脱臼

派手にカマした前転の代償は、「肩鎖関節脱臼」という聞き慣れないものだった。

ただ、ようやく見つけた救急病院の診察室では、これと言った処置もなく、見せられたレントゲン写真の左肩は、思っていた脱臼のそれとはまったく違っていて、鎖骨の外側の端が完全に浮き上がっていた。それなのに、そのままの保存療法を勧められて、呆気にとられる。

この先いろいろとどうするか・・・・・・ひさしぶりに自分のことだけを考えながら、夜の家路を東へと急ぐ。