2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

初夏の軽井沢 6

<5/26の続き> ――スタート5秒前。大きな黒い字で“5”と書かれたボードを脇にたたんで、コーススタッフが正面から横に駆け出す。さびが浮いてくすんだ銀色のバーではなくて、そのバーを支えているストッパーをにらみつけながら、左の中指に小さなエンジンのう…

初夏の軽井沢 5

<5/24の続き> スターティンググリッドに入れるのは、先頭から数えて12番目。17台のなかの12番目だから、どうみても今日は“ハズレくじ”だ。そして、もうひとつ多い“13”のくじを引いたのが、ryo。ただ、チームそろって「くじ運が悪い!」と嘆くのも、ちと気…

真夏日のはずが・・・

u-chanのNinjaと走るのは、ほとんど4年ぶりになる。そして、enduとは――rgv250で煙を撒き散らしていた頃だから・・・もう10年は過ぎているかもしれない。モトパーク森に行けなくなった金曜日、その二人にメールをしてみたら、どちらからもOKが返ってきた。西…

初夏の軽井沢 4

<5/22の続き> 新車を下ろして1年半。それまで何もしていないサスペンションが、固くて豪快なアップダウンに挑む。一度きりの練習走行、たった15分の間に、ギャップに深くマシンが屈んで、ニーグリップの外れた左ヒザが、早くもゴキッとねじれた・・・。先…

初夏の軽井沢 3

<5/17の続き> 洗車場と受付小屋の間に、するりとした坂がのぞいている。急な下り、大小の砂利が続いたその先に、先週には無かったスターティングゲートが、土に埋め込まれるでもなく“ポン”と置かれていた。その前にKXを並べて、前の組、ざりぱぱの走るフル…

幸せな日曜日

着古した綿のTシャツに薄手のパーカーを羽織って、袖をひじまでまくり上げる。素肌に空から陽射しが注ぎ、水を張った田んぼを渡る風が、その上をさらりとなでていく。国道や、通りの激しい県道を避けて、小さな稲が揺れる農道へと折れてつないでいれば、止ま…

初夏の軽井沢 2

<5/14の続き> 浅間山のふもと、「軽井沢モーターパーク」は、嬬恋の緑と起伏の中にある。きっと山砂にあふれていて、もうひとつの“ホームコース”である「モトパーク森」のように、ふんわりした感触を楽しみにしていたら・・・それは、みごとに裏切られた。…

初夏の軽井沢

KX85-Ⅱの細いエンジン音が、杉木立に囲まれたパドックに響きわたる。なだらかに上った先に並んだトランポ、その一番右端に駐まったBongoへとカン高い排気音が走っていく。そのBongoの脇で、ryoがきつそうにヘルメットを脱いでいる・・・先に帰ったCRF150RⅡに…

『KISS 40』

一度注文すると、しつこいくらいにメルマガが届く――そんなうっとしい新しい商慣習も、たまには役に立つこともある。このところアナログ盤やらリミックス盤やら、やたらとkissのアルバムリリースを知らせてくるamazon.co.jpから、意味深な件名のメールが届い…

激走・三月までの~雨の三十日編~3(完)

シートに座ったままのおかげで、灰色に煙る空が、瞳の中に大きく映り込む。そして、瞳の奥には、8年前の景色がぼわっと広がっていく・・・。 初めてのモトクロス専用コース「MX408」は、初めてのスプリントレースも一緒だった。イバMOTOの前身、「サンデーモ…

激走・三月までの~雨の三十日編~2

<3/30の続き> 「最後にふさわしく、雨風ともに強くなる予報ですが――」と、雨雲を追いやるように、ひときわ高く声を張るsaitoさん。それを聞いて、Bongoの兄弟車“vanett”の中、少しふっくらとした頬でmachi-sanが笑う。ずっと会えないでいたけど、この日を…

激走・三月までの~MC第3戦編~

春の光に土埃が舞い上がり、ryoとiguchi師匠と、表彰台に立つTEAMナノハナの二人が眩しく映る。チームメイトの活躍が、晴れがましくもあり、やっぱり羨ましくもある。MX408最後のレースは、指折り数えるまでもなく、すぐにやってきた。そして、終わってみて…

激走・三月までの~最後!?の負傷編~3(完)

1時間半たっぷり休んで、午後の1本目。あれほど痛くてたまらなかった左膝も、大事に動かさずにいたせいか、まっすぐにしているだけならいつもと変わらない。そのままシートにまたがり、おそるおそる左脚にカラダを預けてキックペダルを探り出す。軽めの反動…

激走・三月までの~最後!?の負傷編~2

<3/9の続き> シートからだらりと左脚を下ろしたまま、顔をしかめてスネークヒルを上っていく。コースサイドに立つ常連さんが、飛び出し防止の緑色したネットフェンスから身を乗り出して、こちらを見ている。頂点は左コーナー。もちろん左脚は地面に着けな…

激走・三月までの~ひと月ぶりの練習編~5(完)

<3/21の続き> サンダル履きでBongoを降りると、まばらな排気音が、曇天に跳ね返っていた。冷たい風は相変わらずで、受付のほうから強く吹いている。その風に乗り、うねるように音をゆらして、せっかくの白いデカールを泥で汚してざりままが戻ってきた。ス…