車窓から

桜色した木々が、細い川に沿って弧を描いている。低い灰色の空は、ところどころ青くほころび、そこからヒカリがにじみ出す。去りゆく気圧の谷を、北寄りの風が追いかけ、春はすっかり大人しくなってしまった。

冷気に包まれた桜木は、人待ち姿でたたずみ、風に花びらを散らすのを必死にこらえながら、大ぶりの枝を揺らしている。せめて晴れ渡った青空に、艶やかな桜色を浮かばせてから、吹雪いてほしいもの。

桜の季節は、いつも心許ない・・・。