雨が落ちる前に 2

<4/6の続き>

「このタイミングで降るかな」さっきまで見ていたはずの天気予報よりも、ずっと早く、空が泣き出した。かなり大粒の雨が、真っ黒な雲の下から、散り散りになって落ちてくる。仕事に疲れた頭とカラダが、鍵を閉めたばかりの玄関から離れないでいると・・・天を仰いでいたryoが、瞳を丸くして笑いだした。雨を受けた横顔にちょっぴりかげりが見えたのは、走行代をワタシにたからないと走れない後ろめたさから・・・それでも走る気満々なのが、いかにもコイツらしい。さらに強くなる雨足に、たまらずsaitoさんの携帯番号をタップする。もう一度フトンに潜って、くたびれたカラダをベッドに沈めることを思って訊いてみると・・・まったく期待外れな言葉が返ってきた。

<つづく>