2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

アジアンテイスト 後編

<5/25の続き> 北軽井沢の森の中、耳慣れない言葉が、オトコと、その彼女の奥底にだけ響く。タガログ語はフィリピンの母国語。彼らは、遠く北方の島国で、自分たちの同胞に出会えたうれしさのあまり、祖国の言葉で話しかけていたのだ。そう、彼らにとってオ…

ああ、忙しい・・・ 3

<5/21の続き> 散水車から放たれる撒き水が、まぶしく放物線を描きながら、明るい褐色へと落ちていく。一瞬、濃い褐色に染まった路面も、たちまち水を吸い込んでは、元の明るさへと戻ろうとする。乾いた風に飛沫が流れ、すぐに溶けてなくなる。乾燥した夏日…

あと5cm。

もしryoがバイクに乗ることがなかったら もう少し早くツーリングバイクに見切りをつけていたら そして、スズキとカワサキが、2ストロークを作り続けていたら・・・ きっと今ごろ、85ccよりも少しだけ大きな排気量の2ストロークで、今よりちょっぴり高くルー…

44になりました 3

<5/19の続き> MCで鳴らした強者たちと手合わせして、あわよくば一泡でも吹かせてやろうと意気込むココロを密かな楽しみにしていた。「ノービスクラス」の走行枠で走り出し、いつも以上のチカラでハンドルバーを握り締めては、小さな排気量のエンジンをいつ…

KISS comic

通販だってあまりよく知られていない時分に、お茶の水にある洋楽専門店まで足を運んで手に入れた。物語はすっかり忘れてしまったけど、インクに4人の本物の血液が混ぜられていたことだけは、40年が過ぎた今でも、強烈にココロに残っている。エースが大きく口…

6丁落とし 3

<5/15の続き> kyo-chanに言われたことを素直に聞いて、逆さまに取り付けてしまったクラッチプレートを組み直し、前後のスプロケットとチェーンも、1年前に仕入れておいた新品に交換して、ステムベアリングにはたっぷりと防水グリスを塗りたくって・・・マ…

アジアンテイスト 前編

まだ真新しいプラスチックの匂いが残るKX250Fを、少し遠巻きにのぞき込んでは、異国の二人が何か言葉を交わしている。そして視線の先、KXに寄り添いたたずむオトコが一人、彼らの視線をはずすように、横顔で平静を装う。もちろん、気づいていないわけじゃな…

ああ、忙しい・・・ 2 ~番外編~

それでもやっぱり、この音。 Special thanks to yellowheart76. 2016.5.21 MX408 3

南の空に

満月の端、左下がわずかに欠けた淡黄色が、南の空に浮かんでいる。その右、真横に並ぶようにして、火の星が小さな点を闇に印している。風の凪いだ夜、昼の気配が残る路地裏には立つ影が薄く延びて、蛙の声が波を打つように響きわたる。そして遠くバス通りを…

伊香保、六酒

土産にもらった六酒。これでようやく、笠間焼きの出番がめぐってきた。明日からひと味ずつ、のんびりやることにしますか。まずは清らかな響きをもつ水芭蕉から。

ああ、忙しい・・・

車体の軽さと、上質なサスペンションに驚喜したのは、初めの20分だけだった。スロットルを深く回せば回すほど、コーナーは小さくなって、あっという間に近づく。いい加減なブレーキ操作となまくらなバンクでは、思いどおりのラインから大きく外れて、立ち上…

REVENGE

大好きなエリック・カーに捧げられたアルバム“REVENGE”、そのタイトルには彼の、そして残されたメンバーの思いが込められている。ただ、それももう20年以上も前のリリースなのかと、時の過ぎ行くさまには、いつでも驚かされてしまう。今宵、ヘッドホンに「Car…

44になりました 2

<5/14の続き> 旧いMX408で、ようやく入口の近くに停められるようになった頃、それでもまだKX85-ⅡとRM85Lを「軽トラ」に積み込んでは、週末に通い続けていた。ただ、特別な土曜日だけは、そうはいかない。レース当日の場所取りもあって、いつもの広々とした…

Alive!

すき間だらけで雑味のあるこの絵と音に、生気がよみがえる。 Kiss - Cobo Hall 1975

島旅 後編

<5/13の続き> そんな大陸の広がりすら感じさせる、地平線が見える北の大きな島へ。最後に、一緒に渡ったryoが、今や住人となって二年目の春を迎えている。過酷な仕事を選んだ上に、その厳しい寒さを乗り越えて、少しはたくましくなったように思うのは、親…

6丁落とし 2 ~番外編~

百聞は一見にしかず。 Special thanks to yellowheart76. 2016.5.15 MX408 CRF150R貸切!

