わんこたち

アノ夜ニ、サヨナラ

明けの三日月が藍色の空に白く傷を付けている。ネロが何度も何度も、後ろを振り返る。そのたびに体を引かれて、かざした右の手のひらの中、スマホのレンズは焦点が合わず、小さな被写を仰ぐ林の静けさは、うっすらとにじんだまま。あきらめて歩き出す黒い小…

七難隠すは・・・

色の白いは七難隠すと言うけれど・・・。 我が家の小悪魔は、あぐらをかいた膝にすっぽりと収まる、その程よい体つきと愛らしい瞳で、大抵の悪いことには目をつむってもらっている。ちょっとヒネた野良魂も、一度逃げたら呼んでも帰ってこない奔放ぶりも、鼻…

なんかさ、

ryoが北海道へと巣立つ、その姿に会えていたら・・・何と言っただろうか。 小学校に入って間もない頃は、両手に載せられてしまうほどだったカノジョ。すぐにryoの背丈の半分ほどに育ち、秋田の血を引いているだけあってか、それからまもなく、立ち上がるとry…

ゆきやこんこ

ヒトが弱いのか、コイツらが強いのか。 霜が降りた畦の褐色を、小さな氷柱が押し上げる。その氷を小気味よく踏み崩して、いきなり走り出すシロとネロ。リードを持つ手がグンと引っ張られ、氷のつぶれる音が曇天の寒空に響いていく。思い出されるのは、童謡の…

愛すべき瞳

北海道からオホーツクへと抜けていったはずの台風。それが引き連れてきたやっかいな南の風が、陸地に這い上がっては、湿った灰色の雲をわき上がらせる。徐々に色を濃くしていって空を真っ黒に覆ってしまうと、直に大粒の雨がぶちまけられて、路地に薄く川が…

44になりました 4(完)

<5/28の続き> これだけの人が集まれば、きっと誰かが拾ってくれるはずとでも思ったのだろうか。自分のところでは飼えないからと、顔見知りに声をかけては里親を探す#31さん。とんだ災難と思っているのかいないのか、まるで我が子のように大事そうに抱えて…

44になりました 3

<5/19の続き> MCで鳴らした強者たちと手合わせして、あわよくば一泡でも吹かせてやろうと意気込むココロを密かな楽しみにしていた。「ノービスクラス」の走行枠で走り出し、いつも以上のチカラでハンドルバーを握り締めては、小さな排気量のエンジンをいつ…

44になりました 2

<5/14の続き> 旧いMX408で、ようやく入口の近くに停められるようになった頃、それでもまだKX85-ⅡとRM85Lを「軽トラ」に積み込んでは、週末に通い続けていた。ただ、特別な土曜日だけは、そうはいかない。レース当日の場所取りもあって、いつもの広々とした…

44になりました

明日、軽井沢でレースがある。MCFAJ主催のモトクロスレース。ryoとiguchi師匠と三人で参戦を決めたその年に、慣れ親しんだMX408が無くなり、ワタシは左ヒザの前十字靱帯を千切ってしまった。ホームコースを頼みにしていた師匠は2レースを走って終わって、何…

お大事に!

昨日の「ニジマスのお頭、7尾一気喰い」からお腹を下して・・・まったく食欲のないネロちゃん。ちょっと欲張りすぎたね、お大事に!

目力

「黒目が大きい」と、それだけで大きく得をするのは、人もわんこも同じらしい。その魅惑の瞳が、まっすぐワタシを見つめて動かない。せっかくゲージから出してもらって、暖かいリビングで抱かれているというのに、早くここから助けてくれと言わんばかり。だ…

治るもんじゃない

旅行に連れて行っても、こんな写真ばかりのシロとネロ。それでも愛らしい仕草と表情は、Facebookの友達にもちょっとした人気だ。親としては思わずにやけてしまうけど、ネロにはもっと尻尾を上げてもらって、シロにはもう少し静かにしてもらいたい。そうすれ…

三日続いて、壊れそうな水曜に。

ベッドから身を乗り出して、つかんだカーテンの端を壁に向かって投げつける。ぼやけたヒカリが拡がりながら部屋の中にはうっすらと色が戻り、覚めてきた耳の奥底に、昨日と同じ水の音が届いた。切り落とされたように終わった夏から長雨の時季がやってきて、…

以心伝心

朝から肌を突き抜けていくような陽射しは、アスファルトに眩しさが跳ね返る。どんなに暑くて胸が詰まるような朝でも、コイツらにはまるで他人事。舌がだらしなくのびて、息づかいが荒くても、リードを引いては行きたい放題。有り余るチカラは、真夏の太陽で…

奔放と天然と

ちょっと目を離した隙に“拾い喰い”をやらかしてから、いや、どちらかというと腸を切開するほどの大手術の費用を払わされてからというもの、夜陰に紛れてシロを放すことをしなくなった。家の裏手に回れば、そこはもう、植えられたばかりの苗が風にそよぐ田園…

帰還!

