2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

感謝 3

<3/7の続き> 第1コーナーを抜けて、最後にゆるい傾斜のついた直線。その進入は、激しくブレーキングギャップが刻まれ、荒れている。その直線の途中、「お先にどうぞ」で前に出たからは、ここでスローダウンは格好がつなかい。インとアウトの真ん中辺りで甘…

少しは借りを返せたかな 6(完)

コーナーを抜けるたびに広がる車間を、短い直線だけで必死に詰めて走る。コースにやわらかな一筆を描くYZ、その軌跡を橙色の車体がでたらめに切り刻んでいくーーいつもの接近戦、ただひとつ違うのは、SXのリヤタイヤが、ずいぶんと山砂を噛んでくれること。…

少しは借りを返せたかな 5

<2/20の続き> エンジンの回転を落としたくなければ、遠回りをすればいい。簡単だ。とりわけ2ストロークという急いた性格のエンジンならば、なおさら。だからワタシのSXはいつも、ホームストレートを左の端に寄ってから、バンクの縁いっぱいまで迷わず大き…

善く生きよ

ギリシャ哲学の祖、その弟子にプラトンをもつソクラテスの忌日が、紀元前399年の今日。そこから4月27日は、哲学の日なのだという。「ただ生きるのではなく、善く生きよ」とは彼の名言、さすがに良いことを言ってくれる。“哲学カフェ”なる、現代の対話問答が…

何処へ行こうか

暦に2つ、赤い丸を付けてみた。 これで、このまま何も起こらなければ・・・10日の長い休みがやってくる。ツーリング三昧の昔なら、真っ先に西に向かって、荷造りを始めたかもしれない。それも今では懐かしくも、ただうらやましく思い返すだけ。目の前の世…

お洒落は

足下から! 初期型のハカイダーを想わせるSIDI・・・北から来るはずの夏サンタを待ちきれず、昨日お店で買ってきた。この色気に、レースの傷も癒される。

帰り道

薄暮のアスファルトに、つかの間ヘッドライトとテールランプが行き交う。記憶を失いかけることもない帰り道、淡く紅に染まる西の空に向かい、ボンゴのハンドルを握る両手にはまだ、チカラが残っていた。極上の路面に軌跡を刻むSX、誰よりも先にフィニッシュ…

サン・ジョルディの日

二十四年前に商売替えをしてから、よく文庫本を手にするようになった。好きな作家がいるわけでもないから、決まって夏、出版社がこぞって目録を配り始める頃、気に入った話の本を選んでは買い増しをしてきてきた。ただ、どれも残り香は少なくて、そのたびに…

ただ、

一週間、触れることさえできず・・・ただ、並び立つ2台を眺めていただけ。レースの前日、明日こそガレージに籠って、工具片手に夢を見ていたい。

八八

まだ前職でもがいていた春の終わり、ちょうどkeiのお腹も目立つようになってきた頃だ。朝刊の小さな切抜きを財布へ仕舞いこんだまま、販売店をぐるぐる回る日々。社会人になって間もない、今となっては考えられないくらいに若くて幼い毎日に、その日だけが迫…

跳んだ 4(完)

<4/6の続き> 一瞬で縮んだフロントフォークが、フロントタイヤを軽く押し上げ、すぐにリヤタイヤがリップを蹴りつけた。遅れないようにカラダを大きく上に伸ばすと、飛び上がるでもなく橙色の車体が、まっすぐオーバーハングに浮かんでいった。空中で水平…

下版

校了になったデータを印刷工程に送ること。クライアントでさえ何も言えなくなるということ。つまり、クライアントが、ただの人間に戻るということ。 「下版」。何という甘美な響き。ワタシの仕事にも、いよいよその日がやってくる・・・。

理由

理由なんてないさ。つい、そんな強がりを吐いてしまいそうになる。 それでも「再び」ではなく「ずっと」はまっているのには、きっと理由がある。この雑誌をめくれば、その答えが覗けるだろうか。カタナの意匠と強気なタイトルに惹かれて思わず手にしたGoods …

団子

MJと井上真央の恋模様が気になり、ついつい最後まで見入ってしまって・・・ガレージに居る団子たちの世話を焼くのが、すっかり遅くなってしまった。窓の外、激しくガラスを鳴らす風に揺らめきながら、太陽は西の空に見えなくなっていった。来週のイバモト…

大志

Boys,be ambitious. 忘れ難き一言を残して、クラーク博士が北の大地を去った。それが139年前の4月16日。志があったのかさえ忘却の彼方、それでもワタシは今を生きている。羊が丘に立つ彼が伸ばしたその右の手は、遥か彼方の、一体どこを指しているというの…

