何が、何を。

空は朝から夕暮れまで、のっぺりとした鈍色のまま。まるで冴えない気分に塗り込められたかのよう。それでも晴れ間が覗いていれば、上州の山城跡でも眺めに行こうかと、夕べツーリングマップルを繰っていたのだけれど・・・・・・気づけば、遅く起きた朝になっていた。何かが足りないのはわかっている。何かを無くしてしまったのかもしれないと、顧みる時間が無為に過ぎていく。

また砂塵の上に戻る。その時までの雌伏になればと、わずかばかりの腕立て伏せと腹筋を続ける日々。刺激、期待、旅情。どれも足りていない毎日に、いらだつことさえ忘れてしまった。途切れることなど考えもしなかった二輪三昧に、少し休息が要るのだろうか。せめて、ぶ厚いジャケットが要らないうちに馬上に戻れるよう、闇に祈る。虫の音がうるさく響く、今日の宵闇に。