傍らに積まれた二年越しのバイク雑誌を、片っ端から目を通す。最新のマシン事情に、食指が動き出すグッズの数々。止まることのない技術革新も、今のボクには、あまり興味が湧いてこない。ひたすら、未だ走ったことのないアスファルトに思いが至る。あれだけ走ったはずの東日本でさえ、知らない道は数知れず。思えば昨年は、かなり乱暴に四季が巡っていった・・・・・・。
あの夏は、酷かった。たいていの暑さは笑ってやり過ごせるはずが、さすがに閉口する日々が続いて、気づけば九月をとうに越えていた。もうすぐ冬という十一月になっても暖かく、往く山は緑に覆われて、まったく季節感がない。かろうじて、こうして雑誌の中に、赤や橙、黄色に染まる山々の錦繍を認めるだけ。いつからこの国は、大雑把になってしまったのか・・・・・・。
すっかり短くて希少な秋を、今年は是非とも愛でて走りたい。陽射しの明るさと温もりを、紅葉の枝葉を透かして感じながら。