途切れてしまった糸を繋ぐことはもう、できなかった。 「ラスト1周」のボードをくぐり抜けて、ホームストレートエンド。第1コーナーを苦手なインサイドに寄せ付けて、右へと折り返す。直前に撒かれた散水の痕が立ち上がる直線へと孤を描き、うっかり右手を開…
晴れた冬の夜。窓の闇に星が瞬いて、高原が冷たく沈んでいる。 ホテルのロビーには、夕餉をすませた泊まり客が何組も集まり、ベロア調の椅子に深く腰を下ろしてグラスで唇を濡らしながら、僕の知らない英語の歌を口ずさんでいる。チェックインの時には気づか…
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