杉の木立に包まれて

見渡せば枯れ色をした竹林のすぐ後ろ、葉先を赤茶色に染めた杉の木が、澄んだ青に林立して映っている。コースからパドックに戻り、ゴーグルを外してヘルメットを脱ぐと、途端に鼻の奥がむずむずして、何度もくしゃみを繰り返す。折から強めに吹く風は、開けた北側から舞い上がり、色の付いた葉先を大きく揺らしては空へと逃げていく。そして、音の消えたパドックに、間抜けたくしゃみがこだまする。あわてて荷室に放っておいたマスクを取り上げて口にあてがい、少しの間、じっと目を閉じる。去年はそれほど気にならなかったけど・・・新しいMX408は、花粉症にはたまらない光景に包まれていた。

<つづく>