2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

manmi 5

<8/25の続き> 4ストローク単気筒、250ccのDOHCエンジンが唸りをあげる。「何もそこまで・・・」と思う間もなく、リヤタイヤが砂を蹴り上げて、まっすぐ目の前の斜面に突っ込んでいく。2速全開で斜面を駆け抜けたTT-R250は、フロントタイヤを持ち上げたまま…

manmi 4

「マンミには無理だって!」 渚を走るドライブウェイをはさんで海とは反対側、白砂が一段高く盛り上がって、遠くに松林がのぞいている。ワンボックス車の背をはるかに越えたスロープ、そこを越えてみたいと言い出した。バイクに慣れているならできないことも…

manmi 3

2日掛けて目にする日本海、5月の海は寄せる波も穏やかに広がっていた。 北海道生まれのカノジョは、北の大地が染みついたように大らかで、素直だった。バイクを操るときも、それは変わらなかった。「開けろ!」と言われればスロットルが止まるまで一気に全開…

manmi 2

<8/15の続き> 当世風の音を出さないクルマに混じっては、数台が千鳥に固まって、思い思いのエグゾーストを落としながら走るツーリストたち。ブームに乗ってバイクを手に入れ、北は北海道から西は四国まで一緒に旅した仲間は、すっかり家庭の中に収まって・…

manmi

半島をめぐる旅に選んだ宿は、千里浜沿いの松林に、横に長く建っている。まるで林の中に身を隠すように、浴場から食堂、大広間、そしてすべての客室を背の低い二階建てに詰め込み、細いアスファルトに寄り添い建っている。潮風の漂うアスファルトには砂がか…

真っ赤な女の子 6(完)

ビッグテーブルを跳ぶまでは、たしかに後ろを走っていたはずなのに・・・。 着地して荒れたストレートの先、左から右に切り返してシングルジャンプにかかる、そのたもとでコースを離れていく車影。ひとつ下がって左にタイトターンを決めると、CRF250Rがゆる…

真っ赤な女の子 5

好きなときに走り出して、自分がいいと思えばパドックに戻る。クラス分けなんて必要ない。自由なMOTO-X981を走るようになって、真後ろに迫るフルサイズ4ストロークの破裂音にも、ラインを乱すことが少なくなった。それでも今日のカノジョは、ちょいと違う。…

真っ赤な女の子 4

第4コーナーに左足を着けて、今抜けてきたばかりのフープスにアゴを突き出してみる。第2から第3コーナー、その第3コーナーから第4へと、だんだんに落ちていく。この高低差も、ここの楽しいところだ。そして、近づくエキゾーストノートにまた、途切れたはずの…

真っ赤な女の子 3

力いっぱいブレーキレバーを握りしめると、つんのめるようにしてRMも動きを止める。フロントタイヤは、CRFのリヤタイヤに触れている。カメは、両足をバタバタさせながらマシンを後ろに引いていき、ウサギは天を仰いでから、その長い腕をキックペダルに伸ばす…

真っ赤な女の子 2

<8/6の続き> トルクに勝る4ストローク250ccが、スルスルと坂を上り、頂点を越えていく。その後から、細いトルクをエンジン回転で満たすようにしてRMが、波打つ斜面を乱暴に駆け上がる。真ん中より少し右にマシンを振って一気に第2コーナーのクリッピングへ…

真っ赤な女の子

最終コーナーから立ち上がるCRF250Rが、コースインを待つRM85Lに気づいて、少しだけスロットルを戻した。そして、視線をこちらに向けたまま、目の前をゆっくり過ぎていく。ヘルメットを傾げるようにして視線を交わしスロットルを煽ると、色の付いたゴーグル…

「やっぱ、楽しいわ」 10(完)

いつもなら譲ってしまうのに、今日はどうかしている。そしてそのまま、右手がしびれるまで4ストロークのフルサイズマシンを引き連れ走り続けた。ようやく午後に終止符を打ち、最終コーナーをゆっくり回っていくと、濃い林の影にyuutaくんが、思いきりスロッ…

「やっぱ、楽しいわ」 9

RM-Z250のエンジンストップでバトルも途切れて、ゆるんだ口元のまま、パドックに帰っていく。今日は日除けじゃなくて、時折落ちてくる通り雨を避けるためのサンシェードに、いくつもの笑い声が満ちていく。少しだけ湿った、夏の涼風に気を良くして、すぐに愛…

「やっぱ、楽しいわ」 8

幅の広いハンドルバーが、ギャップを拾うたびに大きく左右に振られる。そして、グリップに伸ばした短い両腕が、さらにその振幅を増幅させる。 730mmのハンドルバーと85ccのマシンサイズに慣れたカラダに、フルサイズのYZ125は、いかにも大柄だ。コースインし…

「やっぱ、楽しいわ」 7

ノービスクラスとは言え、MCFAJのシリーズチャンピオンを手にしただけのことはある。 数ヶ月のブランクも、今のカレには当たり前の時間らしい。直線がやってくるたびにフロントタイヤをちらつかせては、コーナーの入り口で、楽しそうに後ろへ下がっていく。…

「やっぱ、楽しいわ」 6

<7/29の続き> 砂利を蹴り、乾いたエキゾーストノートを蒼白く残して、RMが伸びやかに 加速していく。薄い混合気に気を良くした2ストロークエンジンは、捻る右手に過敏に応え、気の抜けた上半身が真後ろに持っていかれる。そして第1コーナーへと続く木立の…