悲喜

KTMと変わらないんじゃゃない」

サイドスタンドに傾げた黒色のマシン。そのハンドルグリップに両の手のひらを添えて、腕だけで引き起こす。SXに馴染んだ右腕は、チカラの均衡がわからず、CRF150RⅡのシュラウドが右の腰に寄りかかってきた。半年ぶりに感じる重さは、パドックからコースに出て行っても、もちろん変わらない。コーナーへの突っ込みにも、立ち上がりの加速にも、フープスでの上下動にも、すべてに重さがつきまとい、弾けるような排気音とは裏腹に、反応がすこぶる鈍い・・・鈍い気がしていた。それなのに。

半年もかけてカラダを馴染ませてきて、このところ「乗れてる?」とさえ思い始めていたところなのに、その台詞は悲しく響く。ひとつもうれしくはない。