光と陰と 5(完)

<2/5の続き>

よろめきながら斜面をたどるCRF150RⅡ。その細く乾いた軌跡をなぞり、RM85Lのリアタイヤが短くリップを蹴りつけ、光の中へと着地する。その光が、カレのすぐ後ろにまで濃く長い陰を映す。その背中には、軽やかに伸びる2ストロークの排気音が間違いなくぶつかっているはずだ。

くの字を倒したようなすり鉢に、4ストロークの野太い破裂音がまき散らされて、西からの陽射しを揺らめかせる。その勢いが少し翳ったところで、ジャージの背の「148」が今度は光の中にまぶしく浮かび上がった。

そして、追いすがるように少しだけ高く跳び上がったRMが、CRFの着地する先のところまで、陰を引いてみせる。ほとんど並んだ二台のマシン。眩い褐色に陰が蠢き、インとアウトに分かれて最終コーナーをたどっていく。

MOTO-X981の午後に、共鳴しないエグゾーストノートが響きあう。ここでこうして走れる喜びを、カレといつまでも。