2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

曇りのち雨 5(完)

<2/26の続き> ゴーグルレンズを歪める雨粒に、いつしか固い斜面は濡れそぼち、駆け上がろうとするKXのリヤタイヤが大きく横を向いた。ウォッシュボードの“借り”は、大小のジャンプで取り返すはずだったのに・・・右手を思いきり捻れない。「この雨で苦しい…

MUSIC STATION

ジャパン・ツアーがひと休みの今宵、地上波に乗ってKISSが茶の間にやってくる。ドーム公演に先駆けて、ひと足早くももクロとのコラボを披露するらしい。曲はもちろん、ステージでも盛り上がっている「Samurai Son」!と期待したいところだけど・・・ここは日…

曇りのち雨 4

周りに何もない解放感に気を良くして、胸にかぶったガードをガソリンタンクに近づけながら、右手を絞る。フロントタイヤは宙に浮いたまま、第1コーナーが大きくなってくる。バンクが反り上がって、奥行きのある左のヘアピンには、まだ誰も見えない。3速でア…

曇りのち雨 3

<2/9の続き> #51をつけたCRF150RⅡが、曇天に舞うチェッカーをくぐる。 すぐ前を走っていたマルセロには、あと一歩及ばず、メインスタンドの下で天を仰ぐ。そして、静かに視線を落とすと、スターティンググリッドに揃ったマシンをイン側からなめて、#41のKX…

140,000円(税別)

50を過ぎて、とりあえず働いていれば、出せる金額というやつがある。もちろん蓄えなんてないけど、少し我慢をすれば何とか手が届く。さしずめバイクか温泉旅行か。このタイミングに合わせた魅惑の価格と特徴的な意匠のホディに、ポンコツな収集癖がアタマを…

初日

いよいよ名古屋からスタート! オープニングアクトやらセットリストやらが、気になって気になって、楽しみで楽しみで、仕方がない! from KISS Online

光の国

午前6時30分。ryoと二人、ケータイの天気予報を確認したら・・・ちょうど12時のところに、雨雲の絵が青くペタリと貼られている。それを見たら、あっさりベッドに戻って二度寝することに決まった。ただ、昼から雨の降るはずだった空からは、結局何も落ちては…

そうだ 谷田部、行こう。

ノートPCを開いてChromeを起動して、開幕戦の続きをたどろうとしても・・・遠い記憶より、近い未来が邪魔をして、うまく言葉が出てこない。気がつくと、見ているのは自分のページではなくて、KISS Online。もう日本に来ている彼らの“今”が、どうにも気になっ…

朝の光に

すっきりと晴れた空に、太陽が上がっている。水蒸気の欠片も見えない青から注ぐ光は、まっすぐに勢いよく射して、辺りを光と陰に塗りわける。コートの黒さえ白く光らせる強さに、春先のぼやけた雰囲気はなくて、木々に緑が芽吹く頃のよう。季節はしっかりと…

あなたは何型?

ずいぶん面白い企画だと思う。 平積みの1冊を手に取り、ページをめくったまま、手首を回したり腕を振ったり。右と左の手のひらを合わせて、引き合ってみたり・・・。それによれば、ワタシはBー1型なんだという。代表選手はバレンティーノ・ロッシ。身に余る、…

ツーリング!

モトクロスを始めて、すっかり遠乗りをしなくなった。 3.3㎡のガレージには、窓際にCRF150RⅡとKX85-Ⅱが寄り添って並び、反対側の壁でスチール棚とカラーBOXが、工具を広げた木製のベンチをはさんでいる。橙色のDUKEは、そのベンチの横にサイドスタンドを立て…

日暮里界隈は、朝から大雪。積もることはないと言っていたけど・・・そういう日が、かえって危ない気もする。ただ、なぜだかココロはウキウキ。子どもか!

半月と三日月と

今日はよく引っかかる。仕事場のイスを回しながら脚を開いただけで、靴ヒモを結ぼうとしゃがんだだけで、左ヒザが途中で動かなくなった。脚は“く”の字に曲がったまま、こうなると、嫌な感触を覚悟するしかない。ふくらはぎを太ももに近づけるようにヒザを曲…

困った季節

目の詰まった等圧線のちょうど真ん中。この季節の関東地方は、風の強い通り道になる。金曜日から吹きはじめた北風は、一晩で暴れるほどに強くなって・・・昨日は西に開けたベランダに吊るされた洗濯物を、ほとんど真横に流していた。もう一晩過ぎて日曜日の…

