2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Les Paul

出来損ないの息子に自由を奪われて、毎朝carryに乗り込み、駅までの10kmを一緒に走る。ryoに譲ってからというもの、わざわざ標準装備から換装したスピーカーに洋楽が流れることはない。朝のハンドルはワタシ。マニュアル5速の660ccは、社会人になってからし…

願わくは 10

okano師匠と、第2コーナーの真ん中から手を振るsatakeさんに目配せをして、もう一人の師匠に視線を戻す。後ろを走るのは「この夏までに追いつけ、追い越せ!」と妙に対抗心むき出しのmachi-san。このところ速くなってきているし、「仕事が忙しい」なんて言っ…

願わくは 9

散水もまっすぐに降る光に消し飛んで・・・干からびたコースは、すっかりMX408だ。フープスとここだけ、変わらないスネークひとつ目のテーブルトップを、アウト側いっぱいから跳び出して、反対側の斜面へと落ちていく。乾ききったスネークヒルを上って下りる…

願わくは 8

ひとつ目のクールを走り終えてパドックに戻ると、Bongoの向こうに、#51のCRF150RⅡが斜めに停まっていた。遅れていたokano師匠だ。「最近は土曜日が休めなくてな」・・・ほとほと草臥れるぐらいに、忙しいらしい。まだ着替えもしないで、やわらかく笑いながら…

願わくは 7

減速用のとんがり山は、通称“スパイン”。崩れかけて明るい茶色が覗くその頂点を前に、心臓が外に聞こえるほど早く強く鼓動を始める。すぐに息が苦しくなって・・・おまけに、ここまで抱えてきた“思い”をくじくように、2ストロークエンジンが、一瞬息をついた…

願わくは 6

RMのハンドルを握りなおして、ステップには立ち上がったまま、一度左に傾けた車体をすぐに右側へと寄せていく。コーナーの広さが目に入らないほど、たったひとつの線が砂に刻まれ、斜めに横切っている。小さなS字は、外に向かってなだらかに落ちていく・・・…

願わくは 5

「その後のダブルと右コーナーは同じで、その後のテーブルトップが二倍の長さに変更」saitoさんが言うように、少し反り返った褐色の斜面からは、細くて長い“テーブル”が延びている。出来立ての頃、半分よりもちょっと行ったところに縦溝が何本も走って・・・…

願わくは 4

第4コーナーのアウトバンクから、よどみなく加速しても、ワタシとRMが跳び切るには相当しんどいテーブルトップ。それでも跳び出しが“はっきり”しているのはありがたい・・・そんなことが、フープスのちょうど真ん中辺り、コブに弾かれながら頭に浮かんでくる…

願わくは 3

9時20分を前に、“先発”したフルサイズマシンが、ぞくぞくと自分たちのトランポの後ろへと戻ってくる。ゴーグルに、小指の先ほどの泥がブツブツとこびりついている。二台のCRF150RⅡは、とっくにスタート地点・・・出遅れたRM85Lの正面に、#3のYZ250Fが帰って…

願わくは 2

<5/20の続き> 「午後に用事があるから・・・」午前中だけの“スペシャルステージ”を決め込んで、真っ先に走る支度を終えたのは、ゼッケンをまとわないCRF150RⅡとmachi-sanの組み合わせ。走り出すのは9時20分からなのに・・・まだ9時になる前から、にぎやか…

淡い光の中で

5分遅れて、事務所の扉に手をかける。東武公を8時14分に出る“快速”のおかげで、大きな遅れを出すことなく、日暮里に到着だ。電子鍵の暗証番号を入力している間に、中から笑い声が漏れてきた。白い扉を押し開けて、耳に入ったのは・・・期待していた話ではな…

願わくは

農道を抜けて、利根川を渡る国道。右手の鉄橋に、常磐線が並行している。二車線の左側で、Bongoが前を走るクルマに追いついた。その白いセダンの前に、看板を背負った普通トラックが一台。きっちりと制限速度の中で走っているから、取手駅を前に減速中の常磐…

お散歩日和

月曜日まで取っておければいいのに・・・。雲のない青い空には、太陽がギラついている。右のわき腹のところに「MADE IN U.S.A」のタグが付いたTシャツ。いつまでもゴワついている白い一枚に、くすんだ緑色の綿パンを履いて、玄関を開ける。濃いブロンズ色の…

夕暮れのミタ

雨の上がった街に風が泳ぐ。改札から山側に出ていくと、ビルから風が落ちてくる。歩道橋で国道15号線をまたぎ、湿った階段をひとつひとつ、うつむき加減で降りていく。何となく左側を通行する人の波。右下から白のミニがゆっくり上がってくる。ふくらはぎが…

走り出せ!走り出せ!

