44になりました 4(完)

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これだけの人が集まれば、きっと誰かが拾ってくれるはずとでも思ったのだろうか。自分のところでは飼えないからと、顔見知りに声をかけては里親を探す#31さん。とんだ災難と思っているのかいないのか、まるで我が子のように大事そうに抱えて、パドックをジグザグに歩いている。我が家には、まだタロが元気で居て、シロとあわせて2匹。それが倍に増えるのは・・・かわいそうだけど、ちょっと無理な話だった。「もう、2匹居るからね・・・」、パドックを一回りしてきた#31さんにそう答えて振り向くと、まだ細くてふっくらした三毛を夕日に照らされた、少しだけ元気のいい方と目が合ってしまった。ロープに体重を掛けるようにしゃがんだ、その尻に、黒く濡れた鼻先を静かに押しつけてくる。それが、こいつとの出会い。そのまま「ネロ」と名付けられた。

犬は人の何倍も年を食う。その彼女も、人間で言えばもう44才。顔とカラダに似合わず、すっかり大人の女性だ。そして、あと2年か3年もすれば・・・ワタシの年も追い越してしまう。流れる時間は、等しくあってほしかった。