時は止まらない

薄く乾いたアスファルトに、GROMを引っ張り出そうとしたけど・・・止めてよかった。越谷から松伏に抜ける県道は、ワイパーを動かしていないと前がかすんでしまう。ショッピングセンターの喧騒も、暮れゆく通りには届くはずもない。路面も黒くにじんで、BONGOのタイヤが音を立てて、水を巻き上げる。

整備された県道を二回ほど曲がると、道は市街地の中を走るようになる。途中、桜がいくつか並んでは、バックミラーに小さく消えていく。そのうちの一本が、枝を左右に精一杯伸ばして、幹の周りに花びらを重ねていた。風もなく、ただ落ちて積もる花びらは、まるで桜色の影のように映る。

盛りをなくしていく桜も、すぐに真新しい葉をそろえて、見上げる空を緑に照らし出す。一雨ごとに、季節は進む。時は止まらない。