2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧
フープスを越えて、高速の左コーナーを真ん中からアウトいっぱいに立ち上がる。このラインは、ryoと同じはずだ。バックストレートを、そのまま左端でまっすぐ駆け抜けて、もう一度外側を左に回って・・・その先は、インを“潰して”走る。ロングテーブルトップ…
<2/25の続き> そのままピタリと張りついていって・・・スネークヒルの入口で、もう一度インから仕掛けてみる。結果は同じ。アウトからまっすぐ立ち上がってきたCRFが、傾けたKXの右横をかすめていく。スネークヒルの頂点からスカイブルーのジャケットを着…
夕方のラッシュにもまれながら、すべり込んできた土浦行きの常磐線に乗り込む。扉の近くを避けて、ちょうど座席の真ん中辺り。つり革につかまって、動きはじめた車窓から東の空を眺める。不規則に並んだビルのすきまからは、月が見え隠れしている。まだ宵の…
午前中の練習走行で絡んだ時とは、CRF150RⅡの速さが違う。「すぐに追いつく」と高を括っていたら、その差は開いたまま。詰まるどころか、気を抜いていると離されそうな勢いだ。「レースになると、みんな、練習の時と全然違うな」、okano師匠の口ぐせで片づけ…
スターティングバーが倒れて、クラッチレバーを放すまではうまくいったのに・・・その後が続かない。2速、3速とギヤを上げて、第1コーナーを過ぎるまでに、すっかり集団の後方へと追いやられてしまった。しかも今日は、アウトから被せてきた赤いマシンに前を…
<2/19の続き> 湯船に寝ころんだまま瞳を閉じると、灯りに滲んだ夜空が消えて、数時間前の明るい光が差してきた。耳の奥のほうで、キャンキャン吠えるような、KX85Ⅱの乾いた排気音がこだましている・・・。 使うグリッドは“半分”で、3クラス混走。とは言え1…
太陽が力強さを増して、昼下がりの街が明るく華やいでいる。低層のビルに囲まれた駅前のロータリーも、陰に埋もれることなく、本来の色で光を反射している。例年に比べて“低空飛行”の気温も、この時間になれば、ほとんど気にならない。陽射しが背中から首筋…
<2/18の続き> MX408に行くずっと前、MX408へ行くのが特別なことだった日々・・・。 あの頃、夢中で追いかけていたいくつもの背中は、いつしかひとつずつ消えていって・・・今は、目の前を走る、少し猫背の師匠だけになってしまった。その背中に夕陽が当た…
夜も明けきらぬうちから家を出て、駅に向かいクルマを走らせる。東京でも2℃に満たない今朝は、確かに冷え込んでいるけど、風が吹いていたおかげで霜も降りず、それほど寒さは感じない。今日は東京をはるか越えて富士のふもとまでの遠出。府中から出ている“シ…
<2/17の続き> 「アソコで来ると思ったんだ・・・」 ひとつ空けた右側で仰向けになったまま、ryoが空につぶやく。瞳に映るすべてがぼやけていて、雲のはしに浮かぶ三日月も、白い光のかたまりになっている。 「その前からフロントタイヤ、出してたろ?だか…
<2/16の続き> どの直線にも、大小の不揃いなコブが続いていて、とても座っては走れない。2周目を回りきらないうちに、左の太ももが張ってきた。ちょうど膝のお皿の上から内ももに向かって、力をかけるたびに鈍く痛む。それからも寒風吹きすさぶ中、土手と…
我が町、杉戸にも温泉がある。出来たばかりの『雅楽の湯』は、46℃の天然温泉かけ流し。田んぼのど真ん中に、純和風の平屋造りが忽然と現れて、最初はちょっと驚かされた。イバMOTOの帰り、いつもなら『湯ったり館』に寄るところを、今日はちょっとしたご褒美…
向かい風の中を、CRF150RⅡの後ろに続いていく。しばらく走って、草が刈られた広い場所に出ると、そこから右に切れ込む師匠。正面に、濃い藍色の川面が覗いている。倒れたアシの下には川砂が波を打ち、カチカチのMX408にはない、ふんわりした感触に何だか癒さ…
国道6号線をくぐるようにして、利根川の堤防へと上がっていく。西に傾きかけた太陽が、ぐんと高いところから白い光をふりまいている。たまにお役所の黄色いクルマが走るぐらいで、通りのない簡易舗装は、まっ平らできれいなままだ。ところどころ砂利道が残っ…
