2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Happy birthday

夕べのカラオケで、いつもの“機械”を選ばなかったのには理由がある。歌トモが居ないときぐらいしか選べない、LIVE DAMにしかない曲を選ぶために――。 他の2人が仲良く昭和歌謡を歌っている間に、そしてリモコンで覚えたての曲を選び出している間に、「本人歌…

Rehearsal

ヒカリの先、通りをそのまま行けば、伝法院通りに突き当たる。9時を過ぎたばかりだというのに、下町の夜は早いうちから、喧騒が離れていく。大きな雷門のちょうちんから延びる仲見世通りも、ただ広く、まっすぐに浅草寺へと続いている。一月もあと二日の金曜…

princess Sapphire 2/2

<1/27の続き> 二人の子どもが一歳を数える前に、ワタシは会社を辞めた。そして、その少し前、愛機を2スト250に戻した。ずっと2ストロークに育てられてきたから、何か感じるものがあったのかもしれない。新しいV型2気筒エンジンを積んだマシンは、“彼ら”と…

SAMURAI SON

「ジイン・シモンズ」 「ポール・スタンリィ」 「ピータ・クリース」 「エース・フューリ」 彼らの二枚目となるHOTTER THAN HELL。アルバムジャケットには、“地獄のさけび”と日本語が写され、4人の名前とパートが、妙なカタカナで書き表してある。ジーンは…

princess Sapphire 1/2

「ウチはリボンの騎士みたいにする」 ryoに遅れること数ヶ月、先輩のところには、ちょっと色黒の女の子が生まれた。三度の飯より単車が好きだった二人。まだ眼も開かない赤子を未来の二輪レーサーに仕立てては、紫煙をくゆらせる。原付にヘルメットがないと…

Nero chan

細身で小さいカラダをいいことに、冬の間は居間に爪音をカツカツ響かせて・・・夜になるとryoのベッドにもぐりこみ、くるりと丸まる。MX408から連れてきてから、keiにもryoにも可愛がられて、少しずつわがままに育ってしまった。泣き虫で、ずっと寝てばかり…

On Sunday

「とんでもないコースっすよ、小っちぇえバイクの大人にはホント危ないって」。声の主は、サングラスの奥にやわらかな瞳をのぞかせている。霞んだ空の下、河川敷に砂埃が舞い上がり、けたたましい排気音が高く跳び上がっていく。 「真ん中のでっかいテーブル…

Positive

南の端からじわじわとうろこ雲が近づいてきて、太陽をまだらに隠し始めた。照ったり陰ったり。大寒を過ぎた陽射しは少しチカラをつけたようで、ネロとシロに牽かれるワタシの肩に春が宿る。そして光が、その小さな雲片にさえぎられると、北から寄せる風はカ…

YUMENO UKIYONI SAITEMINA

延長戦の後半でも決着のつかなかった試合は、サドンデスになったとたん、すぐに終わった。前がかりになっていた気持ちが、その瞬間カラダのうちに戻ってきて、背中から崩れそうになる。結果は「残念」で片づけてしまうには、あまりにつらいものだったけど・…

Thirtyish

梅田の地下街には、いつも人があふれている。 JRや地下鉄の駅に行く人、そこからやってくる人、そして阪神百貨店に向かう人と出てくる人。老若男女がてんでバラバラに、早足で通り抜けていく。しゃべる声は派手で大きく、もちろん関西訛り。真冬でも彩を忘れ…

Z01

大きな波を乗り越えたと思えば、横から来た別の波に呑み込まれて・・・右に左に回るようにもがきながら、何とかくぐり抜けて地上に出ると、冷たい雨に歩道も車道も、黒く濡れている。ほとんど平らなところが見当たらないから、すり鉢の斜面の途中に立たされ…

Conservative or reconstructive

「ヒザの裏にある腱を1本、切り取って使うんですよ」 “掛け値なし”のスッピンに、大きな瞳がくるっと動く。 「それを、こうして二つに折って、切れた靭帯の代わりにするんです」 てっきり切れたところを縫い合わせるのかと思ったら・・・まさか自分のカラダ…

Open Arms

まあ、あるとは思っていたけれどね・・・それが今日だとは。そんなことを気づかせてくれるのは、もちろん歌トモ。今日、1月19日に、国営放送の番組「のど自慢」が始まったからだとか。そんな記念日に、カラオケチェーン店はいずこも沈黙。まったくメルマガが…

Tomahawk?

こうなりゃ後は、空を飛ぶしかないか・・・。 左ヒザの湯治をかねた週末の温泉宿。白く濁った湯船に立ち込める強い硫黄臭が、遠く離れた客室の扉をすり抜けてくる。湯上りの火照ったカラダを横に倒して、片手でスマホの画面をフリック。気になったポップアッ…

Holiday

週末、11時。ホームに入ってきた中央林間行きの急行に乗り込み、車内で腰を下ろす。座席は歯が抜けたように空いていて、つり革につかまっている姿は見えない。わずかにドアにもたれかかっている人が居るのは、次の停車駅で降りるのかもしれない。空調に、窓か…

Approach

受付に置かれたコンテナとフィニッシュテーブルの間を通って、KX85-Ⅱをまっすぐに走らせる。砂利の小道は、そのままM・X・4・0・8のパネルの方まで延びていく。サーキットで言えば、さしずめピットロード。ただ、湿ってゆるい路面には、コースから移ってきた…

You are the wolf?

