鬼怒川温泉

週のど真ん中に休めるのは、なぜだか得した気分になる。一日しかないから、あまり欲張りにもなれなくて、その緩さがまた心地いい。月に一度の「資源ゴミ」の日が、そんな祝日に重なって、少しだけ早起きの朝。陽が上れば3月中頃の暖かい一日、テレビから聞こえる「お出かけ日和」のひと声に、鬼怒川までひとっ走り、湯浴みに出ることにした。もちろん、クルマでだけど。

ドライバーシートの後ろから杉並木の続く日光例幣使街道を眺める。木漏れ日の差すアスファルト、狭い路肩に小さく雪が埃を被っている。花粉症にはもう、見ているだけで辛いはずなのに、不思議なくらい平気でいられる。花市で賑わう今市市街を抜けて、鬼怒川沿いに国道を北上。有料道路に接続する直前の交差点を曲がるとすぐ、目指す湯屋が佇んでいた。

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鬼怒川の畔、ひっそりとした佇まいに、思わず行き過ぎてしまいそうになる。岩造りの内湯、扉の向こうの露天風呂からは、眼下に流れる緑の鬼怒川を望む。無色透明の塩化物泉はぬるめで、川面からの冷たい風が巻く露天風呂には、いくら浸かっていてものぼせることはなさそうだ。擦るヒザの関節がふやけてしまうほどしてから、ようやく帰路に着く。

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明日、明後日ともう二日頑張れば、また休める。そう思うと、宵闇をさ迷うクルマの中、気持ちが軽くなっていく。ryoにハンドルを預けて脚を投げ出したリヤシートに、ヒーターの熱が漂ってきて、少し眠くなった。