<2/11の続き> 昼も食べずにwestwoodまで走り、急いでイバMOTOのエントリー用紙を書きはじめる。12時を過ぎたばかりの狭い店内に、師匠とワタシの他に客の姿はない。2時になってから貼り出す、今日の“当たり目”は、まだ吊るされていなくて・・・ただの半券…
泥に汚れたブレーキレバーが、斜めにひん曲がって・・・端っこが空に向いている。カラダ全体に、得体の知れない重さがのしかかったように、うまく立っていられない。勢いあまって転んだのなら笑ってすませられるだろうに・・・我ながらあまりの下手さ加減に…
<2/10の続き> 凍った土が、表面から少しずつ融け出すと・・・さらに始末が悪い。乾いていれば高速の左回りも、車体を左に傾けるだけで外へとタイヤが逃げていく。傾ける角度を浅くしたり、“クセ”になってレバーに乗せられた左の人さし指を引き離したり・・…
「お昼から行ってみねえか」・・・ひさしぶりに20分単位に刻まれて、okano師匠とmachi-sanと一緒に走る“Aクラス”は、鼻っ柱の強そうな子どもらばかり。徐々に周回速度を上げていって・・・なんて、甘えたことも言っていられない。関東選手権の初戦まで、まだ…
日向と日陰で、タイヤの回り具合がまったく違うMX408。この冬は、得意の“カチパン”が少なくて、重たい泥を付けたまま走る日が多い。今日も日向は、そんなゆるくて明るい路面がフープスの終わりまで続いている・・・。そこから、一気にカチンコチンに固まる赤…
逆光の中、スネークヒルが濃い褐色にうねっている。頂上で間引きされた竹林からは、光がゆらゆらとすり抜けてくる。コースの入口を見ると、べったりと濡れそぼっていて・・・どうやら寒いだけじゃ納まらないらしい。「こんな日で良いのかよ」と助手席に視線…
<1/26の続き> できれば明日、日曜日にしたかったけど・・・大事な仕事をすっぽかすわけにもいかないし、どうせならたっぷり走りたいし・・・結局、寒さがアタマのてっぺんに突き抜けていきそうな土曜の朝に、もぞもぞとベッドから這い出てきた。氷点下の朝…
春生まれで、夏好きなワタシにとって・・・暖かな季節へ折り返す瞬間は、待ち遠しくてならない。肩をすぼめて暗い朝に歩き出すよりも、花粉症に苦しむ毎日のほうを選ぶ。寒いのは、やっぱりいやだ。桜が散る頃の陽気から、一転、ちらつく小雪が屋根の斜面を…
JRは、最初から“間引き運転”を決め込んで・・・夜が明ける前、テレビの中でアナウンサーが「今後の降雪情報に注意してください」と、眉根にしわを寄せながら、何度も繰り返している。真っ暗な映像にはナトリウム灯の橙がじんわりと滲んで、その真ん中、ゆる…
電柱の上から射し込む灯りは、手元を明るくするほどには強くなく・・・黒いタイヤは、いくら目を凝らしても、輪郭と空間の境がぼやけている。急いで家に帰ってきて、夕食もそこそこにガレージから外へ出て、キャリーの後部に座りこんだ。白いコンクリートが…
ちょうど駅に向かって歩くところで、ポツリポツリと雨が落ちてきた。傘をさしているサラリーマンの背中を、黒いモッズコートのフードを被った学生風の若い男が追い越していく。折り畳みの傘を出すほどでもなく、マウンテンパーカーのフードを被るか迷ってい…
きっと、弱ってきた自分が許せなかったんだよね。だから、シロに唸ってみせたんだよね。吠える声はかすれ気味で、上の歯と下の歯が当たっては、カチカチと音を立てている。何で吠えられているのかわからないシロの困った顔に向かって、吠える、吠える・・・…
毎年、この時季になると・・・白と茶のまだらな姿を思い出す。2月は、タロの生まれ月だ。居なくなってから、もう2年が経とうとしている。あの震災を経験することもなく、薄いガラスに挟まったタロ。地面にべたーっと腹ばいになって、アゴを突き出し、ドング…
ryoとokano師匠は、揃って“早上がり”。フープスの先に陽が落ちかけて、コースの奥から陰が伸びてくる。“遅れてきた”分を取り返すように、午後になってから本気で走り始めたiguchi師匠。その赤い“切っ先”が、ホームストレートの手前でKXの目の前に立ちはだか…