで抜けていく。予定よりも30分早く届いたメールには、「着きました」と一言だけ。体調を気遣って30分遅らせたはずの集合時間は、結局元どおりになった。隅…

十三夜

月明かりが広がって、深い藍色の夜空に白い霞がかかる。星の瞬きも、碧い光に影を失くしている。雨と風が汚れを溶かして流し、澄んだ宵の空には、雲が西から東へ帯のように円く渡る。そして、月が潜れば、真っ白に透きとおり、ところどころ薄くひび割れてい…

Walter Wolf 4(完)

<10/1の続き> そんな500ΓWWのオリジナル、2年落ちのレーサーRG-Γ500 Walter Wolfを駆り、サーキットで挑み続けていた男の記憶が、それから15ページ続いている。“東海の暴れん坊”、水谷勝その人だ。“汚れた英雄”を追い立てる狼の姿は、「声を上げずにはいら…

Walter Wolf 3

<9/27の続き> 京成線のお花茶屋駅近くにある営業所から国道6号線を突っ切って、立石の先で都道318号線、通称「環状七号線」に出る。先に交差点を右に翻ったのは、yabeちゃんの乗る初期型RG250Γ。角張った“奴凧テール”にやわらかな腰の線がよくなじんでいる…