少しは借りを返せたかな 2

<2/7の続き>

あっ、と短く声をあげる間もなく、次のテーブルトップの斜面にフロントタイヤが乗り上げた。ほとんど反射的に右足がブレーキペダルを踏みつけると、後ろから引っ張られるように減速したSXが、台形をなぞって走る。トップから下り斜面をシートに座ったまますべり下り、もっとも苦手な柔くてワダチが深く刻まれる坂をゆっくりたどり、林の中で切り返して段差を飛び降りる。その直前、さすがにシートから立ち上がろうと左脚にチカラを入れてみると、ヒザはうまく伸びてくれて、痛みも感じない。半月板の欠片は、どうやら大人しく元の位置に戻ってくれたらしい。

<つづく>