2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

初レース! 13

<11/26の続き> すぐ前を走るRM250だって、その前を行くCRF150RⅡだって、何とかなるはずなのに・・・どうしても前に出られない。その先を走るのも、ほとんど記憶にないマシンばかりが続いていて・・・ホームコースが聞いてあきれる・・・コースサイドに散っ…

粋な姐さん

下町らしく日暮里には、こぢんまりとした和風な居酒屋が多い。駅前のロータリーから放射状に延びる通り沿い、事務所から数分のところでさえ、両手では足りないくらいの店が揃う。このところの不愉快なこともあって、昼に和食を選ぶ機会が増えてきた。年相応…

そろそろ気になる空模様

あきれるほど真っ直ぐに続く農道を抜けて、利根の運河から県道へと躍り出る。運河を越えれば、野田市。でこぼこに砕けた夜に滲んでいた白い満月は、いつの間にか雲に隠れて、見えなくなっていた。ヘッドライトに黒く照らされていたアスファルトが、乾いた灰…

ちょっぴり遅めの朝は・・・

起き抜けの、まだ暗い路地にryoを送り出してから、落としたばかりの珈琲をカップに並々と注ぐ。少し濃いめに、たっぷり五杯分。今日はいつもより遅い出発、それもbongoで移動だから・・・寒気に張りつめた朝も、幾分ゆるんだ感じがする。次第に蒼さがとれて…

初レース! 12

<11/22の続き> 固くなった路面にマシンが集中して、左右にラインを振れない・・・。二周目からは、一筋になったマシンの列に、首を横に揺らしながら走り続ける。三周目。早くも後半となるフープスで、左端をゆっくり、でも確実に越えていく後ろ姿は、どこ…

地獄の獣神 ~番外編 2/2

ジーンは言う・・・「ボクシングの偉大な世界チャンピオンは、いつまでもリングに留まってはいないものだ」と。そして「今はKISSのリレーが行われているのさ。ある地点まで走ったら、ゴールまで走って行くのに最適な者にバトンを渡す」と続ける。白塗りに隠…

地獄の獣神 ~番外編 1/2

<10/7の続き> あの頃は良かった・・・じゃ哀し過ぎる。今が、そして未来が「一番良くなきゃダメだ!」。どこかで誰かが、そんなことを話していた。「新作を出しても、喜ばれるのは昔の曲ばかり」・・・アルバム『MONSTER』で、その憂鬱から解放されて、進…

それぞれの金曜日

「あれ、明日は走らないんですか?」・・・ほとんどU字工事と変わらない抑揚が、耳に当てたスマホから流れてくる。どんな時でも笑うように話す声を聞くのは、ずいぶんひさしぶりだ。夕べ、遅くなってからの着信は、tasakiパパから。新しい相棒となじむには「…

初レース! 11

<11/20の続き> ここまで、ずっと悪くない流れだったのに・・・気がつけば集団に飲み込まれていて、machi-sanが「最後から4台目!」と教えてくれたとおり、見知らぬ連中の巻き上げる砂塵を浴びまくることになった。第1コーナーに、KXをねじ込んでいけるだけ…

冬はつとめて?

今よりもっと冬らしかったはずの古に、「冬はまだ明け切らぬうちがいい。雪が降っていればなおのこと、霜が白く光っていてもいなくても、凍える寒さに急いで火をおこして・・・」と、とにかく冬が最も冬らしくふるまうのが早朝で、その時分が一番美しいと、…

初レース! 10

ほとんど最後に、ori-chanのCRF150RⅡがチェッカーをくぐって、マーシャルがコースに残されたマシンのないことを確かめていく。ここからだと、ちょうど真正面に見えるダブルジャンプをひときわ高く跳び越えて、一瞬消えた車影は、けたたましい反響音を従えて…

初レース! 9

スタート脇のテントで、グリッド抽選の棒を引く。迷わず手にした、細く平たいアルミの板に記されていたのは“11”。ゼッケンと同じ番号を引き当てて、なぜか「イケそう」な心持ちになると、スターティンググリッドの後ろ、コンパネに11と書かれたところまでマ…

初レース! 8

雲が灰色に厚みを増して、ほとんど気温も上がっていないはずなのに・・・走り終わったカラダは、薄手のモトクロスジャージをはだけても平気なだけ熱くなっている。ただ、素肌に当たる風は、冬のそれだ。一気に皮膚は乾いて、表面が冷たくなった。少し遅れて…

初レース! 7

ryoとiguchi&okanoの両師匠。そしてざりまま・・・きっと居るはずの4人とはバラバラのまま、短い時間がどんどん過ぎていく。テーブルトップジャンプの先、本当は灰色に沈んだ空が、ローズカラーのレンズをくぐって、瞳に明るく映る。コースのあちこちに散ら…

初レース! 6

コースインは、向かって右側。第1コーナーのイン側に居るマシンから、1台ずつ、黄旗にうながされて出ていく。それがわかっていたから、遠慮もなしに横一線に揃った列の一番右端へ、KXを並べた。割り当てられているのは12分、7、8周もできれば・・・の時間し…

