雨が落ちる前に 1

朝から支度を始めて・・・最後、荷室の一番後ろにセンタースタンドを押し込んで、一度、部屋へ戻る。出窓の上を覗き込むと、とっくに陽が昇っているはずなのに、だんだんと黒味を帯びた重たい灰色が空に広がっていた。財布とケータイをウエストバックに詰め込んで、bongoのキーを手にして玄関を出た時だった。「あっ。雨、降ってきた」・・・先に外へ出ていったryoが、困り顔をこちらに向けて、小さく叫んだ。

<つづく>