毎週きちんと2回。月曜日と木曜日に、欠かさずメールが届く。メール会員じゃないと、通常料金。割安に利用するには、メール会員になるしかない。どこの商売でも、今では当たり前のようにメールアドレスを訊ねてくる。もちろん無料だし、メールアドレスを知ら…

“新生”MX408 その5(とりあえず・・・完)

4コーナー後テーブルトップ・・・テーブル後、ゆるい右コーナーでフープスへ okano師匠が、ちょうど山の向こうに消えたとき、二速に入ったままのエンジンを左指で無理矢理のばして、少し反り返った斜面に張り付いていく。白く乾いた土に尖った砂利がまかれて…

“新生”MX408 その4

3コーナーから4コーナー・・・4コーナー後テーブルトップ その影を追って、スタンディングで第3コーナーに入る。浅いバンクにRMを乗り上げ、そこから左手でハンドルを引いて車体を左に倒す。頭の中はnakane兄と同じつもりが、マシンにカラダが重なり、路面へ…

“新生”MX408 その3

今までに見たことのない色の直線は、どこか河川敷の匂いがする。三つ目のコブにフロントタイヤを弾かれながら、それを合図に右手を絞る。ついでに左の人差し指をちょんと引いて、腰を後ろに下げると、リヤタイヤが思い切り土をかむ。フルサイズマシンの一台…

“新生”MX408 その2

2コーナーは右にターン・・・第2コーナーを立ち上がってすぐ、小さなコブが 陽あたり良好。いい風が土の表を撫でて、造成したばかりのコースに打ちつけた激雨も程好い加減に落ち着いて、右手を誘う。まずはアウト。一番外にRMを寄せて、右へ大きく、ぐるり…

“新生”MX408 その1

周回方向は前回と、同じですが、1コーナーは左です スターティンググリッドはアウトかインか・・・第2パドックへと向かう通路からコースに入るところは、変わりようがなかったらしい。その入口からスターティングマシンの前まで走ってRMから左足を落とす。…

ご機嫌な別れ 10(完)

先週、オイル受けを忘れてできなかったミッションオイルを抜くのに、キンキンに熱くなったRMのエンジンが冷めるまで、ネロをコースに放してやる。バックストレートでsaitoさんの操るブルドーザーが、唸りを上げている。それとわかる機械音を発しては、キャタ…

ご機嫌な別れ 9

東武動物公園駅の改札を抜け、駅舎の隣に建つビルの2階。魚民の横にある非常階段から、下に降りる。業務用で何の工夫もない鉄の階段を、一歩一歩、不器用に降りる。左足が着くたびに、太ももの付け根に痛みが響く・・・朝イチで届いたsada-chanのメールにも…

ご機嫌な別れ 8

日が延びた休日に、暗くなってからエレベーターで下りていく。雨は上がって、星が一つ見える空に、まだ湿った風がビルのすき間で行き場を失っていた。ロータリーを彩るのは、不健康な光を放つネオン管。誘いかける赤紫色した輝きを背に、白いTシャツから伸び…

ご機嫌な別れ 7

<5/6の続き> 店に入ってすぐに降り出した雨は、まったく止む気配がない。太い雨の筋が、アスファルトに弾けて、白く歩道に流れる。会計を終えて戸口から外をうかがう視線に、「傘、ありますか?」と首を傾げてのぞき込む。陽が落ちてからにわか雨があるか…

まみむめも

「五月晴れ」と言うには、ちょっと光が弱い気もしたけど・・・風にさわぐ水面に、しっかりと小振りな太陽が浮かんでいた。このか弱さが、半年もしないうちに黄金色の大波になる・・・まだ緑もはっきりしない、細くて短い稲が、右に左にせわしなくそよいでい…

ご機嫌な別れ 6

鷹の爪が丸ごと出てくることは無くなったけど、今日の麻婆豆腐は辛そうだ。色もやけに黒っぽい。熱が閉じ込められた豆腐を箸で少し崩し、ゴロっとしたひき肉をからめて、一口含む。この前食べた時には無かった刺激が舌に走る。クセの強い刺激の正体は・・・…

ご機嫌な別れ 5

今日の“ワンコイン”定食は麻婆豆腐。お気に入りのレバニラじゃないのが残念だ。あまり辛いのが来なければいいなと思いながら、天井から聞こえるニュース番組に首を思い切り傾げる。高速道路の側壁には、崩れた大型バス。その理由を推し量ろうとする芸人キャ…

ご機嫌な別れ 4

怪しげな雲行きを見上げて、日暮里の街に歩き出す。朝が軽かったのと、午前中から頑張ってキーを叩き続けたせいで、かなり腹が減っている。安くて盛りが良いとくれば・・・目指した「おもひで食堂」は、連休に合わせたのか、定休日でもないのに暖簾が終われ…

ご機嫌な別れ 3

エレベーターを10階で降りて、左にある鉄製の重い扉を押し開けると、薄暗い空間の先に、もうひとつの扉が浮かんでいた。はめ込まれた磨りガラスからは、ほのかに蛍光灯の灯りがもれている。施錠を解除して中に入ると、パソコンのキーボードを叩く音が、カタ…

ご機嫌な別れ 2

浅草寄りの、いわゆる“裏口”になる改札から、いつものように常磐線へと乗り継ぐ。普段と変わらない人の波がTXの改札からあふれてきた。斜め左に向かって歩きながら、短く左右に体を揺らして、ひとりひとりすり抜けていく。2番線に取手からの快速電車がすべり…