昨日の雨にあらわれて、街路樹が、さっぱりとした緑を陽光に揺らしている。空は青く、雲が流れて、少し風も吹いている。降る陽射しは、どこまでも眩しく、目に映るすべてに強い陰影を与えている。建ち並ぶマンションの外壁、駐車場に正しく停められたクルマ…

細身のレンズは、真っ黒。やわらかく、こめかみまで回り込んでいて、その上に白く太陽が光っている。親しみやすいタッパなのに、短く刈りこまれた髪とサングラスの組み合わせが、近寄りがたい空気を漂わせる。黒いグラスをはずしても、saitoさんが言う「“ガ…

出遅れた者に、容赦はない。マシンは右から左から迫ってきて、“度胸試し”の瞬間がやってくる。運良く“すき間”を見つけられた者は幸せだ。そうでない者には・・・先を競う“我慢くらべ”が待っている。右手の力を抜いてしまったら最後、集団に飲み込まれて置き…

「・・・これじゃあ、レースに出ちゃいけないなぁと思って」 小さなカラダから右腕を伸ばして、突き出したコブシをぐるりと前に倒すようにひねって・・・ひらいた左眼が、やさしく笑った。 モトクロスのスタートは、わりと過激だ。横一列に並んだ30台のマシ…

第1コーナーを右に曲がり、小さく左にひねる。そこからもう一度左、ほとんど直角に折れて、テーブルトップジャンプの斜面をとらえる――浮き出た砂利と細かな砂ですべりやすいことぐらいで、ここまでは前と同じ。イン寄りのラインから立ち上がると、ちょうど右…

スターティンググリッドの後ろを通ってコースの入口まで、KXをまっすぐに走らせる。ハンドルを握る両腕にコツコツと細かな振動が伝わってきて――数日前の雨はどこへやら――土は固く締まっていた。左に小さくUターンするようにしてコースへ入っても、すぐには走…

＜5/20の続き＞ いよいよ高くなった太陽から隠れるようにして、両ひざにプロテクターをあてがい、oneのモトクロスパンツにブーツを合わせる。薄いナイロン製のモトクロスジャージを被るだけで、じわっと体温が上がってくるこの感じ・・・大好きな季節がめぐ…

＜5/18の続き＞ 途中のガソリンスタンドでハイオクを10l買い込み、いつもの信号で県道を左にそれて、そのまま静かに坂を上がっていく。daiwa houseの工場を直角になぞってから、今度は右にウインカーを下ろして、細い坂道を下り始める。ハンドルを握る手のひ…

野田から柏を通り、我孫子へとまっすぐに抜けるアスファルト。抜群の近道には、車線を分かつ白線がない。そんな農道に入る頃になって、ようやく雲も薄くなり、ところどころに水色の空がにじみ出てきた。田植えがすんだばかり、短く緑色の苗が、芝生の原のよ…

アノ音が好きだ。空気まで壊れてしまいそうなほど、どこまでも高く突き抜けていく音が・・・。 逆はよく知らないけど、たいていのバイク乗りは、クルマのことも好きだったりする。だからワタシも、F1がテレビで流れていれば、その前に座って見入ってしまう・…

いつ降ったのかわからないけど、たしかに空気が湿っていて、アスファルトのへこみに雨が溜まっていた。わりと強めに風が吹いて、宵闇に浮かぶ藍色の街並みが、ごうっと音を立てる。「5月って、こんなに涼しかったっけ」と思わせる通りは、朝方お天気おねえさ…

朝早くから、真昼を感じさせる光が射している。行き交うクルマにも、工業団地の白く巨大な建物にも、歩道の上を並んで走るセーラー服にも、丸々とした柴犬のリードを引くおじいさんの背中にも、ひとしく高いところから、陽光が降っている。すべてが白くきら…

パソコンの画面を眺めている傍で、雨がしつこく窓ガラスを打ち続けている。もう半日、まだ止む気配はない。庭先に移動させたBongoの中は、空っぽ。半年ぶりにオイルを交換したCRF150RⅡも、愛機KX85Ⅱも、ガレージに入ったまま。仕方なくインターネットで、“MX…

四日間。 連休後半と同じ数の平日は、「わずか」と言うにはいろんなことがありすぎた。それもこれも全部、月曜日に追いやり、特急「りょうもう」のリクライニングシートにカラダを沈めて、ぜいたくに帰る。5号車、通路側のワタシの隣、窓側のシートには、ピ…

東から吹く風に、あれほど熱かったカラダが冷たくなって・・・傾げた陽射しの当たる背中から右肩にかけてだけ、ほんのりとした温かさが乗っかっている。iguchi師匠が手に入れた、“1位”と記された楯を代わりに抱えて、今さらながらに悔しくてたまらない。それ…

＜4/30の続き＞ MCFAJ大会の翌日、そして三連休の最終日・・・思っていたとおり、パドックに停まるトランポはまばらだ。そんな広いパドックを、奥からちょうど半分ぐらいのところで、パイロンが仕切っている。老若男女を問わず、モトクロスの“入口”を体験す…