Saint Valentine's Day

週二日、半日ちょっとの手伝いを頼むようになってから、もう二年くらいが過ぎる。事務所の左隣の席で翻訳を進める腕前は、長い年月で洗練されたようで、ふっくらした横顔が頼もしい。ただ、時折、甘えたように幼げな話し方をされると、ずっと昔、新入社員だ…

8:41AM

幾重にも色を重ねて、仕上げに小さな光の粒をあしらうようなネイルに慣れてしまった目に、真紅の指先が鮮やかだ。つり革を掴む手は透き通るようで、手首にBaby-Gの白いバンドが巻かれている。黒のハーフコートの下には、黒いニットのワンピース、そこから黒…

果敢な抵抗

はるか太平洋を越えて、ようやく助っ人外国人がやって来た。多額の“契約金”を積んだからには、それなりに働いてもらわなければ困ってしまうけど、「Defiance」の名に恥じないチカラを左ヒザに宿してくれるなら、それだけでいい。これで次の練習が、待ち遠し…

鬼怒川温泉

週のど真ん中に休めるのは、なぜだか得した気分になる。一日しかないから、あまり欲張りにもなれなくて、その緩さがまた心地いい。月に一度の「資源ゴミ」の日が、そんな祝日に重なって、少しだけ早起きの朝。陽が上れば3月中頃の暖かい一日、テレビから聞こ…

ミナミ

この冬の最低気温を更新し続ける毎日。2月に入って、どんどん動きが鈍くなっていくのがわかる。こうなると、決まって思うのが南への逃避行。6月がベストシーズンだと聞いていたけど、避寒の2月もいい時期らしい。泳ぎはあきらめなくてはいけないのかもしれな…

曇りのち雨 2

エキスパートとジュニアが一緒になって、今年から新しくできたEJ150クラス。この初めてのクラスに昇格したryoが、最終コーナーを右に旋回して、連続ジャンプの陰に消えていく。ひとつ前のレースをその連続ジャンプのすぐ脇で眺めていたら、すっかりグリッド…

曇りのち雨

止まらない、曲がらない、まっすぐ走らない。途中の「曲がらない」だけは、「曲げられない」と言うべきか――。 練習走行でパンパンに膨れ上がった太ももも、先行するレースを見ている間にだいぶ落ち着いて、左ヒザもたった15分では何も問題は無く、怪我してい…

土曜の昼

太陽が白くまどろみながら、南の空に浮かんでいる。朝の散歩がすっかり遅くなって、もうすぐ役場のチャイムがながれて昼になる。雨でも雪でも、晴れていても・・・シロもネロも、まったく気にすることなく、リードを持つ手をチカラいっぱい引いていく。一昨…

モボ・モガ

先週とまったく同じパターンで、夜の浅草、仲見世通りを突っ切って歩く。渋谷の喧噪とは違い、この街の宵闇は暗くて穏やかだ。ビルと坂に囲まれ、いびつな直線に切り取られた空には見えなかったスカイツリーが、ここからだと質感たっぷりに瞳の中、縦長に映…

大ハズレ!

傘も差さずに濡れたアスファルトの端を選んで歩く。まばらに落ちる街灯が、そこだけ路面を白く滲ませる。積もるはずだった雪は、お昼近くにほんの少し吹雪いてみせただけですっかり雨に変わり、宵闇の迫る時分にはもう、その滴さえわからなくなっていた。真っ…

左に、右に。

覚えがあるとすれば、年末の谷田部。“コータロージャンプ”の着地に失敗して、一気に斜面を滑るKX。斜めになったシートから飛ばされ、右手で思いきり土を叩いた。そのとき確かに、鈍い痛みが手首に残ったけど・・・それも年が明ける頃にはもう、気にならなく…

Tuesday

「どうですか、調子は?」 今日は火曜日、二週間ぶりのハビリにやってきた。ただ、いつもの笑顔でそう聞かれても、特に変わったところはない。1月の初め、出来立てでゆるんだ、ワダチだらけのMX408を楽しく走ったきり。もうひと月、バイクにまたがっていない…

都会の月

田町で仕事が終わる日は、どうも気分が下がる。北ではなく、南に下がっているのがよくない。ましてそれが月曜日だと、余計にそんな気持ちになる。線路に向かった14階の窓からは、レインボーブリッジが三分の一ほど、宵闇にうっすらと漂って見える。ビルとビ…

春の萌し

道端に続く畑の中に、黄色い花を見つけた。気の早い菜の花が、強い風に折れそうなほど傾げながら、小さなほころびを見せている。ハンドルをしっかり握っていないと振られるぐらいの北風。それなのに、空高くから射しこむヒカリは明るく眩しくて、カラダを暖…