東京

幼い日々を東京下町で過ごしたワタシには、こんな時代に生まれた記憶が微かに残っている。もちろんリアルな記憶じゃない。それでも、映像に近いセピア色が、瞼を閉じればよみがえってくる。右を向いても左を見ても、老いも若いも誰もが皆、真上を向いていた…

夜会

今宵は洋楽に酔わされて。

悲喜

「KTMと変わらないんじゃゃない」 サイドスタンドに傾げた黒色のマシン。そのハンドルグリップに両の手のひらを添えて、腕だけで引き起こす。SXに馴染んだ右腕は、チカラの均衡がわからず、CRF150RⅡのシュラウドが右の腰に寄りかかってきた。半年ぶりに感じ…

黄金

2日と6日を休んでしまえば、10日のロングバケーションがやってくる。 長い休みを全部使い切って、本州の西の端やら北の端やらをめがけて走り回っていた自分を、窓越しの澄みきった青空に思い出す。前の晩から寝る間を惜しんで、テントやらシュラフやらを…

自由

若すぎて粋がって、「海を渡って夢をつかんでやる!」と息巻いていた時代。蒼の時代というやつが、たしかにワタシにもあった。とにかく自由になりたかったあの頃、この国に移り住んでしまえば、すべてがうまくいく。本気でそう信じていた。そんな幼いココロ…

奇跡

半年ぶりの4ストローク、その重さに戸惑いながら、とにかく前を追う。そんな被写体が高価な望遠レンズ越し、小さなファインダーに浮かび上がる。これはどう見ても、被写体の迫力じゃなくて、一眼レフのおかげ。それと、カメラマンの腕だ。でも、奇跡の一枚を…

一昔

モトクロスを始めて10年が過ぎて、だから、それだけ年老いて、カラダもずいぶんポンコツになった。あの頃、そうは言っても40を越えていたはずなのに、今思えばそれでも若くて、寝不足にも強くて、カラダの反応もすこぶる良かったとあらためて思ったりする。…

目力

「黒目が大きい」と、それだけで大きく得をするのは、人もわんこも同じらしい。その魅惑の瞳が、まっすぐワタシを見つめて動かない。せっかくゲージから出してもらって、暖かいリビングで抱かれているというのに、早くここから助けてくれと言わんばかり。だ…

予感

散々にコンクリートを打ち鳴らした雨も上がり、木曜の夜がひんやり更けていく。卯月に入って、ろくな日和がない。でも、桜は散りゆき、袂の菜花だけが、月光に黄色を揺らしている。テレビが「必ず晴れる」と言う金曜を越えれば、ふたたびの週末。SXを預けた…

跳んだ 3

<2/14の続き> 単純なテーブルトップジャンプなら、あわてることもない。途中でいつでも止められる。右足でブレーキペダルを踏みつけるだけ、それだけでいい。やさしいことだ。でも、ここは、そういうわけにはいかない。迷いよどんだ瞬間、フロントタイヤか…

ヤバいか!?

土曜日に預けてきたSX。症状が重たいのか、ただ時間がないだけなのか。お店からの連絡は、今日も来なかった。明日は定休日だから・・・このままだと、イバモト前の最後の練習を、重たいryoの愛機で走ることになりそうだ。ヤバいか。

車窓から

桜色した木々が、細い川に沿って弧を描いている。低い灰色の空は、ところどころ青くほころび、そこからヒカリがにじみ出す。去りゆく気圧の谷を、北寄りの風が追いかけ、春はすっかり大人しくなってしまった。 冷気に包まれた桜木は、人待ち姿でたたずみ、風…

2016.3.6 MX408

もっと速くなりたい・・・彼とともに。 MX408 vs CRF150RⅡ

Strutter '78

ココロ躍らせて針を落とした瞬間、短いドラムソロがリフレイン。原曲よりも少し遅れ気味に、ギターのリフが流れた。四人のレリーフがあしらわれた銀色のジャケットは、薄い紙を引いて鉛筆でなぞると彼らの素顔が覗くというギミックがほどこされていて、中学…

黒いヒヨコたち

いつしか空はすっかり灰色に覆われて、冷えたビル風が歩道を吹き抜けていく。それでも春の街並みには、笑い声があふれ、届かない陽射しを憂う気配はない。駅から雑踏と喧噪の坂を国道に沿って歩けば、真新しいスーツを着込んだ若者たちが、肩を寄せ合い、揚…