2013-01-01から1年間の記事一覧

Memories of 2013

そんなに悪くない――流行りの歌のような心持ちで、2013年の大晦日を迎える。真夏の鈴鹿へ行ったり、“chiba”と“budokan”でkissを二度見したり・・・寒くなってから寝起きが悪くなって、少し寂しい知らせも聞こえてきたけど、終わってみれば悪くない一年だった。…

Genuine parts tuning supported by Ucchi.

「あれ?全部新品だけど・・・自作のサポートはどうしたんだろう・・・」 着払いで宅配された小さな段ボール。ryo宛てに届いた荷物は、uchinoさんからだった。中に入っていたのは、KX85用のフロントブレーキキャリパー。てっきり中古品が来ると思っていたら…

気づけば、仕事納め。

「傷は川治、火傷は鬼怒川」の車内アナウンスを思い出しながら、そのやわらかな単純泉に浸っていたのが三連休最後の月曜日。そこからアキバの駅前にあるパブでイブを過ごして、次の日の夜にryoが茶髪のカノジョを連れてきて、一日空けて今宵、気つけば仕事納…

晴れはいい

快晴、微風。強い北風が吹きつけることもなく、冬の太陽が、精いっぱい高いところから陽射しを振りまいて、斜めにやわらかく背中を包みこむ。日向をえらんで歩いていると、KX85Ⅱを連れて走りに行かなかったことが、だんだんと悔やまれてくる。ようやくこの時…

師走

冷たい風にあおられて、忙しなく時が過ぎていく――小池真理子の『恋』を映像で観たり、ティファニーの輝きをガラス越しに眺めたり、最後まで「失敗しない」大門未知子に満足していたら――あっという間に、また金曜日になっていた。師走らしい、気の急く一週間。…

今日も走らず・・・

デロンギのオイルヒーターをガレージの真ん中に据えて、出力を決めるダイヤルも真ん中に合わせて、しばらくのあいだ、陽の当たる居間の隅で珈琲を啜る。グラム当たり1円の安豆でも、封を切ったばかりの“中挽き”は、お湯を吸ってふっくら膨れあがり、上品な香…

Evening star

水に溶かれた杏が、暗い藍色におされて、西の空の底のほうに沈んでいる。それを背に、きりりとした富士の姿が、左右へゆるやかに流れている。にじむように色を失くしていく橙の端には、黒灰色の雲が映りこむ。その雲を境にして空から色が消え、淡い藍色にど…

Memories of MX408

「そうだよな」と一言、声をかければ、たちまち涙を流してしまいそうに、ryoが顔をゆがめて笑っている。初めてのモトクロスコース、スターティングバーを使ったスプリントレースも、ココが初めてだった。毎週のように通い詰めて、師匠たちにしごかれて、何と…

弟って言ったら・・・ 後編

『Unmasked』。邦題『仮面の正体』が見つからないのは、ずっと前、kyonちゃんに貸したきりになっているから・・・。まだ一緒に仕事をしていた頃だから、もう20年近く経つのかもしれない。「弟が気に入ってしまって・・・」と言われたまま、それはついに返っ…

弟って言ったら・・・ 前編

日本で発売されたkissのアルバムは全部持っていたはずなのに、何枚か見当たらなかった。引っ越しの時にでも無くしたか、ryoがどこかへしまい込んでいるのか。とにかく4枚、いつものCDラックに刺さっていなかったから・・・新しいSOL22のSDカードは、歯抜けの…

Machine Head

12月になると、なぜか1月からの11カ月をふり返りたくなる。ただ、個人的な10大ニュースを探そうにも、それほど劇的な1年じゃなかったようで、4つ5つぐらいですぐに止まってしまう。ほどほどの338日。それでも、夏には鈴鹿へ行ったし、KISSには2回も会いに行…

この次は・・・ 後編

<11/25の続き> 陽が大きく落ちてきて、ホームストレートの中に立つテーブルトップジャンプは、逆光の陰。黒くかすんで映るだけで、斜面の始まる位置はまったくわからない。怖くて、そのずっと手前からフロントブレーキを引きずっていたら、ほとんど止まり…

初成田!?

新庄剛志がまたがると、フルサイズのマシンも小さく見える。グリップの外側から包み込むようにした右の掌が、ずいぶん乗り込んでいる雰囲気だ。「モトクロスバイクで、クルマ5台を跳び越える大ジャンプ」、テレビ映えするタイトルに惹かれて、チャンネルを6…

ただいま! 6(完)

てっぺんから望む斜面は、のこぎりの歯を立てたよう。どこをどう走っても、ワダチに入って下りるしかない。それでも、どうにかして平らなところを走ろうとして、斜面の下をほぼ直角に折れる。赤茶けた壁すれすれ、右端から大きく回り込んで、砂の少なくなっ…

ただいま! 5

右手を開こうとしても、レバーにうまいこと指がかからない。リヤブレーキを使うのもヘタクソだから、ギリギリまで突っ込んでいけるはずもないのに・・・バンクの縁のはるか彼方に、ざりままとsaitoさんの姿がわかると、ついつい無理をしたくなる。向こうはコ…

ただいま! 4

<11/20の続き> 立ち上がり、緑の車体を急いで垂直に起こす。ラインの上、固く小さな凹みができているのがわかる。これに弾かれると、ひとつ目のコブで大きく振られて、少し慌てることになる。両ひじを張って踏みつけたり、わずかにラインをずらして避けて…

No place for hiding. No place to run.