いきなり食欲がなくなって、吐いてはぐったり。丸三日、何も口にしなくて・・・このままじゃ死んじゃうと病院に連れて行ったのが、日曜日のレース前。原因は拾い食い。とうきびの芯が腸に詰まったらしい。腹を切って腸から異物を取り出して三日、今夜元気に…

Nero chan

細身で小さいカラダをいいことに、冬の間は居間に爪音をカツカツ響かせて・・・夜になるとryoのベッドにもぐりこみ、くるりと丸まる。MX408から連れてきてから、keiにもryoにも可愛がられて、少しずつわがままに育ってしまった。泣き虫で、ずっと寝てばかり…

ネロ

シバパパからめずらしくコメントが届いていた。 「ゆっくりとした休日もたまにはいいのではないですか?ワンコとのんびり過ごすのも悪くないでしょう(笑)」 のんびりした週末は、シバパパの言うとおり、悪くはなかった。たた、シバと違って、我が家は“兄妹”…

タロ追憶編 ~後編

きっと、弱ってきた自分が許せなかったんだよね。だから、シロに唸ってみせたんだよね。吠える声はかすれ気味で、上の歯と下の歯が当たっては、カチカチと音を立てている。何で吠えられているのかわからないシロの困った顔に向かって、吠える、吠える・・・…

タロ追憶編 ~前編

毎年、この時季になると・・・白と茶のまだらな姿を思い出す。2月は、タロの生まれ月だ。居なくなってから、もう2年が経とうとしている。あの震災を経験することもなく、薄いガラスに挟まったタロ。地面にべたーっと腹ばいになって、アゴを突き出し、ドング…

夜更けのネロちゃん

眠い。夜も更けた午前二時、ネロに起こされたからたまらない。玄関から聞こえる甲高い鳴き声に、一度は頭からフトンをかぶってみたものの・・・切なく吠えるときは、かなり危ない。しかたなくベッドから起き上がって、階段を下りていく。メガネを外したまま…

いらっしゃい!

我が家にも福島から避難者がやってきた。keiの“知り合い”だ。年老いているそうだから、大事にしてあげなくては・・・と、少し早めに帰って様子を見るはずだった。それなのに、会社を出るのがすっかり遅れてしまって・・・東武動物公園の駅に着く頃には、頭上…

ちょっぴり寂しい誕生日

たぶん今日、帰ってくるとケーキがあるんだろう。15本のローソクと一緒に。そんな思いを胸に家を出る。その主役は、薄いガラスに挟まった一枚の写真。地面にべたーっと腹ばいになって、アゴを突き出して、ドングリ眼で前を見ている。何枚もある中で、一番タ…

誕生日までもう少しだったのに・・・ありがとうね!タロ

いつもそう。「してあげられることが、もっとあったんじゃないか」って・・・。春日部のmitoちゃんからもらってきた、メスの子犬。命名タロ。小学生だったryoが付けた名前がいけなかったのか・・・秋田犬混じりの雑種は、性格が“男勝り”。自己主張が強くて、…

「もうダメだよ、タロの餌食べちゃ!」

朝から元気なネロちゃん。“薬物誤飲”の後遺症もなくて一安心だ。一時はどうなることかと心配させてくれたけど・・・良かった、良かった! 昨日、夜の散歩に出るときだ。ゲージから飛び出したネロちゃん、ちょっと目を離した隙に・・・「あっ、タロの餌食べて…

この“揮発性”も可愛さのひとつなのかな?

朝の散歩を前に・・・久しぶりにシロがやってくれた。玄関先で目が届かないのをいいことに、まさに“やりたい放題”。可愛さ余って何とやら、こっぴどく叱られることになったシロちゃん。あまりの“悪行”に「朝飯抜き」も決定、一番の食いしん坊にはキツイお仕…

河川敷が大好きだったのに・・・

太陽は予定よりも一日長く頑張るらしい。いわゆる“GW”の終わりとともに少し休憩すると言われていた晴天だったが・・・今日も陽射しはたっぷり、田んぼの水に跳ね返っては眩しく光っている。そして、その光には夏の訪れを予感させる暑さが残っていた。 大多数…

Ready to go!

しなくちゃいけないことよりも自由に過ごせる時間の方が多い日曜日。「休日」らしく、まずは、のんびりとワンコのお散歩だ。このところゆっくり散歩できなかったので、シロとネロを江戸川の土手まで連れていく。今日は君たちが「フリー走行」、贅沢な一日の…

我が家の龍ヶ崎犬も「女の子」になっちゃいました

我が家には“血縁関係のない“三匹のワンコが同居している。長女タロちゃん(女の子なのになぜか“タロ”・・・凶暴です)、長男シロちゃん(その名の通り“真っ白“だったのに今や“逆”みにくいあひるの子・・・実はタロの命の恩犬だったりする)、そして次女のネロち…