初レース! 5

「uchinoさんと世間話してた」。コースとは反対側、東に広がる灰色を背に、ryoが小走りに戻ってきた。年間での“クラスチャンピオン”がかかった、大事な最終戦。それなのに、ryoのつまらない話にも、さりげなく付き合ってくれるのがuchinoさんらしい。KX85Ⅱか…

初レース! 4

12分の公式練習と、周回数が5周のレース。どちらも最後に組まれているのは、おまけのクラスなら仕方がない。小学校の運動会みたいに長い“演説”、目の前の勝負にはあまり関係のない役員たちの挨拶が続き、コースを代表して、我らがsaito“マネージャー”の一言…

初レース! 3

横にもう一台、iguchi師匠のハイエースが入れるように、長方形にはBongoを斜めに突っ込む。通路にちょっと“おしり”がはみ出ているけど、邪魔にはならないはずだ。その通路をはさんで反対側に、PURETECHの一団が、ずらりと緑色のマシンを並べている。その中に…

初レース! 2

マシンを二台に、二人分の荷物。助手席にはryoを乗せて・・・Bongoが重たそうに工業団地への坂を上る。いつもと1時間違うだけなのに、アスファルトの上はとても静かだ。当日受付は7時30分から・・・その10分前には、いつもの細い坂道を下って、最後のあぜ道…

初レース! 1

東京の日の出は6時13分。その1時間も前に、携帯のアラームが鳴る。窓の外はまだしんとしていて、東の空だけが、そこから夜が明けてくるのを知らせるように、暗い藍色を白くぼやかし始めていた。カリタのコーヒーメーカーでレギュラーコーヒーを落とし、冷蔵…

#11

予定のない土曜日は、誰にも邪魔されず、ゆっくり二度寝。雨戸と遮光カーテンをぴたりと閉めた寝室は、外が明るくなっても光がまったく入ってこないから、起きるまでずっと真っ暗なままだ。ふと目が覚めて枕元の携帯電話をまさぐると、7時を過ぎたばかり。今…

ビロードのゆらめきと、真夏の光と。

宵闇が迫る間もなく、駅前のロータリーが黒く沈み込む。赤や黄色のネオン管が、漆黒を背にしてひときわ妖しげに浮かび上がる。雑居ビルの10階、ブラインドのすき間の細い窓には、信販会社の派手なネオンが、ペタリと貼り付いている。これから冬至まで、日は…

平日、コソ練 7(完)

<11/6の続き> 65マシンをほとんど全開にしっぱなしの子どもを捕まえては、強引にコーナーのインをつぶして抜いていく。無気になるのは大人気ないと言っても、向こうも大人しくしているわけじゃないから、おあいこだ。明るい光と影が散らばる土の上、とにか…

All Japan MX in SUGO 7(完)

<11/5の続き> 「KYBジャンプ」があった場所は、新庄が名付け親のリズムセクションに生まれ変わっていた。「ルンバルンバ」というのが、何とも彼らしい。のこぎりの歯を立てたように、深くて尖ったコブがいくつも連なっている「ルンバルンバ」。しっかりマ…

平日、コソ練 6

<11/3の続き> 苦手なスネークヒルの底も、KXとの組み合わせだと、それほど嫌な感じがしない。他のところでもそうだけど、コイツだと何となく曲がりやすい気がする。ただ、マシンの倒し込みが甘いのは、あまり変わらないから・・・RMの時と、ホントはどちら…

All Japan MX in SUGO 6

<11/2の続き> “第2”と言っても、ここは、全日本のパドック。不安な表情にも、どこか秘めた自信のようなものが乗っていて・・・ずいぶん成長した印象だ。今ではもう、ホームコースのMX408でも敵わないのかな?大人びた瞳に笑顔だけを残して、第2パドックの…

サプライズ!

それでもMCFAJ最終戦の前週だけあって、前にも左右にも同じ数字を張りつけたマシンが、おだやかに日の差すパドックに集まっていた・・・MCウィークの心騒ぐ感じは、いつも刺激的で、気持ちが昂る。平日に仕事を休んでまで“慣らした”甲斐あって、カラダはだい…

平日、コソ練 5

<11/1の続き> スタンディングから膝を曲げて、シートのくぼみに尻を合わせる。左コーナーは、ようやく弧を描き始めたばかり。ステップに載せた右足を、つま先だけブレーキペダルに残して、そのまま浮かしてみる。リヤブレーキは効き続け、リヤタイヤが路面…

All Japan MX in SUGO 5

<10/31の続き> ピットエリアの上を、平坦なコンクリートがまっすぐに延びていて、路はそのままT字にぶつかる。左から右への下り坂、右に下りれば、ゴールラインに作られた「BIGフィニッシュジャンプ」を越えて、スタートラインに出る。左に折れて上ってい…

平日、コソ練 4

<10/30の続き> 動きの鈍い上半身が、若いKX85Ⅱのサスペンションに助けられながら、高速の左コーナーへと斜めに跳び出す。ここは、ラインの上に、まだ湿り気が残っている。真新しいフロントタイヤを頼り、左に覗く路面めがけてハンドルバーを倒し込む。傾い…