2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

真夏の祭典! 2

曇り空を背に、大型の旅客機がゆらりと機体を翻して、似たような銀色の腹を見せている。成田空港は、すぐそこだ。田んぼのずっと奥にあるスネークヒルは、Uの字をひっくり返したような弧を描き、陽射しも無いのに薄茶色に光っている。運転席も助手席も、Bong…

真夏の祭典! 1

高く抜けるような青と、ぎらつく太陽。昨日がすっ飛ばされていったような朝だ。それでも、手のひらを握りしめれば、親指の根もとから肘の外側の筋肉が、鈍く痛む。このところ、腕上がりなんてしなかったのに・・・シロとネロに引っ張られるたび、ギギッとき…

Revenge 4(完)

表情がわからないryoの姿を正面にして、ロングテーブルトップを跳び上がる。ワタシよりも師匠よりも、ざりままが一番飛距離を出しているというのが、どうも気に入らない・・・。その車影を思い浮かべながら、逆バンクを回って、コース脇の二人がよく見えるよ…

Revenge 3

ぶつかるようにして、第二コーナーを目指す二台。ほとんど同時に突っ込んだはずなのに・・・立ち上がった後は、一台分の間隔を開けて、CRFが前に居る。直線から第三コーナーを折れるのも、師匠の方が早い・・・ただ、その先のテーブルトップは、RM85Lが高く…

Revenge 2

午後の一本を走り終えて戻ってくると、寝ていられないくらい暑いのか、周りがうるさくて寝ていられないのか、テントの奥で師匠が目を開けていた。ただ、イスにどっかりと座って、すぐには走る気は無さそうだ。コッチも戻ってきたばかりで、とても相手になら…

Revenge 1

フープス手前のテーブルトップ。第二コーナーを立ち上がって、すぐに三速。第三コーナーのアウトの縁に一度車体を振ってから、向きが変わったところで半クラッチ・・・あともう少し。座ったまま我慢して加速すれば、跳び越せそうな気がしてきた。フープスを…

Burn you like a midday sun 3

昨日は拡げなかった日よけテントの下、午後1時の時報を聞いて、両手を頭の後ろに大きく伸ばす。そのまま首を足下に向けると、ウェアをはだけた上半身に、じっとりと汗が光っていた。正面でイスの上に反っくり返っている師匠は、眉根を寄せて瞳は閉じたまま。…

Burn you like a midday sun 2

時折、コースの上で一人きりになってしまうのは、何も台数のせいではない。とにかく暑くて、まぶしい。コースのほとんどに光があふれ、白くきらめいて見える。気温も上がって、「熱中症に気をつけてください!」とラジオもsaitoさんも連呼する。それがかえっ…

Burn you like a midday sun 1

土曜日よりも、はるかに青く、澄んだ空が光っている。鈍痛は治まってきたけど、頭はずっと重たいままだ。おかげで、今日も到着が遅れた。三連休の最後、うんざりする光の中でトランポがまばらに位置するパドックを、風が大きくさらっていく。まだ痺れの残っ…

You win 2

3時からの10分。最後の一本になってようやく、二人の間にそれっぽい雰囲気が落ちてきた。連れ立つようにパドックからスタートラインに向かう二台。前を行くのは師匠のCRF。少し離れて、エンジンをブン回したRMが続く。スターティンググリッドの前から、まっ…

You win 1

ざりままのCRFがスネークヒルを下りきる前に、クラッチレバーを握っていた左手が開く。人差し指にかかった反発力が軽くなって、リヤタイヤが回り始める。風は南西から吹いていた。フープスは向かい風で、バックストレートは追い風。ロングテーブルトップジャ…

I remember that we had met

陽射しと風のいい関係が崩れかかる午後。トランポのバックドアが作り出す、わずかな日陰にカラダを収めての昼休み。冷えた麺をすする音が、あちらこちらから聞こえてくる。大したものを食べないから、昼飯にかかる時間は、案外短い。そして、食後は・・・炎…

One-eyed hawk 3

そこから午前中いっぱい、nagashimaパパにしごいてもらう。力はあるけど、それを使って走るには腕が必要なYAMAHA YZ85LW。一昔前の、扱いにくい“気性”のエンジンは、良く言えば“玄人好み”だ。そのマシンを、派手に暴れさせるわけでもなく、静かに前へと運ぶn…

One-eyed hawk 2

スタートラインがグッと前にせり出して、苦手だったチェッカーとホームストレートをつなぐ山も消えていた・・・。箱庭のようにこぢんまりとしたホームストレートを蹴り出して、RMが第一コーナーへ近づく。加速する間もなく、左、右と忙しい。閉ざされた空間…

One-eyed hawk 1

着替える動きを加速させていると、今度はmachi-sanのCRF150RⅡに火が入った。師匠のマシンよりも、少しだけやかましいのが特徴だ。すっかり二人に遅れてしまった。さらに支度を急いでいると、無駄な動きもずいぶん増えて、頭がよけいにフラフラする。まだ走っ…