雪になると思っていたら、小さな暴風“雨”。雨は固く窓ガラスを叩き、折りたたみの傘を広げても、スーツの足元を濡らして逃げていく。ビルとビルの間からのぞく空が、生気のない灰色に塗られて、原色の彩りをひときわ光らせている。すぼめた肩にウールのマフ…

Reschedule

一度外してしまうと、なかなか戻ってこない。そして、不思議なくらい流れに流れて、どんどん離れていく。もちろん、ボキボキとうるさい音を聞かせる左ヒザの話じゃない・・・。 去年の11月に「ちょっと早い忘年会でも」と話していたら、まず、その言い出しっ…

Detroit Rock City

スマホの再生リストは、流行りの歌を合わせて10曲すべてが邦楽。この次、歌トモに披露する曲を選んでレンタルまでして、朝と晩の通勤電車の中、欠かさずに聴いている。それでも駅までの往復、軽トラの中だけは、挿しっぱなしのUSBメモリに入ったKISSのアルバ…

Happy Monday

いつもの週末に、もうひとつ。休みが三日つながるのは、何はともあれうれしい法制度だ。走りに一日、洗車に整備と、後片付けに丸一日使っても、まだ一日残っているから・・・寝転んでテレビを見ても、買い物に出かけても、ゆっくり雑誌をめくっても、何をし…

I'm back! 2/2

地図を片手のryoに案内をさせながら、朝日に揺れる牧場の中、教えられた”近道”をたどり走る。おかげで今度は行き過ぎることもなく、無事、県道25号線に出た。そこから信号をひとつ曲がって、圏央道をまたぎ、舗装工事の進んでいない工事中の道路から左へと分…

I'm back! 1/2

西に大きく傾いた太陽が、フィニッシュテーブルに向かうゴーグルに映りこむ。逆光に沈む斜面、深く刻まれたワダチが瞬間見えなくなって、思わずブレーキペダルに右足のつま先を押し付ける。失速した2スト85エンジンの上、眼を凝らして、見えないワダチを探し…

Are you ready?

東京都大田区平和島。東京の南の外れは、向かっているだけで、思わず帰巣本能が働いてしまう。京急線の駅から片側三車線の環七に沿って、すれ違うのがやっとの細い歩道を歩いていく。よくもまあ、こんなに遠いところへ1年間通ったものだと、3年前の自分を今…

Arena

1月も早8日。正月気分のままでいたら、仕事始めから一週間になろうとしていた。「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」とは、先人たちはよく言ったものだ。ホントにそのとおり、あっという間に時間が過ぎていく。スマホのスケジュールアプリにも、月末の予定…

Lovejoy

途方もない時間だと思うのは、しょせん人間だからか。 どんなに頑張っても100年そこそこの人生、8000年に一度のめぐり合わせなんて想像すらできない。無限を思わせる宇宙が連れてきたのは、エメラルドグリーンにたなびく彗星。発見者の名前で「Lovejoy」と呼…

Doctor doctor, please

開いた茶色の引き戸、その内側に薄い花色のカーテンが半分ほど引かれている。風もないのにやわらかなひだがそよいで、縦に長い部屋が現れた。そのなかで円いイスに座ったまま、机の上のパソコンに相対している横顔。真っ黒な短い髪が、卵の容をなぞるように…

Rojo-Tierra-

その話を聞いたのは、仕事納めの日。こう書いてしまうと、もう去年のことなんだとあらためて思う。営業マンの「今度!」と同じくらい、信ぴょう性のない話の繰り返しだったから・・・「今度」もそうだろうとあきらめて、ネットのニュースを見るとは無しに眺…

Hard to say 2/2

スモークシールドをおろして、クラッチレバーを握り、左の足先でシフトペダルをチョンと踏む。緑色に光るNのランプが消えたのを見て、右手をひねりエンジン回転を上げながら、ゆっくりと左の中指と人差し指を開いていく。少し遠めでつながるGROMのクラッチ板…

Hard to say 1/2

窓を鳴らす強風に、約束された青い空。冬至を過ぎても、まだ低い軌跡をたどる太陽が、建物の影を長く伸ばす。三日目にしてようやく手に入った、この時季らしい乾いた晴天。当てがないのは昨日と変わらないけど、「四つ輪」には飽きた。昼が近くなれば太陽も…

Regret

ウイルスの蔓延する我が家に見切りをつけて、今日も一人、あてもなく外に出る。見上げた空には、西から東へと雲の帯が流れていて、駅伝の中継に映っていた光と影に出会うには、その切れ端まで走っていかなければならないらしい。結局、軽トラの助手席にsunny…