半月と三日月と

今日はよく引っかかる。仕事場のイスを回しながら脚を開いただけで、靴ヒモを結ぼうとしゃがんだだけで、左ヒザが途中で動かなくなった。脚は“く”の字に曲がったまま、こうなると、嫌な感触を覚悟するしかない。ふくらはぎを太ももに近づけるようにヒザを曲げて、それから瞳を閉じて、ヒザの関節を瞼の奥に描くようにしながら、今度はゆっくりと伸ばしていく。二度、三度と繰り返しているうちに、ゴリッと周りに聞こえるほどの音を立てて、何でもなかったように脚がまっすぐになる。

昨夜、新月に向かって青く細く光っていた月が、今宵は雲の陰。ヒザの中の“半月”は、この三日月にすらなれないほど、細くすっかり欠けているのだろうか・・・。ちらりと姿を見せた、本物の三日月が、夜気にやさしく微笑んだ。