春、近し

月影残る西の空にも、すっきりとした青が広がり、朝が凛と目覚める。霜柱の立つ畦道。まだ冷たい風をはらんだ枯れ草から、ヒバリがせわしく跳び上がった。見上げる青の中、その声に生まれたばかりの陽が眩しい。

この風も少しずつ向きを変えていって、明日は南風になるという。思わず跳びだしたヒバリには、それがわかるらしい。まだひんやりと鼻腔を触る風に杉の子を感じて、ちょっとむず痒くなった。春は、近い。