I'll be back 2

金曜の夜から土曜の明け方まで、たっぷり8時間歌いまくった後は・・・当たり前に寝不足。残りの土曜日を潰しても、フラフラした頭は変わらなかった。そのまま、明けて日曜日。横風にあおられながら緑の農道を抜けて、MX408へと走る。たどり着いたのは、9時に…

I'll be back 1

風がよく吹いた一日。子どもたちのレースが終わるのを待っていたら、ひと月ほど開いてしまったMX408も、しっかり風に包まれていた。時間が経つにつれて、雲も高く、少なくなっていって・・・乾いた青い空に、太陽がぎらついていた。3時30分が過ぎて、一台ま…

Sachsenring~番外編

劇的と言うには、あまりにもあっけない幕切れ。楽しめたのは確かだけど、二台でもつれ合うようにしてチェッカーを受ける“画”がほしかった・・・まあ、勝負の世界だからしかたがない。それでもストーナーには、二位で終わる選択もあったわけだから・・・さっ…

Sachsenring 3/3

路面に“肩”が擦れるんじゃないかと気をもませるように、静かに深く、寝かしつけられる車体。唯一路面と接するタイヤのおかげか、フレームと足回りの進化がなせる技か・・・どこかデジタルな感じのするマシンの動きも、また現実離れした映像で、自分のいる世…

Sachsenring 2/3

MotoGPが開催されるサーキットの中でも、1、2の“低速”を誇るとういうドイツザクセンリンク。ドイツと言えば、ホッケンハイムリンクを思い出すけど・・・往時の高速サーキットは改修されて、トリッキーなコースに生まれ変わっている。シュワンツとレイニーの…

Sachsenring 1/3

日曜日の深夜。正確に言うなら、すでに月曜日の午前1時30分。仕事もあるし、この時間からのテレビ番組なんて・・・どんなに面白くても、寝ずに見るほど元気な歳じゃない。夜更かしする理由になるのは、KISSのLIVEぐらいのものだ。寝不足に弱い体質は昔からで…

夏仕様

雲の上には夏がいて、いつでも準備万端だった。灰色がちぎれていって、昼から先は、空が真っ青になった。ぎらりと輝く太陽は、形のない光のかたまり。高く小さく浮かんで、頭の上から強烈な光を落としてくる。細い路地、建物の間がクルマ一台分ほどしかない…

501 ~2/2~

「名刺、見てもらえました?ダーツやってるんですよ。一応、プロで」名刺を見返してみると、確かに書いてあった。“プロフェッショナルダーツプレイヤー”・・・大人の粋な遊びくらいに思っていたダーツに、まさかプロの選手が居るとは・・・世間知らずという…

501 ~1/2~

リーバイスの話じゃない。 “お開き”まで、あと少し・・・。場所が大塚じゃなかったら、時間が土曜の夜じゃなかったら・・・まだ落ち着いて待っていられたかもしれないのに・・・ひとつ息を吐いて、長卓の上、焼酎の空き瓶が転がる酒席を、無粋にも途中で立ち…

one more time, please.

風が濡れている。しっとりとした、雨の休日。でも、せっかく遊び道具があるというのに、どういうわけか遊んでいられない土曜日になった・・・。ノートパソコンにつながったマウスを動かす右手の脇で、スタンドに黒いStratocasterがかけられたままでいる。三…

ツキが・・・

北千住を22:09に発車する「区間急行太田行き」。6両編成は太田行きの最終電車だ。二列に並んだ乗客の、一番短い行列を選んで・・・ホームを少し歩く。前から3両目の一番後ろのドア。ラーメンマンを思わせる偉丈夫の真後ろにつく。細く編んだ髪の毛が、黒いひ…

夏は夜 3/3

<7/1の続き> 右の目じりにだけ、そばかすが散っている。少し舌足らずの彼女に、4種類のカジュアルシューズを試し履きさせてもらう。襟ぐりの開いたワンピースを着ていて、ワタシの足下にかがみこむと、襟がふんわり浮き上がり、鎖骨とのすき間が広がって・…

梅雨の晴れ間に 9(完)

木に覆われた右の逆バンク。陽の当たらない路面は、鈍いエボニーブラックだ。イン側に刻まれたワダチは、途中から三本に散らばって、坂を上がるように延びている。一番手前のワダチに入って、少し乱暴にスロットルを開けると、一瞬でRMが真横を向く。ここは…

梅雨の晴れ間に 8

エンジンに不規則な爆発を繰り返させながら、コーナーの最後をていねいに回ると、跳び出しが少し崩れた斜面がひとつ。それを越えて左にマシンを傾けつつ、左の人差し指を引いて、短く“全開”。いくつかのギャップをステップに立ち上がった下半身でいなすと、…

梅雨の晴れ間に 7

<6/29の続き> 「午後になったらベストだよー」ヘルメットを脱いで、上気した顔のオヤジさんが笑い、吠える。その言葉を待つまでもなく、はまったぬかるみを避けるように大回りして、父子のトランポの横、クヌギの木陰にBongoを差し込んだ。また少し高く上…