南の空に

満月の端、左下がわずかに欠けた淡黄色が、南の空に浮かんでいる。その右、真横に並ぶようにして、火の星が小さな点を闇に印している。風の凪いだ夜、昼の気配が残る路地裏には立つ影が薄く延びて、蛙の声が波を打つように響きわたる。そして遠くバス通りを、パラ4の排気音がゆっくりとただよい、夜陰に溶けていく。明日も暑くなりそうだ。