秋映

旅のみやげに、道ばたの露店で林檎を一つ、分けてもらった。深い紅色に丸まった林檎は、手のひらに余るほどの小ささで、今が旬らしく辺りの木の枝に黒々とその実を付けていた。「秋映」と名付けられた新種は、やわらかな陽射しをたっぷりと吸い込み、歯ごたえのある果肉から甘酸っぱい果汁がほとばしる。初秋に似合うさわやかな後味が、口の中で静かに消えていった。