6丁落とし

チェッカーを下ろすsaitoさんが、片目をつむって、薄い笑みを風にさらしている。その目の前で最後のテーブルトップジャンプを跳び上がると、#148を着けたCRF150RⅡが、ちょうどコースから外に切り返そうとしているところだった。一度大きくエンジンを空吹かし…

44になりました

明日、軽井沢でレースがある。MCFAJ主催のモトクロスレース。ryoとiguchi師匠と三人で参戦を決めたその年に、慣れ親しんだMX408が無くなり、ワタシは左ヒザの前十字靱帯を千切ってしまった。ホームコースを頼みにしていた師匠は2レースを走って終わって、何…

島旅 前編

てっきり南の孤島をめざして旅立つはずが、気づいたときにはもう、平積みになった雑誌を手に、会計の列に並んでいた。高速道路は縦横に延びて、海峡をくぐって新幹線が上陸。数十キロに及んだ海岸線の未舗装路も、初上陸の記憶とともに、すっかりアスファル…

晴れたら

ひとつの翳りもない真っ青が、空いっぱいに広がっている。片隅にちぎれた綿雲が白くたなびき、その青さが余計に目に沁みてくる。しばらく冴えない空を見てきたせいで、瞳の奥までまぶしく染まりそうな朝。まだ幼い稲の補が、薄く張った水面に大人しく並んで…

雨と光と

夜の雲に、月が高く、三日月に滲んでいる。暗がりの中、庭の菜の花はすっかり黄色を落として、菜種をたわわに広げるだけになった。入り日薄れて、おぼろな月夜と言うには、季節は少し走りすぎている。そして明日は、この雲を吹き払うように太陽が上り、大地…

Amazonからのお届けものです♪

いきなり聴きたくなったJourney。ただ、そのベスト盤だけでは「送料無料」にならなくて、おまけでカートに放り込んだのがBlow By Blow。神の1枚だ。高校生になったばかりの夏休み、Scatterbrainを「完コピ!」する同級生に、驚きと羨望と嫉妬を覚えた、遠い…

休みのあとの

長い休暇の終わりを待っていたように、雨が夜陰を濡らしていく。路地のアスファルトに落ちた灯りが白くにじみ、クルマが水煙を巻き上げて通り抜ける。10日も前の記憶を、ただたぐり寄せるだけで終わった月曜日。夜の音と匂いを遮り、雨が降り続く。

刹那的回顧

このあと、ブレーキペダルのストロークがどんどん奥へと延びていって・・・。近づくコーナーに合わせるのが難しくなって、チェッカーまで5分のタイミングで、パドックへと引き上げた。人差し指の腹で押し込むと、抵抗もなく、ストッパに当たるまでペダルが落…

100%

10日もあれば、いつでも乗れるさ。そうしてのんびり、ぐうたらしていたら、もう9日も無駄に過ごしてしまった。気まぐれに通り抜ける低気圧に、イバモトにしぼんだココロがまたしっとりと濡らされて、結局ベスコンのホームコースを走る機会も失った。それでも…

恋心

その固い蕾は、何色の花を開かせる?蒼く淡い時代がなつかしい。

まだ足りないか・・・

1/2、百点満点の試験なら50点だ。 30年を越える付き合いはKISSの次に長いし、そのほとんどを遠出に当てていたのだから・・・意外というか、ちょっと淋しくなった。こんな狭い日本でも、四半世紀と少しではまだ足りないらしい。10分の1、とりあえず宮古島の…

みどりの日

それまでつま先立ちだったブーツが、少しだけ強く土を踏む。腰位置の低さと合わせるように前後に短く感じる車体は、右へ左へとふらっと軽く倒れて、小さなアールをちょっぴり楽しくしてくれた。そこから半クラッチを当てて2ストローク85ccの回転を一気に高め…

半分

長い休みがかえってマシンを遠ざける。 先月のレースで焼き付けたクラッチが板交換されて、静かに出番を待つCRF150RⅡ。その隣には、お店のina-chanに無理を言ってブレーキフルードだけ、無償で交換してもらった85SX。DUKEの前後のタイヤには空気が充填され、…

お大事に!

昨日の「ニジマスのお頭、7尾一気喰い」からお腹を下して・・・まったく食欲のないネロちゃん。ちょっと欲張りすぎたね、お大事に!