跳んだ 3

<2/14の続き>

単純なテーブルトップジャンプなら、あわてることもない。途中でいつでも止められる。右足でブレーキペダルを踏みつけるだけ、それだけでいい。やさしいことだ。でも、ここは、そういうわけにはいかない。迷いよどんだ瞬間、フロントタイヤからオーバーハングのその先へと、真っ逆さまに落ちていく。それはわかっている。だから、一周目から迷わないように、跳び出すことだけを考えていたのだから・・・。ただ、水を差されてやり直すこのとき、この一瞬を逃したら最後、今度は絶対に跳ばなくなる。いつものように左側のラインを軽く跳ねていくだけで、今日一日が終わってしまう。それもわかっている。

ひどく長い時間が過ぎたように、思いだけが巡って、リップがフロントフェンダーに呑み込まれた。

<つづく>