白樺湖の落日

レストアを終わらせたスズキのオフロードに、ryoと三泊分の着替えを積み込みやってきて以来になるから・・・もう十年以上は、ここを訪れていない。寒さの厳しい土地柄か、過ぎた時間のうちに拡幅されたアスファルトはもう、あちらこちらがひび割れたように傷ついていて、そこを撫でるタイヤが大きくノイズを上げる。近くに延びる女神の道の余韻にも似た曲線とアップダウンをたどり、白樺をまとう人造湖にたどり着くと、山の彼方へ太陽が消えてなくなろうとしていた。

平日の夕暮れ、名のあるホテルに留まるクルマは少ない。季節も半年ズレて、湖畔が枯れ色に染まっている。眺める落日さえ、あの頃を思い出させてはくれない。それでも、こうしてこの地に立つと、どこか懐かしさを感じてしまう。この湖は、ワタシの多感な時期をよく知っている。