ザンショのアサ

つくつくほうしの独唱で目が覚めた。

開け放した窓の外、レースのカーテン越しに、空に薄雲が張り付いている。夜はとっくに明けているはずなのに、色も影もない朝。部屋に入り込むそよ風にベッドの上、寝返りを打ち、再びまどろむ。

また、蝉の声に瞳を開ける。

今度はミンミンゼミが輪唱、互いに声を張り上げている。騒がしさに外を眺めると、少しばかり明るくなった空から、薄日が差している。風もベタリと二の腕に乗り、それを支えにカラダを起こす。

残暑の朝、夏は終わらない。