2014-01-01から1年間の記事一覧

Bad tuning!

「ズレてる方がいい!」のは、男と女の仲だけ。それも、沢田“ジュリー”研二の歌の中だけの話で、手のひらに収まるワタシの左ヒザには、ありがたくないフレーズ・・・。 走り納めに選んだ28日の谷田部は、この冬一番の寒さをあっさり更新。凍てついた路面の霜…

Last race 4(完)

<12/19の続き> やさしく見えているのに思いの外荒れていて、車体が跳ねて暴れる。下り勾配のついたストレート、フロントタイヤを浮かせながら、すり鉢に向かってKXが加速する。CRF150RⅡの後ろ姿は近く、左手を放して伸ばせば触れられそうなくらい。原色に…

あのテッペンまで!

歌トモのおかげで、ずいぶん当世風の曲を歌えるようになった。“アーティスト名”で“嵐”を検索して、いくつも選び出す自分が、今も信じられないでいる。けど、それなりに苦労が多いことも確か。 人生を折り返して、早10年。物覚えも悪くなって、おまけにろれつ…

朔旦冬至

これから始まる、ヒカリに満ちる半年・・・。 夏至を越えて、日ごとチカラを失くしていったヒカリが、ようやく復活を果たす。今日を境に太陽は輝きを増し、ゆっくりとチカラを取り戻していく。そのヒカリを浴びて、ワタシの気分もようやく上向きだ。その冬至…

Last race 3

<12/5の続き> 第1コーナー。先行するCRFの軌跡をなぞり、左へターン。テーブルトップと、続くステップダウンを高く跳び上がると、ゴーグルに映る後ろ姿が、少しだけ大きくなった。右に大回りして、リズムセクションの最初のコブを、半端な勢いで蹴り出す。…

coming soon! 3/3(完)

<12/14の続き> 「ここに上ると、全部見えるんだよね」 砂がただ斜めに積まれているだけの坂を上り、いま下りてきた砂利道からもうひとつ高いところに、ryoと3人で並び立つ。竹林を背にした高台からは、たしかにコースが一望できた。右手に広がるストレート…

coming soon! 2/3

青味の残った砕石を、ティンバーの6インチブーツのゴム底が踏みしめる。杭はもちろん三角コーンもない路肩に寄っていくと、山林は巨大な円にくり抜かれて、眼下に淡い黄砂色の大地が見渡せた。垂直に切り立つこの場所から落ちたら、怪我の一つや二つじゃすみ…

coming soon! 1/3

圏央道の東端にあるICをまたいで、目の前の信号を直進する。まだ「工事中」で、アスファルトの敷かれていない道に分け入るクルマは、まったくいない。すぐに左へウインカーを上げて、クルマ一台がやっとの幅の道に入り、小さな畑を横に見ながらゆっくり進ん…

ウルトラマンダイナ 3(完)

「ダイナミックのダイナだよ。ダイナマイトのダイナ。そして、大好きなダイナ」 ミドリカワ・マイの甘い声が、耳の奥にこだまする――。 最後の“大好きな”は余計だけど、リヤタイヤを派手にすべらせ、半クラッチを当てながら巻き上がる土煙を背に、豪快に立ち…

ウルトラマンダイナ 2

「先生、それってどういう・・・」 ヒザの症例に詳しいと紹介された年若の先生は、ドラマで観るような濃紺の制服に身を包み、丸椅子の上で微笑みかけるように教えてくれた。丁寧に、手のひらに収まるヒザの模型を指差しながら、 「これ、前十字靱帯って言う…

ウルトラマンダイナ

言わずと知れた、平成ウルトラマン三部作のひとつ。つるの剛士が変身前の姿アスカ・シンを演じたダイナは、山田まりあ扮するミドリカワ・マイが劇中、泣きながら叫んだとおりのウルトラマン。先代ウルトラマンティガの透明な存在感とは真逆の、ダイナミック…

一石三鳥

今朝からマスクを着けてみた――。 行きつけのカラオケ店も、さすがにこの季節は書き入れ時。いつものお値打ちコース、「3時間飲み放題500円」の案内もない。歌トモが言うように少しの間、二人の歌会はお預けらしい。2月に入るまでの2ヶ月は、年末に付き物の歌…

Last race 2

<12/3の続き> 一度交わしたはずの“0”番を着けたCRF150RⅡに、ウォッシュボードの入口で刺し込まれる。右コーナーのインをなぞり、出口に切り立つ斜面へ車体をこするように立ち上がって、そのまま小気味よい排気音で“洗濯板”を駆け抜けていく。上下に大きく…

Last race

窓の外の白む時間が遅くなり、夜の明けきらぬうちにベッドから這い出る毎日がやってきた。枕もとのカーテンを右手で寄せると、外の冷気が出窓からフローリングの床へ、こぼれて落ちていく。窓ガラスは黒くにじんで、これから照るのかこのまま陰るのか、1日の…

12月

宵の空が割れて、藍色に月が浮かぶ。 だらしなく空気を濡らし、歩道に敷かれたアスファルトに気まぐれな黒い染みを付けていた空。白い絵の具を派手にパレットへ吐き出して、その横に、チューブの腹を押してほんの少しだけ、黒い絵の具を落とす。それから右手…