陽が射して、見る間に霧が晴れた。青い空の下、寝ぼけたように霞んでいた通りの横断歩道が、いつしか白く光り輝いている。その眩しさに、carryのディマースイッチを手前に回して、前照灯を落とす。雨上がり、微風。この時期にしては、暖かい朝だ。「ホント、…

この次は・・・ 前編

最後の10分、大人はみんな“上がって”しまった。ryoもiguchi&okano師匠も、MCの強者もみんな・・・。コースに残ったのは、小さくって元気のいい子どもたちばかり。張り合いのない10分になりそうだけど、さっきのクールで#129のCRF150RⅡに逃げきられて、この…

Welcome to the show!

「自動車なんて創ってないで、早いとこ150出してくれよ」 そんな青くて小さな声が、どこからか聞こえてきそうだ。昨日から、まずは関係者だけに公開が始まった「東京モーターショー」。往年の輝きを取り戻そうと、各メーカーがこぞって“スポーツカー”をお披…

ただいま! 3

ブレーキが間に合わず、背の低いアウトバンクまでフラフラとはらんでいって、そこから強引に、KXのフロントタイヤを180°左に向ける。コースでいちばんせせこましいS字を抜けて、跳べないテーブルトップの裏側にフープスが待っている。ココも、ひとつひとつの…

ただいま! 2

ココの跳び出しも、きれいな角度に固まって、ずいぶん落ち着いてきた。しっかり減速さえしていれば、浮かせた腰にシートがぶつかってくることもない。その先は、いつまでもダブルジャンプにできない大小のシングルジャンプ。それをひとつずつ乗り越え、バン…

ただいま!

心おきなく跳びあがり、気持ちよく放物線を描く。フィニッシュラインの先、斜面におりたKX85Ⅱのシートに腰を落とし、左に大きな弧を引いて、コースの幅いっぱいに立ち上がる。昔を思い出す“アウトインアウト”は、ワタシにとって理想的なライン。そのあいだ、…

塩梅

雨上がりの、暖かい青い空。初冬の太陽が、空の高くへ、精いっぱい上っている。さえぎるもののない東南の方角には、薄黄色の光が散らばって、見上げるだけでクラクラする。ちょっとした坂道を降りて、畑の角を左に折れれば、今度は陽射しが肩にぶつかる。正…

『サムシングブルー』という題の本を読んでいるせいか、晩秋の高気圧のせいか、とにかく青がよく目につく。夜には雲に覆われるはずの空は、今朝も青く澄みきっている。枠いっぱいに広がる青、都会を抜ける沿線では、こうはいかない。すでに足下から温風が吹…

Happy Wednesday!

快晴、微風。気温8℃。北よりの風が朝を薄く包んだまま、街並みもひんやりと静かだ。見上げる空は、淡く白を刷いたようでどこにも陰はなく、うっすらとした水色がいっぱいに広がっている。東の空が辺りの建物の線を、まぶしくくっきりと空に描いている。夏の…

ジングルベル♪

時計の針の進みは、思いのほか早くて・・・予定の4時を1時間も過ぎて、ようやく小さな会議室から解放された。カン高い電子音とともにやってきたエレベータに乗り、14階から一気に下りていく。外側をつつむガラス窓には、藍色の宵闇が映りこみ、正面にそびえ…

冬の入口

漆黒の闇に、冴え冴えとした月が白く上がっている。下の半分がくっきりと浮かび上がり、辺りの星は、目を凝らしてやっと見つけられるほど。眩い月夜だ。街灯よりも、もっと白くはっきりと、往く小道を照らしている。そのまま見上げていると、暗がりに風が唸…

You want the BEST. 7(完)

<11/2の続き> エンジンに火が入って、パドックから先にいなくなったのはYZ。その青い車体が、スターティンググリッドの端っこに佇んでいる。視線をコースに移すと、あちこちに子どもたちのマシンが散らばって、小さな土埃を上げていた。青いリヤフェンダー…

鮫川で過ごす日曜日。

「いやぁ、走った走った。いつ来ても、笑って帰れるのがココのいいところ」 握力の抜けた右腕をストレッチしながら、西日に向かってハンドルを切るryoに笑いかける。途中の細い道を思い、緊張した横顔のまま、「いつもだけど・・・2000円分は走ったよね!」…

You want the BEST. 6

ヘルメットをBongoの荷室にころがして、狭い日陰に据えたビニールイスの背もたれにドカっとカラダを押し当てる。白を基調にしたJTのモトクロスパンツ、その右膝からアルパインのブーツにかけて、ざらりと土がこびりついていた。バックストレートの終わり、張…