南の島の彼女

幌布のショルダーバッグに収まる文庫本は、暑く湿った夏の匂いを伝えてくれる。南の島で、傷ついた恋心を癒す放蕩女子。バリ島の人と自然に溶け合う日向な感じと、自由なのに繊細な陰のある雰囲気が、知り合いの姿にうまく重なる。昨日までの冷たい雨も、陽…

秋の菜の花

関宿から春日部へ。古びた橋梁の上、dukeとともに江戸川を渡る。平坦にまっすぐ延びたアスファルト。その正面に、庄和の大凧を飾る大きな建屋が、目線の高さに降りてきた夕日を背に黒く浮かび上がる。ほんの30分前、肩口に触れていた陽光は暖かさを宿してい…

光と緑と

松伏を縦に突き抜けて、県道が南に走る。午後になって少しだけ西に傾いた太陽に、かかる雲はひとつもない。県道の先が見えなくなるまで裸の水田がまっ平らに広がって、銀杏もなければ県の木“けやき”も見当たらない。短く刈られた稲穂から新緑が針のように立…

kissさん

「来年、また会いましょう!」 そんな約束をして別れた“37年来”の友人が、ようやく約束を果たしにやってくる。それも飛び切りの、彼ららしい人騒がせな贈り物を用意して・・・。 「よりにもよって、何を考えているのか」と思ったのもつかの間。いやいやそう…

Ready to Race!? 7(完)

一度交わしたはずのCRF150RⅡが、最後のストレートでまごつくKXの前に出た。2台重なるようにまたいだフィニッシュラインで、“L1”と書かれたボードが光を反射する――。 コーナーというコーナーで行き場をふさがれ、立ち上がりの小さなワダチで思わずブレーキレ…

Ready to Race!? 6

<10/23の続き> 深くえぐられたくぼみにすっぽりとフロントタイヤが収まる。2番クジで引き当てたグリッドは、真ん中よりも少し外寄り。第1コーナーをアウトバンクで回り、最初のテーブルトップへは外から入っていくつもりだ。大きく「5」と書かれたボードを…

一夜漬け(十五夜~番外編2)

歌トモはrepetitionに厳しい。2回目から、いつも“新曲”を持ち込んで披露するのが、何となく二人の約束事になっている。あの月食の夜もそうだった。 用意した手持ちの新曲は、しかし、歌い始めてすぐになくなった。雑用ばかりに追われていたせいで“練習”時間…

曇天

真新しい一日は、雲にすっぽり包まれて、灰色だった。光が無ければ陰も無い。降るでも照るでもない曇天はどうにも苦手、おまけに今朝は冷え込んだから・・・携帯のアラームを止めるのも、掛け布団を払うのも、ベッドから起き上がるのも、始まりのすべてが億…

H2R 後編

<10/10の続き> 300ps超えの、まさにグリーンモンスターは、Kawasaki信者ならずとも気になるマシン。全身を緑に染めるのではなく、硬質な深いカラーリングにライムグリーンを効かせている。何といっても“過給器”付きというのがいい。むしろ“H2R”の横書きよ…

十五夜~番外編

夕べ、薄く名月を隠していた雲が、明け方近くになって通りにまだらの染みをつけていた。171年ぶりを数える「後の十三夜」は、真夜中に一瞬、その雲を透かすように姿を映しただけ――ならば、まだはっきり憶えている月の満ち欠けの夜の話を少し――。 浅草六区に…

文化の日

風が少し冷たい、晴れ上がった秋の日。灰色をした帯のような雲が数本、西から東へ、青い空にゆるやかな弧を描いている。山の中腹のあちこちを褐色に染め始めた筑波山、その山すそを南から北へなぞるようにぐるりと回り、岩瀬の辺りでそれまでの県道から国道…

だからバイクはやめられない

日付が変わるまで降り続いていた雨も上がり、朝から晴れ上がった日曜日。買い物と面倒な用事を済ませるのに、ガレージからdukeを引っ張り出した。3ヶ月ぶりに表に出された橙色に、あのときと同じ眩い光が宿る。予報どおりの晴天、濡れた大地が陽射しを浴びて…

リハビリ&自主トレ!

経過はいいみたいですね。あとはねじらないようにしてもらって―― 女先生から週に1日、20分ほどの柔軟と筋力トレーニングが割り当てられてから3週目。理学療法士の、こちらも女先生が左ヒザを内側にひねるようにしていっても痛くはないから、確かに具合はいい…

Ready to Race!? 5

<10/16の続き> あふれる音と光、そして師匠の瞳に押し上げられて、グリッドに向かう気分が整った。泥で重たくなったKXの車体を引き起こして、フレームにぶら下がる三角スタンドを外す。ヘルメット越し、鈍い銀色のトライアングルが砂利の上に倒れ、カラン…

ベスコンなのに・・・

“相性”というのが本当なら、北軽井沢にある山間のコースは、ナノハナには良くないらしい。 これで4度目になる昨日は、「今まで走った中じゃ、一番良かったんじゃないの」とryoが振り返るほど、喰い付きのいい路面。ただ二人とも、それすら味方につけることが…